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目の前に降りて来た吸血鬼目掛け瓦礫を投げつけ潰す。もう1体の吸血鬼を剣で切り裂く。致命傷にはならなかったが、部隊の指揮官がクロスボウボルトを吸血鬼の眉間に放ち、吸血鬼にとどめを刺した。
剣の弱点はメンテナンスが必要な事か。
考えたことなかったな。
「確かだ!! 我々の部隊が退路を維持しておくよう、陛下より命令を受けた!! おい! 誰かバリスタに着け!!」
「俺が行きます!!」
「くそー! 吸血鬼共め。殺しも殺しても切りがない」
「奴らだって無限にいるわけじゃない。俺が東門まで行って王を連れて来る。それまでここを確保しておいてくれ」
「分かった。できる限り時間を稼ぐ! だが俺たちも不死身じゃないぞ!」
指揮官の肩を叩く。
「急いで戻る」
カイスター王の向かった東門を目指す。
上空から次々と降り立ってくる吸血鬼達を切り裂いていく。
だいぶ剣の扱いに慣れてきた。
だがほぼ力任せだが。
この鎧の装甲の強さにも助けられている。
俺の力を上回る敵が現れた場合、果たしてまともに戦い合えるのかどうか、怪しいところだ。
吸血鬼を次々と斬っていくが、剣の切れ味が落ちてるのが俺でもわかる。奴らの肉片が粘ついているのが悪いな。
ようやく東門が見えてきた。すごい種族の死体の山だ。
これを全部奴らが殺したのか。
向こうも俺を見て同じこと思っているのかもな。
だが先に手を出したのはお前たちだ。
「それは違う」カイスター王の首が足元に転がってくる「先に我が種族を殺そうとしたのは、お前達だ」
俺の心が読めるのか……。
「心眼もロクに防げぬウェアウルフが、なぜまだ生きている?」
「お互い誤算だったようだな」
「そうだ。だが今すぐ正す!!」
凄まじい早さで滑空してくる赤いローブを着た吸血鬼。
避けるが背後に気配を感じ躱す。
だが避け切れず肩に攻撃を受けた。
鎧が切れ、肉体に痛みを感じる。
なんて奴だ。
「遅い!!」
透かさず吸血鬼の攻撃が迫ってくる。
何とか避けつつ、剣を振り反撃に転じる。だが当たらない。
隙を作り、吸血鬼の左手の爪が鎧を貫通し胸に突き刺さる。
突き刺さった吸血鬼の左手を掴み、吸血鬼の顔面を思いっきり殴る。
吸血鬼の左手が裂け、断末魔と共に吸血鬼の顔面が潰れた。
剣の柄に吸血鬼の肉片が少し付いていた。だが何かの破片が飛び散る。
フェイスガードか。
「おのれ……」
正面から蝙蝠の群れが襲い掛かってくる。
体から湧き上がる力を咆哮と共に解き放つ。白い光線が蝙蝠の群れを焼き殺していく。
「はあ!」
今のは俺が放ったのか。
赤いローブを着た吸血鬼の胴体の左半分が消滅していた。
「あぁ……モルス様……」
吸血鬼がそのまま前へ倒れ、泡立つ黒い液体になり地面へ消えていった。
「はぁ……はぁ……」
地面に膝を突く。
今の力は、相当堪えた。
体が急に重くなった。
上空を飛んでいた吸血鬼たちが東へ飛び去っていく。
「なんだあれは……」
空には半透明の巨大な狼の顔が映し出されていた。
ソラヌスか? いいや、違うな。だが……見覚えがないのにどこか懐かしい気になるのはなぜだ。
地面に目をやると黒い液体の後に折りたたまれた羊皮紙が1枚残っていた。
羊皮紙を拾い上げ読む。
──丁寧に折りたたまれた羊皮紙。
カイスターにいるレンダッド4世を殺せ。必ず死体は潰せ。
これは偉大な神であるモルス様からの命である。
サノーム。
──
目的はカイスターではなく王を殺す事だったのか。
目的は果たしたというわけだな。
しかしカイスターの住人達は逃げる時間を得られた。
王の死は無駄ではなかった。
王の生首を拾い上げ、兵士達の元へ向かう。
しばらく後……。
城壁の上から周囲を眺める。
夕日だ。もうすぐ日が暮れる。
南のベニスティアやロブロックに向かう者達。
北西のアーゼンダストに向かう者達。
故郷のカイスターに残る者達。
そしてローゼの向かったアイアセンに向かう者達。
俺は兜を再び被り、ローゼの待つアイアセンを目指す。
To be continued……。




