メイドさんになりました
全員の首輪を外す頃になり、マナ師匠が呼んでくれたのか王国の騎士団が集まってきたので、俺はその人達にあとのことを任せて、先にマナ師匠の元にリリアを連れて戻ることにした。
リリアのことも任せるつもりだったが・・・アリスに会いたいとせっついてくるので仕方なく連れていくことにした。
師匠の家につくと、入り口でそわそわしながら待つアリスと・・・何故か師匠も側にいた。
「師匠、アリスただいま」
声をかけるとアリスはパァと顔を輝かせて、こちらに駆け寄ってきたーーーそして、リリアに思いっきり抱きついた。
「リリア!無事でよかったよぅ・・・」
「うん・・・アリスも無事みたいでよかったわ」
感動の再会を果たした二人からそっと離れて俺は師匠に声をかける。
「師匠。ありがとうございました」
「なんのことかな?」
いつも通り師匠は飄々と惚けたようにそう言ったので俺も笑顔でそれに答えた。
「色々ですよ」
牢屋の場所を探すのを手伝ってくれたりとか、アリスの面倒を見てもらったこととか、国へ連絡して騎士団を動かしてくれたこととか・・・とにかく色々世話になったのでそう告げると師匠は笑って答えてくれた。
「弟子の成長を見守れて楽しかったから構わないよ。あと・・・無事でよかったよ」
「心配してくれてたんですか?」
そんな素振りなかったような・・・そんなことを考えていると至極当然というように師匠は頷いて言った。
「当たり前だろ?大事な弟子なんだから。それにしても本当にやりとげてくるなんてね・・・」
「師匠の弟子ですから」
「そうだね。私の自慢の弟子だから当然か」
冗談めかしてそう言う師匠ーーーそれを見てようやく終わったと思ってからはっとして俺は辺りを見回してもう日が暮れてしまったことに気づいて師匠に言った。
「すみません師匠。詳しい話はまた後日にしてもいいですか?流石にそろそろ帰らないと家族に心配されると思うので」
俺の台詞にそれはそうだといわんばかりに頷いてから「ところで・・・」とアリスとリリアに視線を向けてきた言った。
「あの二人はどうすんだい?」
「?どうするも何もこれから騎士団の人に引き渡して故郷に・・・って、そうか・・・」
すっかり失念していたが・・・そういえばアリスが最初に言ってたな・・・あの牢屋で今まで育ってきたと。それはつまり・・・二人には帰るべき故郷がないということだろう。そうなると・・・
「どうしましょう・・・」
「そこの見通しの甘さはやっぱりまだまだ子供だな。まあ、安心しろ一ついい方法があるから」
そう言うと、師匠は感動の再開を終えた二人をこちらに手招きして呼んで言った。
「お前ら二人、今日からレオンの家のメイドになれ」
「は?師匠それってーーー」
「どこにも行く当てないんだろ?ならレオンの所で働かないか?」
どういうことですか?と言いきる前にそこまで言われてしまう。
い、いや二人もそんなことを急に言われても困るはずだし大丈夫ーーー
「わかりました」
「わかったわ」
「そんなあっさりでいいの!?」
思わずそう突っ込んでしまうが・・・二人は首を傾げて言った。
「レオン様の所なら私も安心なんですが・・・」
「どうせ行く当てないからね。あんたが良ければ雇ってよ」
そう言われてしまうと何とも言えないが・・・
「でも、一応両親にも許可を貰わないとーーー」
「ああ。大丈夫大丈夫。私が事前に伝達しておいたから。『新入り二人をレオンのメイドとして雇って』って。んで、OKもらったから」
「そうですか・・・」
逃げ道はなかった。
ていうか、師匠まさか最初からそのつもりだったのか!?
こうして俺は二人を連れて屋敷に戻ることになるのだった・・・なんでこうなったんだろ・・・