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第三十四話:飛竜の試験と渾身の装備

冒険者登録からわずか半年足らずでのBランク昇格試験への挑戦。ギルド内は再び騒然となった。 特に受付のザムエルは、二人の急成長を面白く思わず、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。 「(フン、こいつらは運良く白竜を見つけて、アルヴィン公爵に拾われただけだろう……) 試験地はここにしてやろう……『黒鉄くろがねの廃坑』だ。最近、凶暴なワイバーンが棲みついた場所だ。合格には二週間以内に奴を倒して来る必要がある。せいぜい食われんことだな」


あからさまな嫌がらせの選定だったが、ルピーネとロドルフは顔を見合わせた。 「……ワイバーン? 今の俺たちなら、いけるんじゃないか」 「ええ、頑張りましょう。北の深林でアルヴィンの足を引っ張りたくないものね」


結果として、二人は華麗にザムエルの嫌がらせを跳ね除け、廃坑への往復にかかる四日間も含めて、わずか五日で任務を達成して帰ってきた。 二人は、討伐証明であるワイバーンの鉤爪かぎづめに加え、アルヴィンの新作魔道具「記録玉」を提出した。幻獣の素材を魔石に封じて作った、映像記録用の魔道具だという。


ギルドの審査員が、「鉤爪だけで十分なんですけど……」と怪訝な顔をしながら記録玉に魔力を通すと、たちまち魔石に記録された戦闘記録が再生され、周囲から驚嘆の声が漏れた。 映像の中では、ロドルフの雷光が一瞬でワイバーンの翼を焼き切り、ルピーネの紅炎がその息の根を止めている。もはや彼らの実力は、ベテラン冒険者の域を完全に超えていた。



試験を突破し、堂々のBランク冒険者となった二人が皇宮に戻ると、そこには「最高の装備一式」を手にしたアルヴィンが満面の笑顔で待っていた。 「おかえり。B級昇格おめでとう。心配はしてなかったけどね。お祝いに、精魂せいこんを込めたプレゼントを用意したよ」


ルピーネには、火の魔物サラマンダー革鎧レザーアーマーに、冷気を完全に遮断するよう改良アップグレードを施したエルフのマントが贈られた。ルークとお揃いの銀の腕輪にはルークを呼び寄せる術式が追加され、ミスリル製『紅炎の両手剣ロングソード』に合わせて、魔導スリングには、ルークの炎を増幅する術式が刻み込まれた。 「いよいよ『紅炎の戦士』って感じでかっこいいでしょ?」


ロドルフには、金剛鉄アダマンタイト製のヘルメットと胸当て。その下に着込むのは、宝物庫で見つけたドワーフ謹製の鎖帷子くさりかたびらだ。首元に回復のフィビュラをはめられるよう、アルヴィンが細工を施している。武器も魔力保持量をこれまでの数倍に高めたハルバードへと進化した。 「ルークの魔力も増えてきたしね。雷光での攻撃時間が、今までの五倍は持つよ」


ルークの首輪には、成長に合わせた拡張の術式が刻まれた。 「最近少し首周りがキツそうだったからね。ルーちゃん自身の魔力で自動的に広がるから、二、三年はこれで大丈夫。銀自体の量は増えないから、少しずつ首輪の幅が細くなってはいくけどね」


アルヴィン自身は、改良を重ねた連射式クロスボウに加え、近接戦闘用に宝物庫で見つけた伝説のミスリル製片手剣レイピアを腰に下げている。エルフのマントを纏い、愛用の『白銀の竜笛』を首にかけるのも、もちろん忘れてはいなかった。



「ルピィ、ロー、アルー……キュイー?」 ルークが首を傾げて尋ねる。 「ああ、準備はできたから、明日の朝に出発しよう。いよいよ北の大森林へ」


Bランクの称号と、エルフとドワーフの叡智を結集した装備。一行は、ついに失われた魔力と『虚無』の発生の謎を追うために、極寒の地へと一歩を踏み出す。

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