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【完結】ソラヌスの遠吠えⅠ狼子  作者: 逆立ちハムスター


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目の前に降りて来た吸血鬼目掛け瓦礫を投げつけ潰す。もう1体の吸血鬼を剣で切り裂く。致命傷にはならなかったが、部隊の指揮官がクロスボウボルトを吸血鬼の眉間に放ち、吸血鬼にとどめを刺した。

剣の弱点はメンテナンスが必要な事か。

考えたことなかったな。

「確かだ!! 我々の部隊が退路を維持しておくよう、陛下より命令を受けた!! おい! 誰かバリスタに着け!!」

「俺が行きます!!」

「くそー! 吸血鬼共め。殺しも殺しても切りがない」

「奴らだって無限にいるわけじゃない。俺が東門まで行って王を連れて来る。それまでここを確保しておいてくれ」

「分かった。できる限り時間を稼ぐ! だが俺たちも不死身じゃないぞ!」

指揮官の肩を叩く。

「急いで戻る」

カイスター王の向かった東門を目指す。

上空から次々と降り立ってくる吸血鬼達を切り裂いていく。

だいぶ剣の扱いに慣れてきた。

だがほぼ力任せだが。

この鎧の装甲の強さにも助けられている。

俺の力を上回る敵が現れた場合、果たしてまともに戦い合えるのかどうか、怪しいところだ。

吸血鬼を次々と斬っていくが、剣の切れ味が落ちてるのが俺でもわかる。奴らの肉片が粘ついているのが悪いな。

ようやく東門が見えてきた。すごい種族の死体の山だ。

これを全部奴らが殺したのか。

向こうも俺を見て同じこと思っているのかもな。

だが先に手を出したのはお前たちだ。

「それは違う」カイスター王の首が足元に転がってくる「先に我が種族を殺そうとしたのは、お前達だ」

俺の心が読めるのか……。

「心眼もロクに防げぬウェアウルフが、なぜまだ生きている?」

「お互い誤算だったようだな」

「そうだ。だが今すぐ正す!!」

凄まじい早さで滑空してくる赤いローブを着た吸血鬼。

避けるが背後に気配を感じ躱す。

だが避け切れず肩に攻撃を受けた。

鎧が切れ、肉体に痛みを感じる。

なんて奴だ。

「遅い!!」

透かさず吸血鬼の攻撃が迫ってくる。

何とか避けつつ、剣を振り反撃に転じる。だが当たらない。

隙を作り、吸血鬼の左手の爪が鎧を貫通し胸に突き刺さる。

突き刺さった吸血鬼の左手を掴み、吸血鬼の顔面を思いっきり殴る。

吸血鬼の左手が裂け、断末魔と共に吸血鬼の顔面が潰れた。

剣の柄に吸血鬼の肉片が少し付いていた。だが何かの破片が飛び散る。

フェイスガードか。

「おのれ……」

正面から蝙蝠の群れが襲い掛かってくる。

体から湧き上がる力を咆哮と共に解き放つ。白い光線が蝙蝠の群れを焼き殺していく。

「はあ!」

今のは俺が放ったのか。

赤いローブを着た吸血鬼の胴体の左半分が消滅していた。

「あぁ……モルス様……」

吸血鬼がそのまま前へ倒れ、泡立つ黒い液体になり地面へ消えていった。

「はぁ……はぁ……」

地面に膝を突く。

今の力は、相当堪えた。

体が急に重くなった。

上空を飛んでいた吸血鬼たちが東へ飛び去っていく。

「なんだあれは……」

空には半透明の巨大な狼の顔が映し出されていた。

ソラヌスか? いいや、違うな。だが……見覚えがないのにどこか懐かしい気になるのはなぜだ。

地面に目をやると黒い液体の後に折りたたまれた羊皮紙が1枚残っていた。

羊皮紙を拾い上げ読む。


──丁寧に折りたたまれた羊皮紙。

カイスターにいるレンダッド4世を殺せ。必ず死体は潰せ。

これは偉大な神であるモルス様からの命である。

サノーム。

──


目的はカイスターではなく王を殺す事だったのか。

目的は果たしたというわけだな。

しかしカイスターの住人達は逃げる時間を得られた。

王の死は無駄ではなかった。

王の生首を拾い上げ、兵士達の元へ向かう。

しばらく後……。

城壁の上から周囲を眺める。

夕日だ。もうすぐ日が暮れる。

南のベニスティアやロブロックに向かう者達。

北西のアーゼンダストに向かう者達。

故郷のカイスターに残る者達。

そしてローゼの向かったアイアセンに向かう者達。

俺は兜を再び被り、ローゼの待つアイアセンを目指す。


To be continued……。

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