11.全員
「分かんない」
自信あるよ。
「そこ、大事だよ。えー。最初は何処にいたの?」
「道? 遠くに森?」
これも自信ある。
「この国は大体そう」
そう言われちゃうとなー・・・。他か、他はー。とりあえず、名前を知っている人を出してみた。
「・・・トッド君に会ったよ。犬っぽい子」
「ああ。そっちから!」
「え? それだけで分かるの?」
え? 本当に? 駄目元だったのに。
「この国、皆、顔見知りだから」
「わお。それでかー」
凄いね。人が少なめ? それとも国民の記憶力が凄いの? とんでもない国に来ちゃったな。私は全員、覚えられる気がしないよ。
「それでもさ、何処から来たか位は把握しておいてよー」
「だって、この城、分かり辛いんだもん」
「誰もいなかったしねー」
「でしょ!」
私の意図する所が分かったのか、エルが行動を起こす。
「距離が開いて、フェロモンの効力が薄まれば、目が覚めるかどうか・・・」
「不吉な事を言わないで。後、そうなったらエルも責任問題だよ」
「!」
エルが崩れ落ちた。まあ、そうなるよね。でも本当にそのままは困るよ。地球にいた時は、殺虫効果は無かったはずだから、大丈夫なはず。誘蛾灯のように近付きすぎて、ばちっと落ちちゃったりもしていない。ある程度の距離で取り巻かれているだけだから。
「あ! 門番、起きたよ」
エルが瞳を瞬いて教えてくれる。
「私が最初に入った門の門番さんかな? 一番はフェロモンだけ集められれば良いのだけれど、どう?」
「・・・それはまだ」
「じゃあ生活している人に余り影響がないくらいの風をおこして、匂いを飛ばすしか無いんじゃない?」
「よし」
ふわっと瞬間的に風が吹く。お城の空気を入れ替えるような魔法なのかな? 掃除の時とか便利そうだな。
「どのくらいで目が覚めるか見ておいてね。後は、どこかで固まって吹き降ろさないように気を付けて」
「そうだね」
特に変わった所は無いよね、私達には。きっと、どんどん目覚めているんでしょう。




