第125話 幸せの組み合わせ
「シャリっとしています!」
シャーベットとはシャリシャリしたアイスクリームでした!
アイスクリームを食べている私の目の前には、近くの屋台からお肉を焼いたものが大量に積み上がっています。
はい、クロードさんが買ってきたものです。
やはり、まだ食べたりなかったようです。
これを見て私は心に決めました。
空腹を紛らわす薬草は二度とクロードさんに使わないと。
そのあとの反動が凄すぎます。
「これもどうだ?」
「パンですか?」
クロードさんは湯気が立つパンを差し出してきました。
焼き立てだから美味しいということでしょうか?
「甘いパンだ。パンケーキというものだな」
「甘いパンですか?」
想像ができずに首を傾げてしまいます。
木の器の上に置かれているのですが? その上にクロードさんがアイスクリームを載せたではないですか。
パンの上にアイスクリームとはこれは如何に?
パンとアイスクリームを一緒に食べるということでしょうか?
渡されたフォークとナイフで切り分けて、パクリと食べます。
「んんっ〜!」
甘くて温かくて美味しいです!
温かいパンケーキというのがふかふかで甘くて美味しい上に、アイスクリームが溶けてソースのようになっているのです。
なんと幸せな食べ物なのでしょう!
「別々のところで買ったのに、こんな美味しいものが出来上がるなんて屋台は凄いです」
「いや、普通は単体で食べるものだけどな」
クスクスと笑いながら教えてくれましたけど、クロードさんが知っているということは聖王国では普通に食べられているものということですわよね。
やはり、デザートのレシピを作り出したという聖女様がいらした国だけはあるということですか。
ですが、パンケーキ一つでお腹いっぱいになってしまいました。
パンケーキ一つがかなり大きくて、まだもう一つあるのですが、食べられそうにないです。
「残った分は食べるから」
あ、そうですか、残りはクロードさんが食べてくれると。これを持って帰るのはどうなのかと思っていたところです。
アイスクリーム。絶対に溶けてしまいますわね。
冷やすための魔法を考えてしまっていました。そろそろ、目的の本屋を探したほうがいいと思うのですけど。
そして、目的の本屋の前に到着しました。
アイスクリームを売っていた屋台の店主に聞いてみると、すぐそこだと教えていただきました。
やはり場所としては合っていたようです。
そして地下へと続く階段がポッカリと口を開けています。
明かりがないのか、どこまで階段が続くのか底がみえません。
怪しすぎます。
魔法で明かりをともし、地下へ降りて……
「シルヴィア、手を」
下に降りるのにクロードさんに手を取られて降りて行きます。
地下二階分ぐらい降りていませんか?
突き当りには、木製の頑丈そうな扉がありました。
『ヘルゲリアの書店』という看板が扉に掲げられており、札が開店になっているので、一応開いているようです。
クロードさんが躊躇なく扉を開けて、中に入っていきます。私も続くように明るい店内に足を一歩踏み込みました。
「あっ」
「どうした? シルヴィア」
「いいえ、何でもありません」
これは魔女の中庭に行く門と同じですわ。
別の場所に移動したようです。
そして店内は看板が示していたように、本が天井までみっちり並んでいます。
あら? これ二階分というより三階分ぐらいの高さがありませんか?
そしてかなり広いです。
「凄い蔵書数だな」
クロードさんも感心する本の量のようです。
しかし、これだと目的の本がどこにあるかがわからないですね。
「検索の魔道具はどこにあるのだろうか」
「検索の魔道具って何ですか?」
「ん? こういうところには検索魔道具が必須だろう?」
私の魔女の知識にはないものですわ。
くっ、私に知らない知識が多すぎます。
これはこの機に、空白の期間を埋めるための知識を得るのです。
「クロードさん。私は別の本を探したいので、別行動しましょう」
「まぁ、そうだな。シルヴィアにドラゴンの本は必要ないだろうし……だが、迷子にならないか?」
「……」
迷子にならないのかと言われると、この広さはならないとは言い切れません。
これ、どうみても空間拡張されていると思うのです。
それにところどころ歪があって、角を曲がったら別のところに飛んでるとかありえます。
「はぁ、元の場所に戻れない可能性もあるので、やはりいいです」
「元の場所に戻れない?」
「ええ、そこの本棚の角を曲がると、あっちの角に出てくるとかですか」
なにですか? クロードさん。
堂々と入っていったので、こういうことは考慮されていると思ったのですが?
大通りにあるので大丈夫かと思ったのですが、やはり大丈夫ではありませんでしたね。




