おまけ.お父様はムスメーカー
マイページの下の方に来てしまったのと気が乗ったのでおまけを書きました。
連載はこうやって追加話が書けるのが良いですね。
本編とは関係ない数年後の話です。
「お姉さま!十女ちゃんの結婚式の贈答品はこれでいいかしら?」
2つ下の妹である三女ちゃん―2つ下と言っても年齢ではなく姉妹の順番の話であるが―が遊びに来てうちの酒蔵を物色している。あの調子だと手間賃代わりにうちの最高級の銘酒である『蜂蜜酒・熊殺し』あたりを1本くすねていくつもりだろう。
「そっちにある『熊殺し』100本と『白ワイン・女教皇』100本、『ロゼスパークリング・新魔王』を100本持って行って」
『熊殺し』はうちが蔵元、『女教皇』は修道院時代に私が開発した白ワイン。『新魔王』は魔王城で作られていたものを討伐で失伝してしまった『魔王』という銘酒を魔王城で発見したものをベースにした酒で、魔王城で少しだけ味見したものを大変気に入り、遺族たちに復刻させたもの。名付け親は私。後ろ2つは生産量の半分を我が家に納入している。
どうもお久しぶりの元公爵令嬢です。いえ皇姉と言ったほうが良いのかしら?今はしがない酒屋の女将ですけどね。
まあ帝室からは除籍になったけれど別に家族を止めたわけではない。そんなわけで妹や弟の結婚式には色々と挨拶にはでかけます。
「いい加減妹の結婚式の主賓くらいやってくれと弟である皇帝陛下に言ってもらえないかしら?あの子も結婚したのだしそろそろ姉の負担を減らすべきよ」
いくら可愛い妹のためとは言え、主賓扱いで結婚式の挨拶をさせられた上、平民なのに大事な酒を大量に供出させられるのはどうなのかしら?
「先に生まれた以上は下の子の面倒を見るのは仕方ありませんよ。陛下も姉上はもとより私含めて他5人の姉には頭が上がりませんし、それだけ家族を大事にしていると思えば可愛いものじゃないですか」
うちの兄弟姉妹は今では弟3人妹32人ほどいるけれど皆仲が良い。どうも私だけ少し年が離れていたため家内を仕切っていたのが功を奏したようです。お父様入れて男4人にお母様入れた女38人の意見が違えば基本的には女の意見が通るわけで、公爵家の実権を握っていたこともあり長女である私の権力は絶大だったわけです。その名残が今でも残っているのでしょう。
「そうは言っても、帝室を離脱して10年以上にもなることだし、そろそろ家長としての自覚を持ってもらいたいわ。」
皇帝を差し置いて姉とは言え主賓をやっているのは問題だと思うわ。
「まあ陛下も常々姉より優れた弟などいねぇと言っていますし、当面と言うかお姉さまが健在なうちは無理ではないでしょうか?」
「いや、その理屈はおかしい」
弟よ、お前はいつからじゃび太になった。姉エモンとして突っ込んでしまうよ。
「でもお姉さまは熊殺しで女教皇で新魔王でしょう?」
「みんな過去の話ですよ。そんな名前はお酒の名前に移譲したので知りません!」
ちなみに熊殺しは蜂蜜酒のためにミツバチの天敵である周辺の熊やスズメバチを殲滅した事でつけられた名前です。淑女につけて良い名前ではないと思うの。
「その二つ名が過去のものだとしても、お姉さまは帝国でなんと言われているかご存知ですか?」
「え?また変な二つ名をつけられたの?」
過去にも『妖怪玉置いてけ』とか言われていましたしちょっと失礼な人が多いと思うの。ちなみにその二つ名は例の商会の名前『アダルトグッズ商会・玉置いてけ』として文字通り置いてきた。ちなみに今でも株式の一部は保有している。
「弟くんは初代皇帝として『太祖』という廟号が送られることが決まっていますが、お姉さまは真実の創始者ということで『真祖』だそうですよ?」
なんじゃそら。私は吸血鬼か!?
「私は平民だからそういうものとは縁がないと思うけど?」
「HA!HA!HA!Nice boat.誠死ね!って間違えた。Nice joke!当時6歳現在18歳の弟くんが建国なんて出来るわけないのはみんなわかっていますよ。帝国臣民はお姉さまの影を見て帝国に従っているに過ぎません。おかげで私や妹たちも安心して嫁に行けたのでありがたい話です。よっ!影の支配者。いや、精力剤の件も合わせて夜の支配者のほうが良いですか?」
こうやってまた二つ名が増えていくのかorz。というか私の二つ名は妹たちのせいじゃないのかしら?
妹たちは帝室から持参金が出るし、上の兄弟姉妹から市販されていないような贈答品が届いて、しかも半返しなので嫁にもらうだけで嫁ぎ先が潤うので大人気だ。
うちの酒も一本10万イエーン程度の定価だが、このところ妹たちの結婚ラッシュなので流通量はかなり絞られている。市場に出せばプレミアが付いて一本50万はくだらない。それを大体披露宴の会場で半分出し、残り半分はとっておいて接待等に使うらしい。おかげで私の飲む量も心もとなくなっている。
「それはお姉様が飲み過ぎなのです。お義兄さまからも酒量を控えるように言われているのですから丁度良いのでは?」
「良くないわよ。私がなんのために10年以上も頑張ったと思っているの。全ては平民スローライフのためじゃない!それにしても廟号とか困ったわね。新作のお酒を作るにしても死んだあとにそんな厨二な名前をつけられるのは嫌なのだけど・・・」
死んだあとの事まで気にするなと言われればそれまでだけど・・・。
「まあお姉さまはそれなりにかっこいい名前なんだから良いじゃないですか、お父様なんて『万夫不当のムスメーカー』ですよ」
「え?なにそれ?kwsk!」
私、気になります!
「うちって娘ばかりじゃないですか。」
子供の男女比1:11ってすごいことよね。
「そうね。」
「しかも弟はちゃんと3人いるわけで、後継と予備とその予備ということで理想的な子作りだと前々から言われているんですよ。男の子ばかり多くても相続で渡せる領地が必要ですし、精力剤のせいで婿入できる男の子のいない有力者の家も少なくなりましたし・・・。その点娘ならお父様のように側室を増やすのでも良いわけで、多少持参金などでお金はかかりますけど政略結婚?婚姻外交?みたいなことを考えると娘が増えるのは歓迎という家が多いんですよ」
それはわかる。パパンは頑張ったと思う。まあパンパンさせていたのは主に私のせいだけど。ちなみに建国と同時にお父様による妊活は終りを迎えている。嫁であるお母様とは若い頃よく一緒に旅行するのが楽しかったと言っていたので、最近では他のお義母様たちとも一緒にでかけているようです。まあその場の雰囲気に飲まれることもあるようで今でも年に1人位の妹ができている。精力剤漬けの生活からいきなり性欲がなくなったりはしないので当然だけどね。
「それで娘がほしい世の中のパパン達の英雄に?」
「それもあるのですが、二の母様の記録していた『パパン性活日記』があったじゃないですか。あれが世の中に出回ったせいみたいなんですよ」
え?あれ流出しちゃったの?この世界にネットはないとは言え流出した情報は元には戻らないのよ。ちなみに二の母様とは元侍女1号のことです。
「何処からもれた・・・」
「四女ちゃんと五女ちゃんがエルフの族長のところに嫁として押しかけたじゃないですか。流石に寿命が違うので生涯の伴侶となるエルフの有力者の娘を正室に、2人は側室という形だったのですが、エルフって淡白でしょう?でも子供を作らないと血が入らないので政略的には意味が薄いということで精力剤の他にお父様の記録を持ち出したらしいんですよ。その情報を元にエルフによる研究が進んで出生率が低くて衰退の一途をたどっていてこのままでは滅亡も時間の問題かと言われていたのが一気に改善。ここ数年で5倍にもなったらしいですよ。今では2人は種族の救世主と崇められお父様は神扱いです。エルフ用オギノ式も開発されたようです。」
「まあ妹ちゃん達が大事にされるのは良いことね。それから?」
「まあそこからエルフだけでなくダークエルフとかその他出生率の低い種族のところにも話が行ったんですが、あの日記って体位や回数まで書いてあるじゃないですか?」
「そうなの?」
私は侍女1号こと二の母様に指示だけ出して内容までは確認していない。
「記録によると年間1000回、10年間で1万回、世の中には娘の作成に失敗している1万人以上の夫がいるのにこの成果!1万の男より娘製造力の変わらない唯一のパパンということで二つ名がついたそうです」
たしかにその回数はすごいと思う。記録してた彼女もすごいけど・・・・。
「でも世の中にはありったけの夢をかき集めても年齢とともに1Pになっている夫もいるでしょうし・・・」
「そんな夫婦生活は嫌ですよ。それに何処からか『おい馬鹿やめろ。オレたちのライフはもうゼロだ!』という声が聞こえてきますわ」
なんとなくこれ以上はまずい気がするので話を切り替えましょう。
「それで二つ名になるってことはそこからさらに広まったってことよね」
「そうですね。帝国内どころか周辺国にも広まっていますわ。弟陛下やお姉様は確実に歴史の教科書に載りますが、お父様は世界の偉人として歴史や医学など様々な教科書や伝記にはてはエロ本の元ネタとして残ると思います。そういう事もあって表舞台からお父様は姿を隠して、最近ではお忍び旅行に行っているみたいですよ」
「うわ~これはひどい。でもそうと分かれば私の影が薄くなるように、私もパパンの伝記を出版するしかないわね」
お父様ごめんなさい。でも仕方ないの。だって私悪役令嬢だもの。ちなみに作者名はペンネームを使うから私とはわからないはず。侍女1号には出版しないでと言われていたけどすでに情報は流出済みだから問題ないわよね。
「お姉さまは鬼ですか!だから家族は誰も逆らわないんですわ!」
「だって私が目立たなくなる上に印税ガッポガッポだよ。妹たちの結婚祝いも増えることだし、最近何かと物入りなのよ。一石二鳥とは正にこの事。乗るしかないこのビッグウェーブに!」
パパンを最も間近で見てきた人間のうちの1人が私なのだ。売れないわけがないのです。『パパン性活日記』『執務記録』『私の日記帳』ネタは全て揃っている。
ネタを出せ!! 記録を編集しろ!!エロ下着のフィルムをリマスターして映し出せ!!アダルトグッズも掲載しろ!!さあ夜はこれからだ!! お楽しみはこれからだ!!
ハリ―
ハリ― ハリ―
ハリ― ハリ― ハリ―
「何処の吸血鬼になっているんですか!お姉さまあとでお父様たちに怒られても知りませんからね!」
こうして出版された伝記は歴史に残るベストセラーになるのだった。
一部では『性書』として信仰の対象となっているらしい。
『パパン・アズ・ナンバーワン』
その世界累計発行部数は現在に至るまで破られていない。
ちなみにホテルや修道院に置いてあったりは・・・・・するかも知れない。
養蜂家「ウチの娘たちより義妹達のほうが年下なんだけどどうなってるの?」
元公爵令嬢「多分まだまだ増えるから気にしたらそこで試合終了よ!それともチャレンジャーになるつもりかしら?印税入ったから金銭的には頑張れるわよ?」
元ネタ1)ムスメーカーというエロゲがあるそうです。おそらく名前から言ってプリンセスメーカーのような育成シュミレーションだと思います。私はやったことはないのですが、それを娘に見つかった父親が家族会議になったというネタが何処かの掲示板にあった記憶に残っています。娘育ててエロを見るゲームを父親がやってたら娘がグレても仕方ないよねと爆笑した覚えがあります。リアルで遭遇したらドン引きでしょうけど^^;
元ネタ2)ジャパン・アズ・ナンバーワンという政治経済系の有名な書籍があります。確か中古屋で見つけて実家の本棚に眠っています。題名以外はあまり関係ないです。その手のネタに興味がない方は「パパロット!お前がナンバーワンだ!」とでも読み替えてください。




