転生するには良さげな林道と暴走トラックが必要である。
「フソーラ王国の第17王子である6歳のルクスよ。フソーラ王国第27代王であるモロス王の権限で其方を王国から不毛の大地へ追放する!」
フソーラ王国の宮殿で王がやや説明口調でそう高らかに宣言する。
その空間では嘲笑する者しかおらずその事を残念がるものはいなかった。それほどこの金髪の王子は無能なのだ。
そして残念がる者は文字通り、その空間には誰一人としていなかった。
追放されたルクス王子本人さえも。
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この現代日本はとても素晴らしい。
品質の高い食べ物や衛生的な環境、全てに置いて異世界を上回っていると言えるだろう。
しかしこの国では、現代日本と比べるとほぼ全てで劣っている異世界に行くと言う、異世界転生系のジャンル作品は多い。それに人気も高い。
そんな事を言っている僕もその作品たちのファンの一人。ちなみにスローライフ系が一番好きだ。
人外いやスライムに転生し国を作ったり、厨二病が陰の組織を作ったり、追放されたダンジョンでガチャからでた仲間たちと国を作り復讐をしたり、そういうのも良い。
だけど、もし自分が、いや日本人が転生したらせいぜいスローライフがお似合いだろう。まず人を殺せない可能性が高い。そして次に転生したとして無双できるかはわからない。
だがそれでも僕はテンプレや異世界ブラフ、そして異世界転生系小説が本当に好きだ。
そして今はもう小説を読むだけでも飽き足らず当事者になりたい。
つまり転生したい。
しかし僕がどんなにそれを望んでも、様々な格闘技そして様々な専門学、そして様々な文化学、そして様々な現代知識を学んで、異世界無双をするための下地を作っていたとしても、どんなに努力しても、僕が転生できることはないだろう。
それがこの世界での『あたりまえ』だ。
しかし自分でもその結果はもう既に何となくわかっていた。どんなに夜、コンビニを出た後、歩きながらスマホを見て顔を上げても異世界の光景が目の前には広がっていない。
ちなみにこれは、異世界転移になってしまうが異世界に行けるなら正直なんでも良い。
だがそれすらも叶わない。
流石にそれを確信した夜は一人、ベットで顔を枕に埋め込み泣いた。それほど、ショックは大きかった。
それが中学3年生の頃の出来事でありで今はそれから3年が経った。
現在高校3年生。
ちなみに未だ異世界への扉や空間の裂け目、後輩の結婚話の相談の際に程よく刺してくれる通り魔、ショック死狙いのトラクター、そして良さげな林道とトラックなどはまだ見つかっていない.............
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今日も今日とて『キッカケ』探し。
しかし未だに僕は異世界に行けていなかった。もはや僕の人生は異世界へ転生する為の序章に過ぎない。それほどこの世界での未練はない。
しかし未だに僕は都立の進学校の制服に袖を通す。
この制服も3年ものだ。
異世界に転生する為に無茶をたくさんしてきたので、結構ボロボロだ。少しは思い出深い。
そして鍵を開け玄関を出る。
ここでも異世界へ転移するのではないかと期待をする。
だがしかし、いつも通りの17年間見てきた家の外の光景だった。
歩みを進める。
高校への通学路である歩道橋を渡るがそこでも転移は起きなかった。
そして気がついたら学校に着いてしまう。
ちなみに僕の学校生活は普通の人から見たら、僕は全く青春を満喫していないだろう。しかしそれが僕の青春だった。僕には時間が無いのだ。
僕も流石に高校生になり現実と向き合わなければならない。このまま大人になったら僕のこの異世界への熱はきっと冷めてしまう。
そんな気がした。
それは嫌だった。
生きる目標を失いたくなかった。だから僕は何としても今年中に異世界へ行きたかった。
たとえ自分から命を断つ結果になっても。(なんか矛盾している...........)
僕は異世界を目指し続けた。
しかし高校3年生の夏が近づいてきても今だに異世界に行けてない。
「当たり前だろ?」と思う人はいると思う。
だがこの世界に当たり前など存在しない。と信じたい。
そうじゃないと僕のこれまでが無駄になってしまうから。
そして放課後僕は最近見つけた良い感じの林道へ足を運んだ。夜に行った為その林道は少し薄気味悪かった。
そこをどんどん僕は歩く。
ちなみに家からは徒歩2時間。少し遠いくらいだ。
しかし良い感じのトラックはもちろんの事、人影さえも見つけられなかった。
僕はその瞬間内心諦め家の方へ足を向ける。
今日も無駄足だった。
その落胆だけが心にはあった。
そのせいか僕はその存在に気づかなかった。林道を勢いよく走る暴走トラックに。
その存在に気づいた瞬間、僕の視界はトラックのヘッドライトの光により何も見えなかった。
僕は転生するなら女神みたいな存在と会ってみたいと思ったがそのような事は全くなかった。
ただただ僕は眩しい光に包み込まれた。
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僕は結果として異世界に転生することができた。
もう少し驚くかと思ったがそんなに驚きはなかった。
ちなみに僕が生まれた家は超大物一家だった。何と、とある王国の王の実の子供、つまり一応王子らしい。
それと世界観は魔力もスキルも魔法もある。正に僕が望んでいたファンタジー系の世界へ転生できた。
神様がいるか分からないが一応感謝しておこう。
しかし前世で高校生までなったのに急に赤子になるとやはりオムツとかは最初はやっぱりキツイ。
”アレ〟を出した後にそこに留まり続ける感覚が僕は我慢できなかった。
やっぱり少し気持ち悪い。しかし今は赤子なので何も抵抗はできない。
今の僕にできるのは大きな声で泣くことだ。
「おっぎゃあああ〜!」




