33.不能
「気付いておられたか」
「言い淀むことが少なそうですから、分かりますよ」
「欠陥がある」
「え? 何処か悪いんですか!?」
大変だと慌てると、冷静に告げられる。
「否、感知不能だ」
「ん? んん? フェロモンを?」
将軍さんが肯定し、自嘲気味に笑う。
「睡眠ばっちりだから、効かないって訳じゃなくて!? フェロモンの効果が無いんですか!!」
静かに諦めたように頷く将軍さんに、私は更に言い募る。
「将軍さん、フェロモン以外の休める方法を探しましょう! 絶対、働き過ぎです。この国の人は皆、一回はフェロモンで睡眠とっていますけど、将軍さんだけは寝ていないって事じゃないですか!!」
フェロモンが効かない蟲人さんなら、ここぞとばかりに働くよね。それでかー。将軍さんは消臭に失敗すると何時だって城を見回って、蟲人を回収してくれてた。もう。
「蟲人にあるまじき」
「そういう人もいるんじゃないですか? 蟲人さん以外は何も感じない人が大半ですから」
「其処が覆った」
さっきまで己を恥じるような態度だったが、切り替えてくれたようだ。良かった。フェロモンの効果が出ない問題は、フォローの仕様が無いからどうしようかと思っていたんだ。何せ、フェロモンが出ていることすら分からないからね。感知すら無理。
「ああ。樹人さん達。どうなりましたかね?」
遠くを見るかのように将軍さんが佇んだ。
「進展は無いようだ」
「エル、大変だなー。ところで、フェロモンが原因で樹人さんが来たのは間違いなんですか?」
「おそらく」
「でも、フェロモンを何処で拾うというのが正しいのか分かんないですけど、感じとったんでしょうか? 商品化はまだだし、ずっと消臭していますよね?」
将軍さんが部屋の窓へ近づくと、私にその場で留まるように言いつつ、尋ねて来た。
「これに見覚えは?」
「あ、エルの蝶々」




