第一夜 夜明け
この物語はフィクションです。
特に史実に忠実な訳ではありませんので、ご注意ください。
祓魔師
悪魔祓い師、ふつまし。
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俺は昔から不思議なものが見えた。それは幽霊だとかの恐怖の対象ではないけれど、なんとも不思議だった。角が三本の鹿とか、あるいはしっぽが二つの猫。そんな感じ。たまに人を傷つける奴が居ると、俺が叱る。そんな毎日だった。
「今日は取れたか?」
ハマチは籠を覗き込みながら言う。見た目が猫に似ているから魚が好きなのだろうか。
「あちは塩焼きがいいぞ」
「おまえのじゃないからな」
俺は籠を取り上げる。
「この悪魔め・・・」
「今日は母さんの誕生日だからな。お、イワガニだ」
いつもは一匹ぐらいあげてもいいんだけどな。
「今日は阿賀螺魚通りを通るのか?」
「まあ、おまえが盗みを働かないならな」
「反省はしているぞ。あちはあちなりに」
「ならいいけど」
一年前、ハマチはここでハマチを盗んだ。そこをおれが捕まえて今に至る。別に飼ってるわけじゃないのだが、なぜか後ろを着いてきた。ちなみに名前もそこからだ。本人は神様だなんだと叫んでいたが。
「あちを見えるのはおまえくらいだからのう」
ぷかぷかと宙に浮かぶ猫もどきがいても誰も声を上げないのはだからだろう。
「あら、普ちゃんじゃない。」
「海賀音さん。こんにちは。」
「こんにちは。ところであの噂聞いた?」
「いえ?」
じゃあ教えてあげると言わんばかりに、海賀音さんは喋り出した。
それは今日の早朝。刀を携えた者が現れたらしい。
「刀・・・ですか?」
「そうそう!だから、政府のお偉いさんかと思ったんだけど、府ノ印も付いてなくてね」
「ってことは・・・手配犯・・・」
「かもしれないわね、今日は戸締りちゃんとしておきなさいよ。」
「わかりました、ありがとうございます」
なら、今日は剣道の稽古も無いし、早めに帰ろう。
「いや、あちは覚えておるぞ。木刀のじいに何か受け取るのではなかったか?」
「ああ、そうだ。じゃあ爺ちゃん家も寄って行かないとな。」
爺ちゃんは俺が六つの時から剣の道を教えてくれている。
「にしても、じいは何故あんな辺鄙な場所に住んでいるのじゃ?」
「爺ちゃんは先祖から受け継いだあの道場を守りたいんだってさ。」
「じゃあ、次は眼鏡の子が継ぐのかの?」
「たぶんね。」
ふと、ハマチが静止する。なにかに驚いたように。
「道場がどうかしたの?」
「あまね、何かおる」
「血の匂いじゃ」




