15.ロナ王子殿下
ロナとブリアは園庭を後にし生徒会室へと向かった。
生徒会室には制服の予備が備え付けてあったのだ。
生徒会室へ向かう途中ロナがブリアに話しかけた。
「ブリア嬢、何故侯爵令嬢である君があの場に?」
ロナは疑問に思っていた事を尋ねた。
「はい…食堂へ向かう途中に園庭から人影が見えたものですから気になり園庭へ足を運んでみましたら令息の先輩方がいらっしゃったのです。どうも雲行きが怪しいご様子でしたのでパリエ子爵令息様にお話伺ったところどうもおかしな事を言われておりましたので納得がいかず結果、わたくしが代わりに水をかぶりました…」
ブリアはロナに説明をした。
「パリエ子爵令息は私とは同級生なのですがあまり良い噂を聞かない方でしたがまさかあの様な貴族して恥ずかしい行動を取っていたとは…ですが、令嬢であるあなたが水をかぶらなくとも良かったのではないですか?」
ロナは更に尋ねた。
「あの時、わたくしが水をかぶらなければ男爵令息様が水をかけられていました。不理屈な理由で水をかけられるなどおかしな話ですから放っておく訳にはわたくしには出来ませんでした。それに侯爵令嬢のわたくしが水をかぶれば遅かれ早かれその事実を子爵令息様もお知りになったでしょうしそうした方が子爵令息様にもお灸を据えることができますでしょ?」
ブリアは少しニヤリとした顔でロナへ説明した。
ロナはそんな事を言うブリアに驚いていた。
「ブリア嬢はそんな事まで考えての行動だったのですか?あなという人はなんというか…ハハハ…では、あの時私が来なくとも一人でどうにかできた訳ですね。」
ロナは驚きつつもブリアのその考えを聞き思わいながら言う。
「いえ…あの時に王子殿下が来てくださったので遅かれ早かれが早かれになり子爵令息様の焦った表情も見れましたのでスッキリしましたわ。王子殿下が来てくださったお陰ですわ。」
ブリアは言う。
「では、私も力になれたという事ですね。それで…私のことはロナでいいですよ。王子殿下と呼ばれると堅苦しくなりますので。」
ロナは言う。
「いえ…その様な呼び方は出来ません…恐れ多いです…」
ブリアが応えた。
「では、王子としての命令でもですか?」
ロナはふふ…と笑いながら言う。
「命令でございますか?ここで権力をお使いになるなんて…」
ブリアは苦笑いしながら応えた。
「はい。ここで使います。」
ロナはニコリと笑いながら応えた。
「……畏まりました。ロナ殿下。」
ブリアは諦めた様に言う。
「ロナ!ロナで構いませんよ。」
ロナは応えた。
「いえ…さすがに呼び捨てには出来ませんので…では…ロナ様でご勘弁くださいませ。」
ブリアは勘弁してと言わんばかりの表情でロナへとお願いした。
「うーん…仕方ありませんね…では、そちらの呼び方で良しとしましょう。」
ロナは微笑みながら応えた。
「ありがとうございます…あの…でしたら王子……ロナ様もわたくしに対して堅苦しいお話の仕方はおやめいただけると嬉しいのですが…」
ブリアはロナに言う。
「……わかったよ。では、私も気兼ねなく話すとしよう。」
ロナが応えた。
「はい…ありがとうございます。助かります。」
ブリアはニコリと微笑みながら応えた。
そうしている間に生徒会室へと着いた二人はブリアの寸法に合った制服の替えを取り出した。
「ロナ様、制服の方ありがとうございます。本当に助かりました。お兄様達にあの姿のまま会っていたら何を言われどうなっていたか想像が付きますので…わたくしは更衣室へ向かい新しい制服に着替えてから食堂へと向かいます。」
ブリアはロナへお礼を言う。
「そうだね。確かにアーサー達が君のそんな姿見たらどうなっていたか私にも想像がつくほどだからね。愛されている妹は大変だね。さぁ、あまり遅くなるといけないから更衣室へ行くといいよ。」
ロナは応えた。
「はい。ありがとうございます。それではロナ様、失礼致します。」
ブリアはロナへ丁寧に挨拶を済ませて更衣室に向かい急いで着替えを済ませた。
(兄弟でもあーも違うもんよねぇ。兄の皇太子はバキバキの作り笑顔で腹の中は真っ黒。弟の王子は自然に笑ってた少し物静か系。あたしは兄妹いないしよくわかんないけどそんなもんなのかなぁ。まーお兄様達もたか兄とアミルもそれぞれ性格違うもんねぇ…)
そんな事を考えながら食堂へと向かったのであった。




