香淳
県道を走らせること1時間ほどで、会社に着いた。
名前は知っていたが、意外に大きい会社だったのか。
「うわ!すご!」
…隣で楓が興奮していた。
全く呑気な・・・。
「行きますよ?」
すると楓は不思議そうに、「なんでここなんだ?」と疑問を投げかけて来た。
「詳しいことは後で話します。今言えるのは、手がかりが無いからです。ただ、ここ、怪しいですね」
楓はとくに何も感じていないようだったが、この会社、嫌な気配がプンプンするなあ。 こういう時、悪い予感ほど当たるとは言うが、しかし、僕より的中する人はいないだろう。
渋い顔をしていると、楓が心配そうに見てきた。
「お前、大丈夫か?顔青白いぞ?」
「ええ。大丈夫です。それよりも、僕の考えは的中したらしいですよ。行きましょうか」
見えない敵ほど恐ろしいものはない。
僕の目の前には嫌というほどの黒い影がそびえ立っていた。
「お前、行きましょうかって顔全然してないぞ?むしろ帰りたいオーラがプンプン出ているんだけど」
全く、楓の呑気な考えを僕も持ち合わせたかった。いついかなる時も、僕は常に敵を作っていた。そしていつだって独りでいた。引き籠りかあ。確かに正解だ。僕以上の引き籠りなどみた事がない。それよりも今は目の前の敵に集中しなければ。
正直僕は仕事は一人でやりたい。大抵は足でまとい以外の何者でもないのだから。
「ああ、楓さん、少し取りに行ってもらいたい物があるのですが、水を買って来て下さい」
「・・・?なんでだ?まあいっか。水分不足なんだな」
そしてあっさり取りに行ってくれた。
ようやく一人になれたか。
会社の中に入ると、どこにでもありそうな小綺麗な会社であった。見た目は・・・。
見えない所にいろいろと仕掛けてくれまして・・・。
入り口には声紋認識システムに、虹彩認識システム、さらに、指紋認識システムまで。厳しすぎる。到底、一介の中小企業のレベルではない。
二回を見ると、誰かと目が合った。
おそらく社員か、しかも裏の・・・。




