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閑話 ホネオ


 どうやら俺は死んだ拍子に異世界いうやつに召喚されたらしい。


 いや、転生と召喚とはちゃうんやろか?

 

 詳しい事は分からへんけど、どっちにしても俺は今、骨だけになって今まで生きた世界とは別の世界にいる。


 こんなんでも意識はちゃんと在るし体も動くし、一応生きてる言うてええんやろか。


 せやけどこの世界、下着は無い言うし、JKは居てへん言うし、前世のままこっちに来てたら半日で絶望して首吊ってたかもなぁ。


 ほんま変な話やで。


 だいたい俺が普段使った事ない関西弁を喋ってるのがまた変な話や。


 

 俺は産まれてこのかた富山を出た事が無い男やった。


 県を東と西に分ける、梨の産地で知る人ぞ知る丘陵地辺りに住み、高校まで近くの学校に通った。


 大学も近くの比較的最近薬大と合併した学舎を持つ国立大学の医学部に入った、他の奴に言わしたらそこそこ出来る奴なんやで。



 大学入試の受験勉強で色々溜まってた時に、ストレス発散やいうてちょっとしたゲームをクラスの皆でやってんけど、一発で負けた俺は罰ゲームとして隣の席に座るビッチ系女の子にルーズソックスで顔面を踏みつけられる事になったんや。


 何その罰ゲーム?いやいや、ご褒美やろ!ってな。

 それがきっかけでまず俺は靴下に目覚めた。



 同時に女の子の方も俺の顔を踏みつける快感に目覚める事になってん。



 お互い勉強にストレスを抱えた身の俺達は、事ある度に踏みつ踏まれつを繰り返し、段々とそれはエスカレートしていく。

 

 罰ゲームから二ヶ月が経った頃には、その子は履きっぱなしの香しいパンツで俺に顔面騎乗するまでになっとった。



 むはっ!


 今もしっかりメモリーされてる蒸せかえるような薫りが蘇るわ。



 東京の大学に行ったあの子とは高校卒業してそれっきりやったけど、いっぺん目覚めた俺はもう止まられへんかった。



 一応ちゃんと医大もストレートで卒業したし、地元のボルタリングサークルで体も鍛えた。


 コネで地元の内科医院に勤め始めて対外的には爽やかで真面目な医者をやりながら、非番の時は獲物を求めて徘徊しては物色し、コレクションを嗅いでは心を満たしてた日々やった。 



 そんなある日あの子に似た匂いの靴下に出会い……もう他になんも考えられへんかった。


 夢中で追いかけ一心不乱に壁をよじ登って…


 落ちた思たら骨になってこっちでホネオですわ。


 も一回あの子に会って顔面騎乗や靴下ぐりぐりしてもらいたかったなぁ…



 こっちで最初に俺が目を覚ました場所は森の中で、地面にバラバラやってんけど、すぐに骨が組上がって立てってる状態になった。


 不思議と自然に足元にあったボロキレを纏って、同じく足元に転がってたボロっちい剣を手にした。


 

 そこまでやり終えて、やっと現実に追い付いた俺の脳ミソ…は無いやん、俺の意識は、あまりに現実離れした現実に再び大きく現実から引き離される事になってん。


 頭ん中、真っ白や。


 あ~、どうせ骨やし白くて当たり前やいう突っ込み、いらんで。


 何言うてんのか分からんよなってくるわ、ホンマ。



 なんせ、頭おかしぃなったんちゃうかって軽いパニックになった俺が直後に会ったんがリリィはんとスラマサはんや。


 ゴブリンとスライムが日本語喋ってんのはなかなかシュールやったなぁ。


 あと、リリィはん、スラマサはんいう呼び方は俺の脳内限定なんはナイショや。


 脳内いうても脳無いけどなぁ。 



 スラマサはんの事は置いといて、リリィはんは見た目まんまゴブリンやったし、ハゲにペッタンコにTシャツ短パンやから雄やとばっかり思ってそう言ったら、いきなり脳ミソ揺さぶられた。


 あぁ、脳ミソ無いんやったなぁ。

 リリィはんの胸と一緒や。  


 口より先に手や足が出るし、俺に関西弁喋らすし…あ、標準語との選択肢はあったんやったなぁ…失敗したわ、標準語にしときゃ良かった。

 

 すぐにバラバラにする言うし実際バラバラにされたし「自分ジャ○アンか!」みたいな人やけど、なんや引かれるもんがあったんも確かや。


 特に名前付けて貰ってからは「絶対この人の役に立ったろ」いう思いが強なってきたなぁ。


 おまけにリリィはんは下着が無いいうこの世界にブラジャーとパンツを産み出してくれた大恩人や。


 後は靴下やけど、ここは靴もないのに靴下いらんやろて言われてしもた。


 確かに靴あっての靴下やけど、なんや味気ないなぁ。


 それからリリィはんはパンツのことショーツ言わはるけど、あれはあかん。


 パンツもしくはパンティや。


 龍玉な漫画の豚さんかて言うてたやろ?「ギャルのパンティお~くれ♪」て。



 そんなリリィはんは訳あってゴブリナを目指しとるいうから、絶対それまで守ったらなあかん!


 スラマサはんも同し気持ちなんが丸分かりやな。


 時々俺まで敵を見るように睨んでくるんは勘弁して欲しいけど。

 


 まぁスラマサはんは置いといて、俺が学んできた医学の知識がリリィはんの役に立ったらエエなぁ。 



「ドサッ!」


 ん?なんや変な音がしたなぁ。


 なんやろか…って、リリィはん?


 え?何で倒れてはんの?


 あかん!俺が何とかしたらな!

リリィはん助けな!


 頼むから前世の知識で何とかなるもんであってや!


 おっと、スラマサはんも同時に飛び出してきた。



「「リリィ!?リリィ!!」」




骨に歴史あり。

ただ(モノ)ではないホネオさんでした。

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