叩き潰します
「よっと・・・」
どれくらい時間がたっただろう・・・最後の牢屋を壊して俺は一息いれる。
さすがに連続での魔法の使用に疲労感があるが、それでもこれで最後といわんばかりに己を鼓舞して治癒の魔法を使う。
「さて・・・」
一応、すべての牢屋を壊したが・・・あとは首輪を全員外して後に故郷に彼らを返せば終わりかな?と頭の中で計算をしながら出口に向かう。
外に出ると、辺りは日が沈み初めており、流石にそろそろ帰らないと家族に心配されるなと思ってリリアに話しかけた。
「リリア」
「レオンお疲れさま。あと・・・ありがとう」
「お礼はいいよ別に。それよりちょっとこっちに来てくれる?」
そう言うとリリアは不思議そうに首を傾げてはいたが素直にこちらにきてくれた。
俺はリリアの首輪にそっと触れてみるとーーーバキッ!といい音がして、アリスの時と同じように首輪は容易く壊れた。
「えっ・・・取れた・・・?」
想像通り取れてくれたので俺はそれに頷いて他の人のをはずそうとーーー
「おやおや・・・誰が人の所有物を盗んでるのかと思えば・・・こんなお子様でしたか」
その声に俺はリリアを咄嗟に庇いながらそちらを向いた。
そこには真っ青な顔をしている長髪の男が一人立っており・・・牢屋にいた人達はみな恐怖に身体を震わせていた。
「マスター・・・」
後ろのリリアも例外ではなく、ボソッと震えながらそう呟いた。マスターってことはこの男が・・・
「初めまして坊っちゃん。私はこの牢屋の主ーーールビヌスと申します。申し訳ありませんがそれらは私の所有物・・・お引き渡しをお願いします」
涼しい顔でそんなことを言う男・・・ルビヌスに俺はニヤリと笑って・・・言ってやった。
「もちろん断る!」
話にならないと、論外だと言うように俺はそいつに言ってやった。
「ここにいる人達はお前の所有物じゃない・・・みんな命ある存在だ。それに知らないのか?この国では奴隷の売買は違法行為・・・お前に義なんて一割もないんだよ」
「おやおや・・・これは面倒くさい餓鬼ですね・・・」
俺の言葉に頭にきたのか額に怒りマークを浮かべてそう答えると、男はパチッと指をならした。すると・・・
「グオー!!!」
ドスン!という衝撃と共に上から降ってきたのは蜥蜴ような鱗をしていて、翼と鋭い爪と牙をこれでもかといわんばかりに見せつけているーーー所謂ドラゴンと呼ばれそうな大型の生き物だった。
「《レッドドラゴン》ーーー私のコレクションの中でも最高傑作の怪物です。果たしてあなたはこの子相手にどこまで粘れるか・・・みものですね」
ニヤリ笑ってそう言うルビヌスーーードラゴンか・・・初めて見たけど、なんというか・・・
「この程度か・・・」
「なんですって?」
「何を自信満々に見せるのかと思えば結局、ドラゴンを見せることで己を強くみせようとするだけのただのおっさん・・・ガッカリだよ」
俺の呟きにルビヌスは怒りマークをあからさまに浮かべて言った。
「いいでしょう・・・あなたは楽には殺しません。いたぶっていたぶって、私に楯突いたことを後悔しながら殺してあげますーーー」
そう言ってドラゴンに合図を送るとドラゴンはこちらに勢いよく突っ込んできた。
「にげーーー」
『逃げて』と言おうとしたのだろうか?そんなリリアを俺は横に逃がしてからドラゴンの方に真っ直ぐ身体を向けてそのまま向かってくるドラゴンにーーー
「《ライトニング・ランス》」
ーーーその言葉をキーに右手に集まる雷の魔力を鋭く尖らせて、俺はそれをドラゴンに向かって思いっきり投げつけた。
「グルル!」
一見するとドラゴンの巨体には及ばぬ小さな一撃。実際、ドラゴンもそれを驚異に感じないのかそのまま真っ直ぐこちらに近づいてきてそしてーーー
「ギャーーー!!!!」
閃光を発してドラゴンに俺の一撃が命中し、ドラゴンの悲鳴と光が収まるとそこには・・・
「馬鹿な・・・」
唖然とするルビヌスと近くのリリア・・・いや、俺以外の人間。それもそのはずだ。あんな小さな魔法の一撃であの巨大なドラゴンが地に伏せて倒れているのだから。
俺は唖然とする周囲のなかをスタスタとルビヌスに足を向けて歩いていき・・・呆然とするルビヌスの前に立つとニッコリと最高の笑みで言ってやった。
「おじさんもう終わりかな?」
その言葉にルビヌスはギリッと歯軋りをしてそのまま右手を振りかざしてーーー
「遅いよ」
来る前に俺はルビヌスの真横に移動してナイフで腹をひとさしする。
「え・・・?」
唖然としていたルビヌスはそのうち痛みに顔面を歪めて不思議そうにこちらをみてーーーその刺されてる腹を確認してから思いっきり悲鳴をあげた。
「うぅわぁ・・・!!!!!」
ズブッと俺はルビヌスの腹からナイフを抜いて痛みに丸まるルビヌスの頭を掴んでこちらに視線を向けさせた。
「ひぃ!!」
俺のことを視界に捕らえると怯えたような表情を浮かべるルビヌス。このまま殺されると思ったのか何かを口にする前に俺は笑顔で言ってやった。
「じゃあね。おじさん」
そのまま頭を地面に叩きつけるとルビヌスは動かなくなった。おそらく気絶したのだろう。
唖然とするギャラリーに俺は最後の仕事として言った。
「じゃあ、みんなの首輪外すから並んでくれる?」
その言葉に・・・唖然としていたギャラリーは沸き上がった。
先ほどまでの恐怖の対象を簡単に倒したことに対するものなのか、それとも解放されることに関する歓喜なのかはわからないが・・・・それでも異様な盛り上がりをみせて、その興奮をおめるのに時間がかかったので、若干やり過ぎたと反省したが・・・。




