表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/88

エルドラードの終焉

アンドロメダ宙域、M110コロニー。かつて銀河で最も先進的な科学技術を誇り、「エルドラード」とも呼ばれた都市が、突如として消滅した事件。





M110コロニー(エルドラード)は、宇宙における希望の象徴だった。最先端の技術が集まり、天才的な科学者たちが新たな未来を創り出す場所。街を歩く者たちは皆、どこか誇らしげだった。広大なドーム都市には空中庭園が広がり、清潔な大気が循環する。宇宙のどこよりも快適な暮らしが提供され、人々は進歩と繁栄を謳歌していた。


だが、それは表の顔に過ぎなかった。


M110コロニー(エルドラード)の中には、惑星連合ヘラに従う者、銀河帝国ギルガメシュに懐柔された者、双方のスパイが暗躍していた。コロニーは次第に独り歩きを始め、もはや単なる研究施設ではなく、一つの巨大な惑星国家に匹敵する影響力を持ち始めていた。支配層の一部はその力を利用し、密かに軍事開発を進め、技術を武器に戦争のバランスを保つ役割を果たしていた。


そんな中、研究施設では秘密裏に行われていた実験が、一つの結末を迎えようとしていた。





警報が鳴り響く。警戒灯が赤く点滅し、研究施設内の空間は異様な熱気と緊張感に包まれていた。白衣の男女が血相を変えて駆け抜ける。爆発の衝撃で施設の壁面がひび割れ、煙が立ち込める。


走る二人の科学者。男は手にデータ端末を握りしめ、汗を拭う余裕もなく前を見据えていた。女性は必死に何かを抱え、背後を何度も振り返る。


「もう時間がない…!」


施設の長い廊下の奥、影が動いた。冷たい金属の足音が響く。ゆっくりと、だが着実に彼らを追い詰める者たちがいた。漆黒の戦闘スーツに身を包んだ追手たちは、焦ることもなく淡々と前進している。その統率の取れた動きには、無駄な感情が一切なかった。


「逃げ道はないぞ。大人しく渡せ。」

先頭に立つ男は冷酷な声で命令する。


彼の目は何の感情も宿していない。背後の兵士たちが無言で銃を構え、標的をロックオンしている。

科学者たちはお互いに一瞬視線を交わした後、震える手で何かを操作した。


「やめろ…何をした?!」

兵士が銃を向ける。


しかし、次の瞬間、科学者の手元に握られた小さなケースが差し出される。それは、「賢者の石」と呼ばれる物質の原石だった。ケースの内部で赤子のような形をした物体が静かに脈動している。

男は一瞬だけそれを見つめると、手を伸ばし、静かに受け取った。そして、まるで儀式のように、無言で銃を科学者夫婦に向ける。


「これが……賢者の石か。」

静かに呟いた直後、乾いた銃声が響いた。


その瞬間、場にいた全ての者たちが突如として頭を抱え、膝をついた。耐え難い耳鳴りが鼓膜を突き破るように響き、脳を焼き尽くすかのような激痛が走る。無表情だった兵士たちすら、呻き声を上げ、視界が揺れる。誰もが意識を保つのに必死だった。


そして、それを感じ取ったのは彼らだけではなかった。


宇宙の彼方、小さな存在が何かを感じ取った。

悲しみ、絶望、怒り――それらが渦巻き、彼らの思念が宇宙空間に解き放たれた。


次の瞬間、爆発が起こった。しかし、それは単なる爆発ではなかった。

建物が崩れるどころか、星そのものが光に呑まれていく。研究施設の爆破以上に、超常的なエネルギーが宇宙を震わせる。エネルギーの暴走が連鎖反応を引き起こし、M110コロニー(エルドラード)は一瞬にして消滅した。


宇宙の彼方で、M110コロニー(エルドラード)の消滅が観測された。





その夜、遠く離れた惑星の片隅で、一人の星読みが空を仰いでいた。

静寂の中、夜空に二つの光が連なって流れる。


「連なる流れ星……凶兆か。」


それは、まるで何かが宇宙の深淵へと駆けていくかのようだった。

壮麗な科学都市は、一瞬にして閃光となり、闇に溶けた。

銀河歴史上最大の未解決事件の一つとして、今もなお多くの謎を残したまま…。



はじめまして。

ほしのみくると申します。

小説書いたことは無いですが、書き始めたので是非皆さん読んでいただければ嬉しいです。

小さいころから漫画家に憧れていたので、幼いころからずっと心にあった物語を、いい大人が必死になって今書いています。楽しんでいただけることを願っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ