第9話「秋ナスは嫁に食わすな」いい意味で使いたいですね。
初めましてゴルトです。黒助の父です。
まずは、とてもパワフルな、私の妻を軽く紹介しようと思います。
私の妻のまりーは、本当に美しい女性です。その見た目はとても魅力的で、特に彼女の綺麗な金髪には、ついつい目を奪われてしまいます。
少しお調子者なところもありますが、そういったところも、可愛らしいなと思っています。
でも私が彼女に一番惹かれたところは、彼女の楽観的な性格です。それは、少し後ろ向きな性格の私を、いつも前向きにしてくれます。
けれど、今回の件は流石に私を含め楽観的すぎたかなと、少し反省しております。今回の件というのは勿論、黒助の名前のことです……。
。。。
この村の人達は、この村で生まれた子供達はみんな『村の財産』だと考えるので、黒助にも沢山の人から、沢山の愛情が注がれました。
特に黒い髪を持った人はこの村には居らず、みんな興味津々といった感じで、より一層可愛がられていました。そうやって可愛がっているうちに、皆がそれぞれに思い思いの名前で呼ぶようになっていきました。
この村でも生まれた子の名前は、親が決めるのが一般的です。黒助が生まれたての頃も当然、名前を聞かれました。
村人D「黒髪……。この子の名前ってなに?」
まりー「うーん、まだ決めかねていて……難しいわ……」
村人D「そうなんだ……。じゃーとりあえず、くろすけって呼ぶね」
そんなやり取りを続けていくと、次第に名前を聞かれることは、なくなっていきました。その代わりに、皆が思い思いの名前で呼ぶようになりました。
そうやって皆から思い思いの名前で呼ばれ、可愛がられ、楽しそうにしてる我が子を見てると……「名前なんてさ、もうどうでもよくないか?」とつい口にしてしまいました。
まりー「そうね、こんなことでウジウジ悩んでるなんて、なんだか馬鹿らしいわ!」
私の呟きを聞いた妻も、私の意見に賛同します。
私も妻もここ最近はずっと、頭を悩ませていました。妻の普段の性格なら、名前くらい、ぱっと思いつきで付けそうなものですが、たまにこういった繊細さも顔を出します。
それに何ていうか、意外と打たれ弱くて、傷つきやすいんです。ですが、立ち直るのも早いです。そして直ぐに前を向くことが出来ます。私もウジウジ悩むのは止めにしようと思います。
ゴルト「まったくだ、なんでこんなことでずっと悩んでいたんだろ」
まりー「私も黒ちゃん、って呼ぼうかしら!」
そうやって、我々夫婦は仲睦まじく、現実逃避をしたのでした。
。。。
そうして現実逃避をしてから一年が経過して、我が子が初めて口にした疑問が、自分の名前についてだと、妻から聞いた時、流石にこのまま名前がないのはマズイなと気づきました。しかし気付いた時には既に遅く……
直ぐその後に、『みんなで黒髪ちゃんに名前を付けようの会』が開催されたものの、この1年間で我が子と村人達とで築きあげられた、愛称を崩すことなど出来るはずもなく……
村人D「くろすけは、くろすけでしょ? 何言ってるの?」
村人E「もう、黒助ってことでいいんじゃない?」
村人C「私は黒ちゃんって呼ぶけどねー」 ふりふり~
そんなこんなで決まってしまった、我が子の名前……。
だが……本当にこれで良かったのか? 本当は自分達がつけるべきだったのではないか? それに、くろすけ、なんて名前は余りにも安直過ぎではないだろうか?
そんな悩みを妻に打ち明けてみると……。
「まぁいいんじゃないかしら? これはこれで 大事なのはこの子とこの子の周りが、楽しそうにしてるかどうかよ! この子もこの子の周りも今とっても楽しそうじゃない!」
このような、とても前向きな回答が返って来ました。
確かにその通りです。黒助もその周りの人も、とっても楽しそうです。私の悩みなんて些細なことだったみたいです。
そうだな、この先もし何か、この子の名前で問題が起きたなら、その時はその時にまた考えよう!
そうして私は今日も、妻のおかげで前を向くことが出来ました。
どうやら私はこの人がいないと駄目みたいです。
そう思える人と巡り会えた私は今、とても幸せです。
○ 私の独り言 ○
主人公の名付け親は、村人Dさんなのです。
そういえば、漫画ワンピースって、今どうなってるの?
シャボンディーから読んでない。
「D」の意志って結局なんだったの?
「D」って何かに似てるの。兎さんなの?
息切れなの~。