表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代イージス艦、異世界を往く!  作者: ねこあし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
94/141

第九十三話 黒き旗艦の影

◆一時の静寂

 〈みらい〉は、深海の暗闇を抜け、かすかな光が差し込む海域に到達していた。

 艦内には、戦闘を生き延びた安堵と疲労が混ざり合った空気が漂う。


 「……助かったのね」

 レイリアは深く息を吐き、壁にもたれかかった。


 居住区では子供たちが小さな声で歌を口ずさみ、恐怖から解放された心を落ち着けようとしていた。

 温室の花々は散りかけたものもあったが、ユイの手で丁寧に支えられている。


 だが、遼は椅子に座りながら目を閉じ、まだ気を緩めていなかった。

 「……グラディオンが、この程度で引き下がるはずがない」


◆新たな影

 その言葉を裏付けるかのように、ユイの声が艦橋を震わせた。

 「探知反応――異常です! 一隻、超大型艦がこちらに接近中!」


 モニターに映し出されたのは、巨大な艦影。

 艦首から艦尾までを覆う漆黒の装甲、無数の砲塔、そして艦橋上に掲げられた“黒き双頭の鷲”の紋章。


 「……あれは……」

 レイリアが息を呑む。


 ユイが低く告げた。

 「グラディオン海軍の旗艦――《黒き方舟アーク・ノワール》です」


◆圧倒的な存在感

 モニター越しにも伝わる異様な威圧感。

 周囲の水圧すら歪めるかのような巨大さは、まるで海そのものを支配しているかのようだった。


 レイリアが唇を噛む。

 「正規艦隊を突破したと思ったら……今度は旗艦が直接出てきたなんて」


 ユイは解析を続ける。

 「艦長、出力規模は〈みらい〉の四倍以上。単独で正面から戦えば勝ち目はありません」


 艦橋に緊張が走る。


◆通信

 突然、通信が割り込んできた。

 スクリーンに映ったのは、豪奢な軍服に身を包んだ壮年の将。

 鋭い眼光が遼を射抜く。


 『未知の艦〈みらい〉の艦長、橘遼とやらだな。私はグラディオン海軍総旗艦長――ヴェルナー・ドラクス。』


 遼は一歩も退かずに応答する。

 「……俺が艦長だ。何の用だ」


 ヴェルナーの声は冷たく、しかし威厳に満ちていた。

 『貴様らが封印を越えたことは承知している。我らが求めるのは旧文明の力だ。その艦を差し出せ。さもなくば、この海を墓場にしてくれる』


 レイリアが顔をしかめる。

 「やっぱり……封印の力を狙っていたのね」


◆遼の決意

 遼は短く息を吸い、静かに言った。

 「〈みらい〉は誰にも渡さない。この艦は仲間と共に未来を守るための艦だ」


 ヴェルナーの口元に冷笑が浮かぶ。

 『未来だと? 理想に酔った小僧が。力を制するのは、常に我らだ』


 通信が切れると同時に、黒き旗艦の砲門が次々と光を帯びた。


◆迫る決戦

 ユイが叫ぶ。

 「旗艦、《アーク・ノワール》――主砲チャージ開始!」


 艦内に警報が鳴り響き、子供たちが不安げに抱き合う。

 レイリアは遼を見つめた。

 「どうするの……? 今の私たちじゃ、正面からは……!」


 遼は強く頷き、艦橋全員に告げる。

 「……退く気はない。だが正面衝突では勝てない。

  なら――“未来を掴む戦い方”で挑むしかない!」


 黒き旗艦が光を放ち、深海全体が震えた。

 次の瞬間、〈みらい〉とグラディオン海軍旗艦との戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ