ケモミミ助けます
「す、すみませんでした!」
申し訳なさそうに頭を下げるケモミミ少女・・・今の状況を端的に言えば俺が彼女をたまたま見つけて、治療をしたと言ってからの反応がいまなのだが・・・
「いや、誰だって突然こんなことになったら困惑するだろうしね」
「で、でも私・・・助けてもらった上に、治療もしてもらって、あまつさえ首輪をとってくれた人に凄く失礼なことを・・・」
泣きそうな顔でそう言ってくる女の子・・・ちなみに頭の耳はしおしおと申し訳ないといわんばかりにしおれていて少し可愛いーーーと、そんなことより。
「気にしなくていいよ。それでえっと・・・とりあえず名前を教えてくれる?」
なるべく優しくそう聞くと彼女は下げていた頭をあげて涙目で言った。
「あ、アリスです・・・」
「アリス・・・えっと、とにかく俺は気にしてないから。それより君はどこからきたのか聞いていい?」
そう聞くと彼女はまたや涙目で「わかりません・・・」と言った。うーん・・・
「わからないというと?」
「あ、あの・・・私、生まれた時から牢屋にずっといて・・・怖くて逃げ出したら森の中で体が動かなくなって・・・それからその・・・」
慌てるように言葉にするアリスーーー俺はそんな彼女に落ち着くように優しく両肩に手をおいて笑顔で言った。
「慌てなくていいから・・・ゆっくりでいいからわかることだけ話して、ね?」
そう言うと、彼女は少し落ち着くように深呼吸してから「すみません・・・」と言って言葉を続けた。
「あの・・・私、他にも同じように首輪をした人達と一緒に育って・・・時々、怖い人達が殴ったり蹴ったりしてきて・・・それが私耐えられなくて、逃げたら森の中で捕まってその・・・それを助けてもらったみたいで、あの・・・」
うーん・・・つまり、彼女は元々その牢屋にいて暴力に耐えられなくて逃げ出したところを俺が助けたということかな?にしても・・・
「よく逃げられたね」
「あ、あの・・・私と同じように育った子が隙をみつけて逃がしてくれて・・・その・・・彼女も助けたいんです、私・・・」
その言葉に師匠の目尻が上がって何かを言いかけるが・・・俺はその前にアリスの頭に手をおいて言った。
「わかった。できることはしよう。だからとりあえず今は休んでいいよ」
その言葉に驚いたような表情を浮かべるアリスと師匠・・・アリスが信じられないと言いたげな表情で「い、いいんですか?」と聞いてくるが・・・なんか、流石にこの状態でスルーするのは後味が悪すぎるし・・・何より偽善だろうが、助けられる人は助けたいというエゴとーーーケモミミ少女のお願いを断れない少しの下心で頷いていた。
「俺にできることはする。約束するよ」
「あ、ありがと・・・ござ・・ます・・・」
その言葉に涙を流してお礼をいうアリスだったがーーーやがて泣きつかれたのかすやすやとまた眠りだす彼女に師匠から借りた毛布をかけると師匠はあきれたような表情をしていた。
「正気かい?こんな厄介事をしょいこんで・・・」
「まあ・・・できることはしますよ」
言った以上はやれることはやる。それになにより・・・
「この子の話だと、逃げ出した場所からさっきの場所までそこまで距離があるような感じではなかった・・・ということはこの付近にそういう隠れ家がある可能性が高い訳ですよ。流石にこんな近辺でそんな悪いことしてる人がいるなら・・・ラズベリー伯爵家の者として見過ごせませんから」
この国では奴隷の売買は違法行為・・・だからそんな隠れ家があるなら早めに潰して民を守るのも貴族の役目だしね。
そんな俺の言葉に師匠は苦笑しながら言った。
「そうかい・・・なら、私も少しだけ手伝ってあげるよ」
「いいんですか師匠?」
正直、こんな面倒事嫌がるかと思っていたのに・・・そんな俺の内心に頷くように師匠は続けた。
「あくまで手伝いさ。隠れ家の場所を見つける協力はするよ。でも・・・その後は自分でどうにかしなよ?」
「もちろんです。ありがとうございます師匠」
思わぬ助っ人にお礼を言ってから俺は戦いのための準備を始めた。




