表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/140

111.バグダッド攻防戦(14)

プライムローズに突進していくライジングアースです。

 ライジングアースはプライムローズに向けて突進していこうとした……


 しかし、

「僕にはもう、ネオスの目で君たちが捕捉できているんだよ、ライジングアース!」

 ヴォルグラスのコックピット内でヴォルガが言った。

 そして、2機のオルリヌイ・ルーチをライジングアースの機体に向けて特攻させる。

 両腕で、がっしりとオルリヌイ・ルーチを受け止めるライジングアース。

 急速な突撃によって、スーパー・アンブレラでは誘爆の危険があったからである……

 まさに、スーパーロボット的な構図だと言える。

 みしり、とオルリヌイ・ルーチの電子頭脳をつぶして、行動停止させるライジングアース。

 そびえたつ脅威、と言ったところである。


 が、ヴォルガもふふふと笑っていた。

「その状態では、両手のビームは使えまい?」

 またも、一点集中のレーザーでライジングアースを攻撃する。

 脚部のユニットが一部レーザーによってはじけ飛んだ。

 一番弱いところを狙った、ヴォルガの作戦である。

 ライジングアースのコックピットにも衝撃が伝わる。

 コックピット内では、

「ミューナイト、クッショニング・メタル!」

「急いでやっている!」

 ライジングアースの損傷した脚部ユニットにクッショニング・メタルが移動して、その個所を補完した。

 これで、応急の処置は完了となる。


 ──


「くそっ、脚をやられた! ミューナイト、ユーマナイズをいつでも発動できる準備!」

「やりたくないが、やる!」

 斎賀とミューナイトとの会話が交わされた。

 言葉によってである。

 それは、上空のQR‐Xにいるユーランディアにも伝わっている。

 ユーランディアは唇をかんでいた。

 それは、ミューナイトが危機に瀕しているからでもあり、自分の作戦が功を奏さなかったからでもある。

 ユーランディアは、何かライジングアースにとって有利になる策を、また提示しなければならなかった。


「サイガ中尉。敵を一点に集めてください。ライジングアースはその後上空に離脱、ユーマナイズを発動します」

「それができればやってるよ。でもね、それは俺たちに敵の獲物になれっていうことだ!」

「そうでした! 作戦を撤回します」

「撤回はしなくても良い。貴官は引き続き敵のコックピックをハック。その情報を逐次俺たちに送ってくれ」

「了解しました!」

 ユーランディアは、自分があくまでもライジングアースの補佐でしかないことを口惜しく思う。

 自分がライジングアースに乗っていれば……

(戦況を打開できていたかもしれない)と、ユーランディアは思う。

 しかし、それは斎賀を蔑ろにすることだった。

 そこまでの傲慢は、ユーランディアにはない。

 それで、斎賀の命令とは別に敵の無人機群をクラックする方向へと働いた。


 ……


 敵のオルリヌイ・ルーチは、およそライジングアースから約1.5マイル圏内を旋回飛行している。

 そのうちの何機かをクラックしてこちらの味方につけられれば……

 ユーランディアは、即座にそう思って実行する。

 成功!

 敵のオルリヌイ・ルーチのうち6機が、ヴォルグラス、プライムローズ、ヴェガⅡに向かって特攻していった。

 ビッグマンの眼前まで迫る、無人機の機体。

 ヴォルグラスはレーザーによって、プライムローズとヴェガⅡは量子かく乱フィールドによって、それを防いだ。

 それぞれの機体の周囲で上がる爆音。

 爆風によってダメージを受ける機体。

 ヴェガⅡへのダメージがもっとも大きく、ついでプライムローズとヴォルグラスが軽微な損傷を受けた。

 作戦は、一応の成功を収めたのだ。

 QR‐Xのコックピットで、ふうっと息をつくユーランディア。

(自分はこの戦いに貢献できている)

 という自信が、よみがえった。

 だが、その自信が次に何を呼び込むのかを、ユーランディアはまだ知らなかった。


「ミューナイト、作戦を変更する。3機への同時のユーマナイズ照射は諦めて、1機のみに集中させる」

「それで戦況が好転するのか? サイガ?」

「しなくても、そうしなければ、俺たちの命がない。ミューナイト、ハイ・フリークエンシー・ソードを構えろ。どれかの機体に特攻する!」

「ならやはり、プライムローズだな。あの機体のミサイルはぜい弱だ」

「他の機体に比べたらな?」

「それを言ったんだよ、今」

 ミューナイトは不満を漏らした。

 斎賀は答えない。

 戦場での決死の表情になっていた。


 ライジングアースは、ハイ・フリークエンシー・ソードを構えて、目視で確認のできたプライムローズに向かって突進していった。

 しかし、敵も武装を強化してきていた。

 同じくハイ・フリークエンシー・ソードを構えて、ライジングアースの前に立ちはだかるプライムローズ。

 ──

 ソード同士のぶつかり合い、斬りあい。

 超電磁の炎が、2つの剣のあいだで立ち上がった。

 今、ライジングアースのメインカメラと、プライムローズのメインカメラは向かい合っている。

 セラフィアは、「この機体に死を!」ということをずっと念じていた。

 一方の斎賀とミューナイトは、「誰も死なないでくれ」という祈りを祈っていた。

 何度かの剣劇を交わす、ライジングアースとプライムローズ。

 ヴォルグラスとヴェガⅡは攻撃を繰り出せない。

 ライジングアースが攻撃を直前で躱せば、それはプライムローズに当たる。

 車がかりの陣はもろ刃の剣だったと、ヴォルガは悟った。


 そんななか、ヴォルガがレーザーを放った。

「ままよ、これでどうか!」

 直前でジャンプする、ライジングアース!

 レーザーは、プライムローズの左腕にあたって、弾け飛んだ。

「ヴォルガ二将!」

 と、コックピット内で叫ぶセラフィア。

「悪い! 悪かった! いや、すまない、セラフィア三将!」

 ヴォルガは、無線通信でセラフィアに謝罪した。

 プライムローズは、今両腕の二の腕の部分にあるミサイルのうち、左腕のほうが使えない。

 そして、ハイ・フリークエンシー・ソードでの斬りあいも、ライジングアースに優勢になりつつあった。

 その間にも、ライジングアースへと近づいていく、ヴォルグラスとヴェガⅡ。

 1対3の接近戦になれば、確実にこちら(ジェマナイ)側が勝てるはずだった。


 ──


 しかし、そのとき上空のQR‐Xから榴弾の雨が降り注いだ。

 足元で爆裂する榴弾。

 ヴォルグラスとヴェガⅡとはバランスを失って転倒する。

 そのまま、メインカメラのほうから砂漠に突っ込んだ。

「なんだ! この攻撃はっ!」

 上空の「ハエ」を侮っていたヴォルガは、コンソールに向かって罵声を発した。

 同じくピエタ三尉も、ロケット・ランチャーを取り落として狼狽している。

 QR‐Xはただの電子戦機ではなかったのである。

 ユーランディア少尉は、「やった」と思うよりは、ほっとしていた。

 このままライジングアースが上空へと逃れられれば、3体同時へのユーマナイズ攻撃が可能になるかもしれない。


 が、そううまくはいかなかった。

 左腕を地面に残したまま、急速に後退していくプライムローズ。

 そのコックピット内で、セラフィアは叫んだ。

「ヴォルガ二将、後退してください! わたしたちは近づきすぎました! これではユーマナイズを浴びます!」

 それは、南極戦線で未知の光を浴びた、当事者としての言葉だった。

 あれから自分は何かが変わってしまった、とセラフィアは思い始めている。

 砂漠の砂が舞う中、3機のビッグマンはライジングアースの攻撃範囲内から離脱した。

 それは、ジェマナイにとっては屈辱的ながらも賢明な判断だった。

 ただ、砂漠のただなかにプライムローズの左腕だけが残された。


 ──


「これも一つの戦闘だが、いったい俺たちは何をやったんだ?」

 と、ライジングアースのコックピットで斎賀はつぶやいた。

「サイガ、ただの戦争だよ」

 ミューナイトが答える。

 上空のQR‐Xからは、ユーランディアのこんな言葉が聞かれた。

「サイガ中尉。今この瞬間もバグダッドの市街地は破壊されていますが、わたしたちはそれをいくぶん食い止めたんです」

 たしかに、その通りだった。

QR-Xも有能です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ