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21.誘拐現場に遭遇

ポールの店を出たブリアは街の細い路地や暗がりの路地などを見て回っていた。


そう簡単には誘拐現場には遭遇なんてしないかと思いポールの店へ戻ろうとした時ブリアの耳に微かに何か聞こえたのだ。

それは確かに『助けて…』という声だった。

本当に微かにしか聞こえずその声がどこからしたのか辺りを見渡すブリア。

人通りの少ない路地へと入っていったので人は居ない。

人がいない静かな空間でブリアは耳をすませた。

そして、微かに聞こえる声の方へと走ったのだ。

走った先は人が一人二人ほどしか通れないほどの狭い路地であった。

そこに居たのは男二人と一人の少女であった。

男達は少女の腕を掴み自分達の方へ引き寄せた。

ブリアはその様子を目にして誘拐犯だと思う前には身体が動いていて狭い路地をもの凄い速さで走りあっという間に男達の前にたどり着いたのだった。


「あんた達、その子をどうするつもり?とてもお友達の様には見えないけど?」


ブリアは男たちに話しかけた。


「おめぇ、誰だよ。おめぇには関係ねぇだろ……っておい。おめぇ服装は質素だがなかなかいい顔つきしてんじゃねぇか。まさか一度には二人の収穫ができるとはな…」


男の一人が威勢よく言ったかと思えばニヤつきながらブリアへ言った。


(こいつらが例の誘拐犯?こんな弱そうな奴らが?見た感じ手口としては少女を気絶させてそこにある袋に入れてどこかへ運ぶ手はずって感じね…良かったわ…この少女が気絶させられる前に気づいて…相手は二人だけどこの程度の奴やなら問題なく片付けられるわ。)


ブリアはそんな事を考えていた。


そんな事を考えていたら男の一人がブリアに近づいてきた。


「さぁ…お前もこっちへこい!」


男が威勢よく言った瞬間、ブリアは思い切り男の股間に蹴りを入れた。

いきなり股間を蹴られたら男は驚きと痛みでその場で悶絶していた。

それを見たもう一人の男がブリアに向かい走ってきて思いきり腕を振り上げその腕をブリア目掛けて振り下ろした。


「このガキが調子に乗りやがって。痛い目見せてやる。」


男がそう言った瞬間、ブリアはしゃがみ体制を低くして振り下ろされた男の手をかわして男の下の位置に入り込み今度はブリアが思い切り男の顎を目掛けて拳を振り上げたのだ。

その拳は思い切り男の顎へと入った。

顎に思い切り拳を入れられた男は地面に倒れ気絶していたのだ。

それを見てブリアは素早く男達が持っていたロープを拾いそのロープを男達の足と手に縛り付けたのだ。

そして誘拐されそうになっていた少女の元へ駆け寄った。

 

「大丈夫?どこか怪我はしてない?腕を強く掴まれてたでしょ?」


ブリアは心配そうに少女に話しかけた。


「うん。大丈夫。掴まれてる時にお姉ちゃんが助けにきてくれたから。」


少女は今にも泣きそうな顔をして応えた。

少女はどこも怪我はしてないようだった。


「そう。それは良かったわ…どこも怪我してなくて…どうしてこんな場所にいたの…一人で危ないわ…」


ブリアは少女に尋ねた。


「母さんと買い物にきてたんだけど途中ではぐれちゃって母さんを探してたらここへ迷い込んでしまったの…」


少女は不安そうに応えた。


「そう…それは大変だったわね。早くお母さんのところに戻らないとね…」


ブリアがそう言った時だった。


「そこにいるのは誰だ!そこで何をしている?」


男性の声が突然したのだ。

そして、そう言いながら二人の男性が路地へと入ってきたのだ。

そして、ブリア達の近くまできた男性達は地面に手足を縛り付けられ転がっている男二人を見て驚いた…


「これは…一体…何があったのだ?」


男性の一人がブリア達へ尋ねてきた。

ブリアは男性の一人の顔を見て驚いだ。

何とその男性の一人は皇太子のロンであった。

ブリアはまずいと思った。


(やばいわ。あれ皇太子じゃん。何でこんなとこに皇太子がいるわけ?いや、そんな事よりあたしの正体がバレるのはヤバいわ…どうするかなぁ…とりあえずこの状況は説明しなきゃだしこの子をお母さんの元に連れて行ってあげなきゃなんないしな…どう言ってこの場から逃げようかな…)


ブリアはそんな事を考えていた。

そして、何も言わずに逃げると逆に面倒な事になると思ったブリアはブリアが少女を誘拐しようとしている現場を見つけた時の事からを全てロンとロンの護衛の専属騎士であるスコットへ説明したのだ。


「話はわかったがこの男達をこのように拘束までしたのは君が一人で全部したのかい?」


ロンがブリアへ眉を潜めながら尋ねる?


「はい。そうです…」


ブリアはそう応えた。


「君は見たところまだ少女と呼べるほどの様な子だが…君にこんな大の大人二人を倒して拘束など…」


ロンは明らかに疑いの目でブリアへいう。


(そりぁそんな目で見て疑うよね…普通はこんな女の子が大の大人を軽々倒せるなんてありえないもんね…わかるわかる…でもね…あたしには出来るのよ…前世で赤毛の鬼と呼ばれたあたしにはさ…はぁ…どうやって誤魔化そうか…)


ブリアはロンに疑う様な目で見られながら考えていた…


「私は幼い頃より、人より力が強いのです…それに兄妹喧嘩もよくしてましたので…それでいつの間にか喧嘩が強くなっていて……ハハ…それよりこの女の子はお母様と離れて迷子になってしまった様なのでお母様を探してお母さんの元へ返してあげて頂きたいのですがよろしいですか?」


ブリアがロンに尋ねた。

ブリアは目の前にいるのが皇太子であった為に無意識に喋り方が貴族の様な口調になってしまっていたのだ。

ロンはその喋り方も気になったようだったが先に少女の母親を探してあげなければと思いスコットへ指示をした。

ロンがスコットへと指示をしている隙きを見てブリアは猛ダッシュでその場から走り去った。

あまりの速さだったのでロンとスコットはブリアを止めることができなかったのだ。


ブリアは止まることなくポールの店へと戻り急いで荷物を持ってポールに挨拶をして邸へと戻ったのであった。

そして無事に邸に帰宅したのであった。

ブリアは自室へ戻り一息ついた。


(本当に今日はやばかったわ。まさか皇太子に遭遇するなんてね…あたしの正体ばれてないよね…変装してたし口調も変えてたし。まさか令嬢があんなとこにいるなんて思いもしないだろうしね…あの女の子は無事にお母さんの元へ戻れたかしら…皇太子の護衛の人もいたし戻れたわよね。それにしても誘拐犯があまりにもポンコツだったのも少し腑に落ちないし、皇太子が何であの場にいたのかも謎だわ…これはもう少し調べる必要のある案件みたいね…)


ブリアはそんな事を考えていると疲れたのかいつの間にか眠っていたのであった。




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