28話 マチネ
季節は夏になり、朝もとても暑くなってきて、寝苦しくてつい、早起きしてしまった。
七瀬真夜は夏になってから、最近は少し体力づくりという名目で、早起きしてジョギングをするようになっていた。
真夜は起きてからすぐに洗顔、歯磨きして、動きやすそうな半袖シャツ、短パンに着替えた。
そんなふうに真夜は準備していると、隣の部屋から姉の真昼が顔を出す。
真昼はとても眠そうな顔をしてこちらを見てきた。
「ふはあ。おはよ、真夜ちゃん」
「あ、ひるねー。起きてたんだ。それとも私、ちょっと起こしちゃった感じ?」
「いや、たまたまだよ。今日、久しぶりに大学の授業に行こうかと思って」
真昼は大学生であるため、朝9時から授業に行くということらしい。
「まあ、最近授業行けてないから、そろそろヤバいなって思ってね。朝だけど、授業行きまーす。ふはあー」
「てか、大学生ってなんで朝の授業とかすぐサボろうとするわけ? しかも9時だよ。絶対起きれる時間なのにさ」
「んー、なんでか、たまに起きれないんだよね。まあ、真夜ちゃんも、大学生になったらわかるよ」
「私は多分、朝はきっと行けると思うよ」
「それはどうかなー。まあ、それよりもそんな格好して、今から運動したりするの?」
「まあ、そんなところ。最近あまり運動できてなくて、朝からちょっと走ってこようかなって」
「なるほど。で、どのへん走るつもりなの?」
「そうだね、生の松原の方角に向かって走ろうかな。松林を横目に走れて朝から気持ちよさそうだし」
「松林浴かー、いいね」
「何それ?」
「森林浴の松林バージョン」
「なるほど」
真夜はランニングシューズを履いた。
すると後ろから真昼も来て、なぜだか運動服に着替えていた。
真昼もランニングシューズに履いた。
「え、授業は?」
「大丈夫! 間に合うから」
「本当は行かないつもり?」
「いや、ちゃんと行くって、正式には授業スタートから30分経って」
「なんでだよ」
「なんならジョギング後は車で高校まで送っていくよ」
「んー。じゃあ、一緒に走る」
「真夜ちゃんは、欲に正直だねー」
「別にそんなことないけど」
真夜は少し腑に落ちない様子のまま、真昼と一緒にジョギングをすることにした。
*
時刻は朝6時ごろ。この時間から30分くらいジョギングをすることにした。
今日は真昼と一緒に生の松原の辺りを走る。
松原をジョギングしていると、犬を散歩している人と遭遇したり、通勤している人、あとは真夜たちと同じようにジョギングしている人がいた。
とりあえず二人は並列しながらジョギングしていた。
ふと走っている最中、真昼の様子を見てみると、まだまだ体力が有り余っているようで、真夜のすぐ隣を並走していた。
「ひるねー。やるね」
「まあ、これでも体力には自信あるものでして。というか真夜も中々良いペースで走るね。運動部というわけじゃないのに」
「まあ、これは最近、走っているからだと思う。最初のうちは1分走ることすらきつかったんだけどね」
「へー。いいじゃん。じゃあ、この松林を走り抜けて、海を見に行こう」
「いいね。そうこなくっちゃ!」
真夜はノリノリで少し走るペースが上がった。
30分ジョギングしていたら、小戸公園の方まで来ていた。
小戸公園は海を一望できる福岡の絶景スポットの一つである。
公園に入って、二人はレンガの道を歩きながら海を眺めていた。
途中、真昼は散歩している犬を見つけては撫でに行っていた。
「いやー。柴犬可愛いですねー。何歳くらいですか?」
「えっと2歳だよ」
「そうですか。可愛いですねー」
相変わらず真昼のコミュニケーション力には驚かされる。犬を連れて散歩している人ともすぐに打ち解けているようだった。
だが、犬をずっと触り続けていた訳か、番犬のごとく吠えられてしまった。
真昼はお辞儀をして犬にお別れを告げると、石の階段に腰かけた。
真夜も同じように真昼の隣に座った。
「いやー。朝の空気は良いね!でも、なんだか少し暑くなってきたかな」
「うん。夏だねー」
「そうだねー。真夜ちゃん。ジョギング後にサウナはどう?」
「この辺にサウナなんてあるの?」
「うん。あるよ。ちょっと車で数分のところだから、私出すよ」
「うん。ひるねー車、お願い」
真昼の運転の元、二人はサウナに行くことにした。
*
温泉でサウナに浸かって、7時になったところで近くの飲食店で朝食を取ることにした。
朝食を取ってからは真昼は真夜を高校まで送っていく。
「じゃあ、いってらっしゃい。あ、帰りはちょっと遅くなりそうだから」
「ひるねー。ありがとうね」
「うん」
真昼は別れを告げて、車で走っていった。




