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第3話 エロ魔獣と外道村長編 その1 村を散策しよう

 

 暖かな日差しが降り注ぐ昼下がり、オレはサナをお供に連れ、上空から見えた近くの村に向かっていた。


 え? 光の翼で飛ばないのかって? せっかく人間形態になったんだから、「二本足で歩く」感覚も新鮮なんだよな! のんびり散歩も悪くない。


「……ふう……ふう、リリ様、申し訳ないのですが、もう少しゆっくり……」


 しまった、少し歩くのが早すぎたか? オレは紳士だからね。下僕に合わせてやらねばなるまい……

「サナ、どーした? 歩きにくいのか……って」


 あらためて、まじまじとサナの格好を見ると、ぼろのワンピースに、足元は草履のような粗末な履物だ。

 ああ、これではデコボコした街道は歩きにくいに違いない。


 オレとしたことが……こう見えて、オレは自分の所有物は大切にする性格である。汚れているなんて、もってのほかだ。

 待ってろ。


 サナに服を着せてやるべく、素材魔法を発動させる。


 パアァ……


「わわ、なんですか、これっ!?」

 魔法の光が収まると、そこにはきれいに着飾ったサナがいた。


 薄手の白いアンダーシャツに青色のジャケット、胸元にはワンポイントで赤いリボンをつけてやる。 ふわりと広がった短めのプリーツスカートに、足元はブーツ。


 人間界の、魔導学院制服風に仕上げてみたぞ。 さすがオレ、センスいいな! しかし、しかしでけーな……ジャケットの上からでもはっきりわかるじゃねーか。




 リリ様が素材魔法を唱えると、わたしは凄く素敵な服を着ていました。


 わあ、これ、魔導学院の制服みたいで、すっごくかわいいです! こんな上質な服、着たことありません……ああ、リリ様、一生ご奉仕します!


「これほど素敵な衣装を頂けるなんて……しかも制服という事は、フォーマルな場でも大丈夫……すなわち、このまま婚姻の儀をしていただけるという事に……あいたっ」




 またサナが妄想に沈んでいるので、チョップして目を覚ましておく。


「オレはね、自分の持ち物がこぎたないのはイヤなだけ。 ほら、アホなこと言ってないで、先を急ぐぞ!」


「……ああ、所有物なんて……サナはこれでくっきりしっかり愛の印を、この肉体に頂いたという事ですね……」


 背後でまだサナがぶつぶつ言ってるが、無視することにした……めんどいし。


 ***  ***


[ルーヴィン村へようこそ!]


 1時間後、オレたちは辺境の村、ルーヴィンの入り口に立っていた。


「んー、なんだな、サナ。 こーいう地図を見ればわかる内容だけ書かれてもなー。 せめて名所とか、名産品の情報とか書いてほしくない?」


「リリ様、いけません。 その部分は人間界の禁則事項なのです。 ”世界村/街名紹介ギルド”は、絶大な権力を持っています。疑問に思ってはいけません……」


 ほーん、人間界ってめんどくさいんだね。 「ここはルーヴィン村だよ! 大根とほうれん草が名産なんだ。食べていくといいよ」と、これまたガイドブックを見ればわかることを連呼する謎の村人をスルーし、オレたちは村の中に足を踏み入れる。


 深い森の入り口にあるこのルーヴィン村。”探検や山菜取り、モンスター狩りを楽しむ前に、ぜひご休憩を”と、観光案内所のパンフレットに書いてあるが、特段名所もない、普通の村のようだ。


 人口は2,000人程度だろうか? 村の人通りは少ない……さーて、ロリはどこかなーっと……オレは自慢の嗅覚を駆使し、手ごろな女の子を探す。


 …………


 ん~? 鼻に感じる、わずかな違和感。


 10歳以下に比べて、11~14歳の年齢の女の子が少なく感じる。何か疫病でも流行ったのだろうか?

 いや、それにしては男の人数は変化ないようだし?


 あ、ちなみに、”食べごろ”とは、人間年齢換算で11~14歳だぜ?

 シングルはいけない、犯罪である。「Yes,ダブル No,シングル」覚えておいてくれ。


 ……くぅ


 オレが思案していると、サナが、かわいく腹を鳴らした。


 こいつめ、ご主人様より先に腹を鳴らすとは……けしからん奴だが、オレも腹が減ったな!

 そろそろ夕方になるし、今夜はここに泊まる事にして、飯にでもするか!


 ***  ***


「おやじ! 中ジョッキひとつと、たこわさ! ぴりりと効いた奴を頼むぜ?」


「山ん中に、そんな気の効いたものはねーよ! あと嬢ちゃんたちに酒は出せねえ……子供は茶かミルクだ」


 つい、いつもの調子でオーダーするも、速攻で断られてしまった……ちっ! 御年23,000歳のナイスガイを子供扱いだと!! チリにしてやろうか……


「まあまあ、リリ様。 いまのわたしたちは、どう見てもお子様一行ですから……ほら、マーマンの[ピー]白子和えがありますよ、これにしましょう。うふふ」


 オレがガルル、と店主を威嚇していると、サナが諌めてくる……こいつ、珍しく常識的なことを……


「ってサナ、なんでそんなすごく精が付きそうなくいもんを、すすめてくるんだ?」


「いえいえ、先ほどリリ様が”Yes,ダブル No,シングル”とおっしゃいましたので、ああ! サナちゃんばっちしターゲット、今夜は宿屋で、めくるめく官能の一夜が! ということでその下準備を……あいたっ!」


 まったくこの色ボケ巨乳は……しかもいまのオレは女だぞ? ナニを出すためにチャージするんだよ。まあ、自慢の尻尾はいつでもビンビンだけどな、わはは!


 がはは、と高笑いしてると、ウェイトレスのお姉さんが、オススメ定食と、お茶を運んできてくれた。


 18歳くらいだろうか、美人だが、憂いげな表情だ。なにか、オレたちを見る目に寂しさというか、悲しみを含んでいるような? なんなんだ?


 食堂の隅の席では、陰気なおっさん数人が、こちらをチラチラ見ながら、なにかをぶつぶつ言っている…………ふうん?


 ***  ***


 オレは飯を食い終わると、サナを連れて夜の村へ散歩に出た。


 先ほどの食堂の2階が宿屋になっているので、別に移動する必要はないのだが、オレの推測が正しければ……オレは、ひと気のない適当な路地に差し掛かったところで、サナの手を引っ張り、路地に連れ込んだ。


 サナは顔を真っ赤にし、「ああ、今夜はこんなところで、羞恥露出プレイですか……さすがリリ様です」などど、勘違いしているようだが、今回の目的はそれじゃない。


 オレたちが路地に入ったとたん、尾行していた男たちがオレたちを取り囲む!


 さあ、面白くなってきたな!


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