第7話 ワレワレ、新しい仲間ができる。
盗賊の洞窟から戻ったユウタとヨグ達は助けた姫と共に用意された豪華な椅子に座っていた。
「というわけでして」
「なるほど、我が一人娘、シャトーを助けてくださり。感謝してもしきれませぬ、勇者殿」
国王は深々と頭を下げる。
「なので、その……」
ユウタは席から見える広場を指さす。
「オラ、断頭台は初めてだ」
「彼女の処刑は待ってくれませんか!」
広場では今まさにフーシの公開処刑が始まろうとしていた。
「ふむ、勇者殿が言うなら。取りやめよ!その者は勇者殿のお仲間のようだ」
「助かっただ~危うく頭と身体がさよならするところだった。あ、その肉美味そうだな、オラにもくれないか?大盛りで!」
「畏まりました、ただいまご用意致します」
フーシは王の従者から大盛りの肉料理を受け取り食べ始める。
「なんでそんなに朗らかなんだ!はぁ、なんか流れで仲間になっちゃったな」
「フーシがなかまになった、と言うやつですね」
ヨグが音楽をどこからか流す。
顔を手で覆うユウタ。
「そうだ、姫様。ご質問よろしいですか?」
「なんでしょうか聖女様」
「研究員です。なぜ姫様はあのような場所に?」
ヨグは当然の疑問を投げかけた。
「はい、先日町中を散策していた際にとある、ご老人に道案内を頼まれたのですが。人気のない場所に着いた瞬間、袋に詰め込まれてしまいました」
「そのご老人に騙されたんですね」
ユウタがそう言うとシャトー姫はため息をつく。
「今思えば、丸太のような手足、腰が曲がってても見上げるほどの背丈、違和感に気づくべきでした」
「それは、そうですね」
姫はネックレスを手に持っていた。
「どうやらこれがご所望だったようです」
そのネックレスには豪華なネックレスチャームがついていた。細かな装飾がされた金細工の中心に鍵がはめ込まれていた。
鍵はほのかに光を発している。
「ん?」
ユウタは鍵を見てポケットからある物を取り出す。
「これと同じだ」
それはヘッドレスと戦った際に拾った光る鍵だった。
「それは魔王城に向かうための鍵」
国王が言う。
「魔王城への鍵?」
「魔王は自身の城を強力な結界で守っています。結界内に入る唯一の手段がその鍵なのです」
魔王城への鍵、それが本当なら大層重要なものだ。
「なんでそんな凄いものを姫様が?」
「先々代国王の時代に討ち取った敵から奪ったものです。鍵は全部で7つ、シャトーのものと勇者殿の持つ鍵で残りは5つ」
国王はユウタの肩を掴む。
「どうか勇者様!残り5つの鍵を集め、魔王を討ち取ってくだされ!」
「残りの鍵……もちろんです!」
ユウタはこの展開に内心で飛び跳ねた。
(すげー!どんどんゲームみたいになっていくよ)
「あ、あのお父様」
「なんだね、小腹でも空いたのか?何か作らせようか?」
「おい勇者、姫が何か王様と話してるぞ」
「え?ああ、あれだけの事があった後の再会だからな……」
突如ユウタの脳内にある文字が浮かび上がる。
(まて、お約束展開なら。ひょっとして……)
「私も勇者様に同行したいです!」
「ダメです!」
王様よりも先にユウタが返事をした。
「おや?サトウ・ユウタ、この文献によればこれもお約束というものでは?」
ヨグは一冊の小さな本を出す。
タイトルは
【異世界転生したおれ氏、ハズレ能力で無双しながらまったりハーレムライフ開始。実は元王子で追放の身、帰ってこい?残念、時すでに遅し】
「うわ、それ読んでたよ~じゃなくて!」
ユウタがヨグを引き寄せる。
「冷静に考えてこれはダメだろ!一国の姫だぞ!?何かあったら首が飛ぶんだぞ、言葉通り!」
ユウタは断頭台を指さして言った。
「勇者様……私ではダメですか?」
上目遣いで迫ってくる姫。
当然女性に免疫がないユウタ、そのうえ相手はとびきりかわいい姫様ときた、効果はバツグンだ。
「わ、わかりました」
(ああ!おれの経験の浅さが憎い!)
「ふむ、勇者殿がいてくださるなら安心だな!」
国王が微笑む。
(何微笑んでんだ!出会って数日しか経ってない男に一人娘を任せるなよ!)
内心ツッコむユウタであった。
「かくしてシャトー姫が勇者ユウタ一行の仲間になったと」
どこからともなく声が。
「誰?」
「なんか妙に落ち着く声だな」
ユウタとフーシが辺りを見渡す。
「ん?なんだ、ロウソクが!」
ロウソクや照明の光が部屋の中央に収束していく。
「初めまして~みなさん」
光がドレスの形に変わり、それを着るような形で女性が現れた。
「女神様でーす」
彼女の名乗りを聞いて一同がざわめく。
「女神様ですと!?」
「確かに、教会の像に似ているような」
皆は突然現れた美女に注目していた。
「別次元から音声のみ伝達。そして最小限のエネルギーで次元に干渉し出現ですか。興味深い」
ヨグはケーキを食べながら言った。
「女神様!なんだか久しぶりな感じですね」
「色々あったものね~。私はいつも見てたからそうでもないけど」
女神はユウタの顔を撫でる。
「私も同行するわその旅」
「え!?」
女神の突然の発言に驚くユウタ。
「女神が同行、この書物の3巻目にそのような展開が記載されていますね」
(確かにこれも結構あるパターンか)
腹をくくるユウタ。
「ではこれからよろしくお願いします」
こうして女神も仲間に加わることになった。
「ふふふ、楽しくなってきたわね」
「おらフーシだ。女神様なんて初めてみただ、綺麗な人だなぁ~」
「私はブリアン家のシャトーと申します。お会いできて光栄の極みでございます女神様」
女性陣が自己紹介をする。その光景を少し離れた所でユウタとヨグは見ていた。
「2人からいきなり増えましたね」
「これが物語なら詰め込みすぎ、いや一度で2人くらいヒロインが増える作品とかあるから、3人増えるのは意外とあるのか?あーなんか頭痛くなってきた」
ユウタはこれ以上考えるのをやめた。
「国王様、鍵についてのご報告が」
そんな話をしていると一人の使者が現れ国王の元に静かにやってきた。
「申してみよ」
「森の付近で不思議な光を見たとの話が」
「森というと、あの迷宮がある所か」
国王の言葉に頷く使者。
「勇者殿、ご歓談中に失礼、次の鍵のありかが分かったかもしれませぬ」
「本当ですか、それは都合がいい。でどこに?」
国王は家臣に大きな地図を広げさせ、その場所を示した。広い範囲に森が描かれており、その中心に建築物が描かれていた。
「迷いの森、その中心にあると言われる迷宮です」
その場所に自身の指を置くユウタ。
「次の目的地は、森の迷宮か」
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