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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第92話 使い魔を作ります

「ふむ。吾が感知できたのはこの五つであるな」


 魔導師長さんが地図に記した場所は森の奥のほうでした。普通の冒険者であれば、一日を要する距離ですわね。


 私は飛んで行くので、数時間でたどり着きますけど。


 ですから、何か森に異変が起こっても、すぐには対応できない距離とも言えます。


 ただ、微妙に半円状に位置づけられているとも見えます。


 私はそれを平原のほうに写すように印をつけて行きました。


 それを線で繋げ、正五芒星と逆五芒星を描き十芒星の一つの陣にしていきます。


「巨大な陣であるな」


 流石に大きすぎます。これほどの魔法陣は私の知識の中ではありません。

 そして、この中の全ての陣から十体の魂を食らう者(ソウルイータ)が出現したとなるとそれは百体に及びます。

 それだけでも対応ができません。


「今、発動している魔法陣とは逆の魔法陣を停止させましょう」


 既に発動している魔法陣は、破壊する使い魔を受け入れることはありません。

 それよりも逆の魔法陣を完全に停止させることが先決でしょう。


「ん? 森の方の魔法陣の残り四つを止めるのでは駄目なのか?」


 クロードさんの言葉に、私と魔導師長さんが何を言っているのだという視線を向けました。


「連携している魔法陣があれば、全て止めないと意味がなさない場合がある。こういう悪意があるものは、一つを止めても他の魔法陣の影響で起動するように設定が組まれていると考慮すべきであろう」


 直接繋がっているのは、恐らく森と平原の部分を合わせた五つ同士の魔法陣です。

 厄災魂を食らうもの(アルマトルー)のもつ存在意義を考えると、これは崩せないと思います。


 その、守護か悪魔の部分を完全に停止させるのです。


「薬師の魔女。保険としてこれを追加しておこうか」


 そう言って魔導師長さんは地面に書いたある部分を指していいました。

 いいでしょう。


 時間がないので早速使い魔を造るりましょうか。




盈虚(えいきょ)偃月(えんげつ)の光を浴びて呼応せよ。我、禁厭(きんえん)の魔女が夜の底から呼び戻そう」


 夜の空に浮かぶのは明るい光を注ぐ満月と、空に横になるように浮かぶ半月です。


 私の周りに浮かびながら回っている陶器の破片が青白く光りだしました。

 そして私の足元には、魔導師長さんが描いた魔法陣があります。その魔法陣がぐんぐんと私の魔力を吸い取っていました。


「銀嶺の鱗をまとう大蛇よ。大地を這い山へ行け」


 私の横に青白く光る巨大なヘビが現れ、大地を滑るように消えていきました。


「青葉闇をまとう風狼よ。空を駆け葱翠(そうすい)の大地に向かえ」


 反対に新緑の淡い光をまとった大きな魔狼が現れ、空を駆けて飛んでいく。


騒騒(さえさえ)と揺れる葉をまとう霊樹よ。妖精が待つ地に向かえ」


 私の斜め前方に大樹が現れ、空間に溶けるように消えていきました。


「魔を跳ね返す鱗をまとうトカゲよ。大地の闇に紛れ、森の深苑に向かえ」


 私の後方に現れた魔トカゲは闇に消えていきました。

 そして最後です。


「凶刃をもつ蟷螂よ。その羽根にて空を飛び草原の泉に行け」


 私の斜め前に現れた影をまとう蟷螂は、羽を出して空へと消えていきました。

 行き先は予想です。しかし、魔術は基本から外れると術として発動しませんので、合っていると思います。


 これで失敗しても森側の二つは潰すので、時間稼ぎにはなるでしょう。


「腹立たしい。腹立たしい。腹立たしい」


 何故か魔導師長さんから恨めしげな視線と、呪いでも込められていそうな言葉を投げかけられていますが。


「何故に、こうも簡単に使い魔が作れるのであるか!」


 え? 使い魔を作るように言ったのは魔導師長さんですよね?


「だから魔女は好かん! ほれ! さっさと出発するぞ!」


 もの凄く機嫌が悪くなった魔導師長さんは一人杖に乗って、山道の方に向かって飛んで行っています。

 待ってください。足元の魔法陣を今消していますので。


 もし、敵の目に映っては元も子もありませんので、私は魔力を使って痕跡を消しています。


「はぁ、甘いものが欲しいですわ」


 多くの魔力を消費してしまったので、甘いものが欲しいです。

 すると目の前に赤い木の実が!


「レレリエが!」


 高級果実のレレリエが目の前に現れたではないですか!


「パン屋が開いていなかったからな。今日購入したものだから、新鮮だと思うぞ」


 なんとクロードさんが、レメーリアのパン屋さんが開いていなかったので、高級果実のレレリエを買ってくれていたと!


「シルヴィアの好きなものだろう?」

「大好きです」


 そう言って、私はクロードさんからレレリエを受け取って、ぱくりと食べます。

 甘くてみずみずしい果肉が口の中にいっぱいに広がっていきます。


「好きなだけ食べていいぞ。魔力を消費してしまったのだろう?」


 え? 好きなだけ食べていいのですか?

 でもそれだと、魔導師長さんに置いてきぼりに……と思っていましたら、クロードさんに抱えられていました。


 もしかして、このまま移動しようとしていますか?


第92話でした。読んでいただきありがとうございます。

次回は日曜日です。

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