異世界
ここは現代世界とは違う、ちょっと変だけど、平和な世界。だから、某アニメで見るカッコいい戦闘シーンとかはない……と思う。
よく見る異世界ってものは電波がなかったり、中世ヨーロッパ見たいな城で変な事件が起こったりとかが、ベタだと思っている。と言っても僕はあんまり異世界に興味が無いもので。
だが! ここでは電波ある! スマホある! 最高だろー! という感じだ。もはやこの世界に飽きはしない。
そんなアホな事を考えて、村外れまで散歩に来た、その時だった。
「……?」
山道の端っこ。岩に隠れていてよく見えなかったが、居る。誰かが横になって倒れている。
「だ、大丈夫ですか……?」
近くまで駆け寄り、状態を見た。外傷は特に目立つものがない。ならば、失神系だろうか。
山道と言っても、普通にパワーロードがある。しかも歩道はほとんどない。パワーロードは……まぁあれだ! 速くなるクスリ? を飲んだやつ専用の道路だ!
「……っ」
今。確かに今、反応があった。手の指の先がピクリと動いた。口が動いている。何か言っている。でも聞き取れない。僕の耳を口に押し当て、なんとか聞こうとする。
「……腹減った……」
「……え?」
水……水……。とかを予想していたが、まさか腹減ったが来るとは思っていなかった。しかもガッツリ文章だし。いや、喋れてるし。何も問題ないじゃん。
「あ、はい……!」
僕はかけなしの給料で買った、パンの耳をあげた。
「ゲホッ……下手くそ……」
「……水です」
もう嫌だ。コイツの相手をしたくない。一生。僕は焦ることもなく、冷静に水を口に運んでやった。
「……それを続けろよ」
何言ってんだ……。その言葉をぐっと堪える。恐らく、餓死状態で周りの状況を整理できていないのであろう。
「はぁ……助かったよ」
「それならよかったです。では……」
「まぁ、ちょっと待たんか」
手を掴まれた。その衝動で顔をまじまじと見た。
「あれ……」
冷静に見たコイツの顔は。はっきり言おう。馬鹿かわいい。まず白い髪、色のない目。そして、小さすぎる顔! まぁ……だけど、癖が強いお方だ。
「お主。ワシを看取ってくれんか!?」
「……はい?」
その声は看取ってくれ! と言うには幼すぎる声だった。ハスキートーンが鼓膜に響く。あとついでに耳長い。
「いやぁ! ワシももう先長くないもので」
「それは……どうして……?」
「普通に寿命!」
やっぱりコイツと呼ぶことにする。コイツは軽く笑い飛ばして、重い話をする。こっちもどんな反応していいかわからない。
「とりあえず、お前の家行くな!」
もう決定事項だった。




