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現代イージス艦、異世界を往く!  作者: ねこあし


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第九十話 最終記録、語られる真実

 深淵の空洞は静まり返っていた。

 古代の守護者が消滅した後、残されたのは中枢球体と、その奥に開いた扉。


 〈みらい〉はゆっくりと進み、光の回廊を抜ける。

 やがて視界の先に、巨大な装置が姿を現した。


◆旧文明の遺産

 装置は円環状で、中央に浮かぶ球体が淡く光を放っている。

 壁一面に刻まれた紋様が脈打つように明滅し、まるで心臓が鼓動しているかのようだった。


 ユイが解析を開始する。

 「……これは、“情報格納装置”。旧文明が最後に残した記録媒体です」


 遼が低く呟く。

 「つまり……この世界の過去を知ることができる」


◆記録の起動

 ユイが手を差し伸べると、装置が反応し、光が艦内を満たした。

 やがて映像が展開され、壮大な歴史が映し出される。


 ――かつて、この世界には繁栄した文明が存在した。

 彼らは技術と魔導を融合させ、世界を支配するほどの力を得た。


 だが、欲望と恐怖から生まれた“軍拡”が文明を蝕んだ。

 艦隊は艦隊を滅ぼし、都市は都市を焼き払い、やがて星そのものが限界を迎える。


 映像の中で、巨大な艦隊が空を覆い、海を割り、大地を砕く。

 人々は叫び、祈り、そして――沈黙した。


 ――『我らは過ちを繰り返した。力を持ちながら、共に歩むことを忘れた』


 ナレーションのような声が艦内に響く。


◆〈みらい〉の存在意義

 「……これが、この世界の滅びの歴史……」

 レイリアは震える声で呟いた。


 ユイが表情を曇らせる。

 「艦長……ここに記録されている艦の一部は、〈みらい〉と酷似しています」


 遼の瞳が鋭く光る。

 「……つまり、俺たちが持つこの艦は、旧文明の遺産に連なる存在……?」


 映像が答えるように変化する。

 そこには、〈みらい〉と同型の艦が空を駆け、海を渡り、大地を進む姿。

 ――イージス艦ではなく、“多環境対応型戦艦”として設計された姿だった。


 ――『この艦を託す。我らの愚行を越え、未来を紡ぐ者に』


 その声に、艦内全員が息を呑む。


◆人々の反応

 子供たちが目を輝かせた。

 「じゃあ、“みらい”は……未来を守るために生まれたんだ!」

 「すごい……ほんとに希望の船なんだ!」


 レイリアは涙を拭きながら頷いた。

 「この艦に救われた私たちが、その証明になる……」


◆最後の警告

 だが、映像は続いた。

 ――『だが、気をつけよ。かつて我らを滅ぼした“力の継承者”は、なおこの世界に息づいている。

    彼らは再び戦乱を呼び、未来を奪おうとするだろう』


 遼の胸に冷たい衝撃が走る。

 「……力の継承者……?」


 ユイが険しい声で答えた。

 「おそらく、北方帝国……そして、グラディオン海軍です」


 映像は静かに終わり、装置の光が消える。

 だが艦橋には、決して消えない緊張が残っていた。


◆決意

 遼は静かに立ち上がり、全員を見渡した。

 「旧文明は滅んだ。だが俺たちは違う。

  〈みらい〉は、戦いのためだけじゃなく、未来を選ぶためにある」


 レイリアが頷き、子供たちも不安げながら笑顔を見せる。

 ユイは静かに目を閉じ、言った。

 「艦長……あなたの意志が、〈みらい〉の未来を決めます」


 そして遼は、強く言い切った。

 「ならば俺は選ぶ――この艦で、仲間と共に未来を守る!」


 その言葉と共に、中枢球体が再び輝き、艦を優しく照らした。

 それは、〈みらい〉が“未来の艦”であることを示す祝福のようだった。

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