03
ペース早いです。
また五分くらい刑事さんと話して、おやすみなさいを言ってカズは携帯を閉じた。
ぎろり、と睨まれる。
「しず」
「はい」
「お前、何が、特に何も、だこの馬鹿が」
ぎりぎりぎりぎり。
久しぶりに梅干やられた、いたぃいいいい!!!三十秒くらいで解放されたけど、三途の川が見えた気がする、それくらいカズのお仕置き(うめぼし)は痛い。
「・・・ごめん?」
「・・・・・・・・・恐かったか」
「え、・・・と、へへ」
「笑うな」
ペシッ、と止めに叩かれて、私はとうとう頭が痛いいたいと泣いてしまう。これは安心したからじゃない、違うんだ。違うったら違う。
ゆらゆらゆらゆら、カズの腕の揺り篭で痛いのが収まるまでめそめそした。これはカズの虐待のせいだから、仕方ない、カズが悪いんだうん。でもね。
「ごめんね、カズ」
「謝る事でもねえだろ・・・ったくほら、行くぞ」
「何処に?」
「お前のアパート、荷物取りに行くんだよ。おらさっさとしろ」
「え、何で荷物?お泊りするの?」
「ここにな」
「カズの部屋にお泊りするの?何で?」
「・・・お前に脳味噌は無いのか?」
「あるよ?」
カズは今度こそ呆れたらしい。そのまま私の手を引いて家から出て、さほど遠くない私のアパートまでてくてくてくてく。
嘘だよカズ、本当はわかってるよ、でもわかってるけどそうしたらまた謝っちゃいそうになるから、迷惑かけてごめんね、危ないことに巻き込んでごめんなさい、心配かけてごめんなさい。でも私よりもうんと強いカズはそんなこと気にしないから、私は言わない、言ったら言ったで困った顔をするだろう。何だ今更、お前に謝られるとか痒い。とか絶対言うだろしつれいな!
3階建てのアパートの二階角部屋、そこが私の城で御座います。
ちょっと汚いね、うん。でも気にしない気にしない。洗濯物溜まってるけど気にしない。あ、パンツ干したの一枚減った、ちくしょうストーカー許すまじ。
「お気に入りだったのに・・・」
「餓鬼臭い下着なら惜しくないだろ、早く荷物詰めろ」
「しつれいな・・・」
餓鬼臭いとか・・・中学んときに買って履き心地抜群な愛用品だったのに。そういえば愛用品ばっか消えてくな、ちくしょうストーカーばくはつしろ。
「色気皆無だな」
「あ、ちょっと何見てるのそれプレミア物」
「何でアニメTシャツ・・・つかこれ丸っ切り小学生向けだろ」
「ふふん、現代アニメのニーズは実は大きなお友達対応なんだよ!」
「・・・理解出来ねえ」
実はちょっぴり、いや結構オタクですのワタクシおほほほほ。外出する時は自粛してるけど、部屋着は結構アニメのキャラTとかね、着ちゃうよえへへ。実は盗撮写真で一番恥ずかしかったのそこです、キャッ。でも薔薇と百合には手出してないんだからノーマルでしょ。
そしてカズはスーパーノーマルだ。ちくしょうリア充ばくはつしろ。
「荷物詰めたよ」
「おい、その奇怪な塊何だ」
「え?これは抱き枕」
「・・・その血濡れの熊抱いて寝んのか」
「うん」
真顔で答えたらカズが頭を抱えて振っていた、しつれいな、これはお子様にも大人気なちょっぴりグロくて可愛い、グロ可愛いクマちゃんなんだぞ。
そんでこのべちゃあ、と胸にかかっている赤いのは実は血じゃないんだ、狩った猪の返り血っていう設定。ワイルド系のかっこ良さも表現したグロカッコ可愛いクマちゃんだ。カズにあれこれと説明して理解を得ようとしたけど、解りあえませんでした、無念なり。
それから少しの論争の後私は嫌がるカズを説き伏せ、グロカッコ可愛いクマちゃんを合わせた荷物を纏めて、冷蔵庫から傷みそうな物を回収してカズの家へ戻った。
クマちゃんを抱いて歩く私を終始つめたいしせんで見ていたカズには、後でグロカッコ可愛いクマちゃんの着ぐるみパジャマを着て見せてあげよう。




