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シルバーリング  作者: Yua
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第83話「二度あることは三度ある」三度目の正直なのです!

うぅーー、寒いです。少しだけカマクラの外を覗いてみたんですが、いやー、それにしても寒いです。まさに真冬、真っ只中ですねー。



 それはそうと、僕がエルナ村に帰ろうとしたあの日から、今ってどれくらいが経ったのかな? 大体一ヶ月ってところ? いや、もっとかな? 二か月? まぁ大体そんなところだと思います。という事は、僕が村を出てから、もう三、四ヶ月程ほどが経ったということになりますね。


長い一人旅です。当初の予定では、順調にいけば一、二週間程度のプチ旅行の予定だったんですけどねー。どうしてこうなった! ……紅葉、怒ってるかな……。まぁでも、怒ってくれるっていうのなら、それもありがたいことですよねー。どうしようもない人とか、興味ない人とかになら、怒る気すらなくなるだろうし。怒られているうちが華ですねー。早いところ帰りたいです。


――まぁ、帰らないんですけどねー、ってか帰れない?



 ホント……どうしてこうなったかといいますとね、どうして直ぐに帰らないのかといいますとね、あれから…………、僕はヴェギ王国に別れを告げて、意気揚々とエルナ村への帰路についたまでは、良かったんです。けど、その後が続きませんでした……。


僕は前回の反省を生かし、しっかりと舗装された道を歩きました。同じ轍は踏みません。ですが、エルナ村とヴェギ王国周辺の地図というものが、僕の頭から時間経過のためにスッカリと抜け落ちていたことが大誤算でした。


そんなあやふやな記憶を頼りにしてしまったせいなのか、僕は道を歩けども歩けども一向に村につくような気配は見えませんでした。道を間違えたのでしょうか?


流石にマズイなぁと思った僕は、意を決して道行く人に尋ねました。



「え、えっと、すみません。あ、あのー、エルナ村ってどこにありますか?」


「うん? エルナ村? うーん、聞いたことがないな」

「エルナ村? 知らないねぇ、聞かない村だねぇ」

「エルナ村か、なんか聞いたことはあるようなだが、場所まではちょっとなぁ」



……そんな感じで数人に尋ねたのちに、僕は聞くことを辞めました。このまま尋ねて回っても、欲しい回答が返ってくる気配がなかったし、それに、なんか避けられてるみたいだったし……。被害妄想なのかな……?


親切な人に地図を見せてもらったりもしましたが、それは僕が母に見せてもらった地図なんかとは全然違うものでした。そこには、エルナ村の名前も、その付近の道というのも書き記されてはいませんでした。


――あぁ、あの時、母から地図を貰っておけばよかったー。「これ、持っていく?」――って聞かれたんだけどなぁー、「んー、ちゃんと覚えたし大丈夫だから、いいや」――ってあの時の自信に溢れていた僕は答えてしまった……「そう、ならいいわ、でもこれでもし迷子にでもなったら、笑えるわね!」――「いや、ならないから、近場なんだし」…………。


「…… …… ……」




 。。。。。。


 どうやらエルナ村はとてもマイナーな村みたいですね。そういえば他の村人との交流や、商人がやって来たりなんてことは一度もなかったですね。そもそもお金の存在自体がないから、商人なんてやって来るはずもないのだけど。


まあいいです。幸いにもその地図のおかげで、現在地が分かりました。それが分かれば、エルナ村の方角というも大体推測できます。僕は、僕の感性を信じます。僕って、地球では道に迷ったことが一度もないんです! 本当ですよ! 道があるなら僕は迷いません! 僕は自分を信じて前に進みます!



――ってな感じで、この時の僕は歩きました――




 。。。。。。 


数週間後……。


「迷いました……」


あー、そういえば、地球で道に迷わなかったのは、そもそも外に出ないからでしたねー。人生の道には迷ってた? 迷ってませんよ? 僕の進んだ道が、僕の人生の道です。迷いようがありません。ちょっと歪な道になっちゃったかもですが……。



まぁそれはともかく、今度はとにかく北に向かいましょう。北には海があります。海沿いを歩いていれば、僕たちが作ったあの道も見つかるはずです。その道を歩けば村につきます。なにせ、ありとあらゆる障害物をなぎ倒した、村まで一直線の直行便の道ですから。


正直、また森の中に入っていくのはリスクが大きいとは思います。ですが、今はそんなことも言ってられません! これは最終手段の切り札でしたが、ここで切ることにしましょう! 帰りたいんです! 姉ちゃんの顔が見たいんです!


では行こう!




 。。。。。。


数週間後……。


「道が、見つからない……」


森へ入り北に歩くこと数日で、海にはつきました。そして、そのまま海沿いをずーーっと歩いているんですが、一向に僕たちの作った道が見当たりません……。その道に行きつきません……。



「まぁ、あれから長い間、ずっと放置してたしなぁ……」


この森にはとってもとーっても強力な大精霊さんがいます。

ちょっと整備を忘れた道なんて、直ぐに森です!


「さっすがセフィルちゃん!」



どうしましょう……。たとえ道がなくなっていたとしても、僕たちの作った道がある、あの海岸付近には今までに三度ほど来たことがあります。なのでその場所さえ分かれば、そこから何とか帰れるような気がするんだけど……、さっきからその場所と似たような海岸ばかりで、なんともです……。地形の関係で、ずっと海岸を歩けるわけでもないし……。



「もう通りすぎちゃったのかな? まだかな? 少し戻ってみる?」


もうさっぱりわかりません。手詰まりです。



「もうこのあたりで当たりつけて、南へ降りてみようか……」


距離が合っていればエルナ村か、もしくは見知った場所につくはずです。もうそれくらいしか残された択がありません。そういうわけで南に行きます。




 。。。。。。


数週間後……。


「ここどこ……」


ですよねー。まぁ着きませんよねー。歩けども歩けども全く知らない場所です。森、森、山森です。はぁ~、また人道を探すところからです。振り出しですねー。はぁ~、とりあえず、また適当に歩いて人道、探しまーす。




 。。。。。。


数週間後……。


「うん、無理、人道、見つからない。あと、寒い……」


森は広いですねー。広大です。

力強いです。本当に凄いですねセフィルちゃん!




 。。。。。。


そして、そんな遭難中の僕が現在、何をしているのかというと……、引きこもっています。カマクラの中で一日中引きこもっています。



森を彷徨っていると、リンゴの木と金柑の木が、たくさん生い茂っている場所がありました。


「住もう」


僕は無意識に呟いてしまいました。



リンゴは大好物です。

それに、もう本当に寒かったし……。


そんな感じで、僕は村への帰還を一時断念して、ここを拠点にして、引きこもることに決めました。カマクラを作って温めて、あま~いリンゴを食べながら引きこもり生活します。まぁ僕は引きこもりに関しては一家言あります。数日、数か月、なんなら数年引きこもるなんて、僕にとってはお手の物です。



こらからどうなるのかは、まーったく分かりませんが、まぁとりあえずは春がやって来るまでは冬眠です。


おやすみなさーい。

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