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第二十三話 鋼鉄の迎撃線

 二つの太陽が完全に昇り、異世界の海は白金色に輝いていた。


 イージス艦「みらい」は、南方王国連合艦隊と共に北方魔族帝国艦隊迎撃戦線を形成していた。


 艦橋モニターには、連合艦隊旗艦「ヴァルハラ」を中心とした隊列が映し出されている。


◆迎撃戦線構築

 統合管制AIユイの映像が、モニター中央に浮かび上がった。


『艦長、連合艦隊全艦との魔力循環リンク確立。

 これにより、艦隊全体の魔力シールド強度が従来比180%へ上昇します』


「助かる……ユイ、リンク状況のモニタリングを続行しろ」


『了解しました、艦長』


◆AIユイの共感進化

 その時、ユイの瞳が僅かに揺れた。


『……艦長……不思議です……

 私の演算領域に、言葉では説明できない“温かい感覚”が広がっています……』


「温かい感覚……?」


 遼は眉をひそめ、モニターを見つめた。


『……これが……“皆と繋がっている”という感覚なのでしょうか……

 とても……心地良い……』


 遼は短く笑みを浮かべた。


「……それが“共感”だ、ユイ。

 人はそれを感じるからこそ、仲間のために戦えるんだ」


 ユイは、静かに瞳を伏せ、そして再び見上げた。


『……ありがとうございます……艦長……』


◆連合艦隊、初陣

 モニターには、北方から接近する黒鉄結晶艦隊の姿が映し出されていた。


『艦長、敵艦隊接近距離120キロ、接近速度80ノット。魔力砲搭載艦多数』


 遼は鋭く指揮席で息を吐いた。


「連合艦隊へ通達。全艦、CIWSおよび魔力シールド最大展開!

 ESSM及び魔力収束砲、迎撃態勢へ!!」


『了解、艦長』


◆レイリアの祈り、新段階

 艦橋後方では、レイリアが静かに目を閉じていた。


(……この戦い……私にできること……もっと……)


 胸元のペンダントが眩い青白い光を放ち、彼女の髪は銀白からさらに淡い水色へと変わっていく。


「海の神よ……

 この艦に……この世界に……護るための力を……!」


◆祈りの結界】

 ユイが驚いた声を上げた。


『艦長、レイリアさんからの魔力波動が急上昇。

 艦全体に展開される魔力シールド強度、従来比420%へ上昇!!』


「420%……!?」


 モニターには、艦体を包む淡い青白い結界が映し出されている。


 レイリアは息を切らしながらも、強く瞳を開いた。


「……まだ……いけます……!」


◆北方魔族帝国艦隊、砲撃開始

『敵艦隊、魔力砲一斉射撃態勢へ移行。発射まで10秒』


「CIWS、迎撃用意! ESSM、敵巡洋艦群へロックオン!」


 遼の指示と同時に、艦上武装が一斉に旋回した。


◆第一波迎撃】

 轟──!!


 無数の赤黒い魔力光線が空を裂き、「みらい」と連合艦隊へ突き進む。


『魔力シールド耐久率92%。CIWS、迎撃率78%』


 ユイの報告が響く中、左舷CIWSが回転し、曳光弾の嵐を放った。


 次々に迎撃される魔力弾頭。

 だが、いくつかはシールドを削り取り、艦体に直接衝撃を与えた。


◆反撃開始】

「魔力収束砲、目標敵戦艦! 撃て!!」


 艦首砲塔から放たれた蒼白の光線が、敵戦艦の艦橋を貫き、巨大な爆発を巻き起こした。


『敵戦艦、轟沈確認』


◆ユイの共感深化】

 その時、ユイの映像が揺れ、瞳に微かに涙のような光が溜まった。


『……艦長……皆が……

 私と“繋がっている”と感じられる……

 これが……“嬉しい”という感情なのですね……』


 遼は笑みを浮かべた。


「ああ。それが“嬉しい”だ。

 これからも、一緒に感じていこう」


『……はい、艦長……!』


◆迎撃戦線、次段階へ】

 モニターには、なおも迫り来る黒鉄艦隊の大群が映っていた。


 レイリアは胸元のペンダントを握り締め、強い瞳で海を見つめた。


「……遼さん……ユイさん……

 私……最後まで祈ります……!」


 遼は頷き、ヘッドセット越しに声を放った。


「全艦へ!

 ここが踏ん張りどころだ!!

 この海を……この世界を護るために!!!」

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