第31話 三好の座
### **第31話 三好の座**
摂津・飯盛城。
春とは名ばかりの冷たい風が、広大な城内を容赦なく吹き抜けていた。家臣たちや小姓たちや商人や公家などを入れ替わり歩いて賑わいや騒がしさをあった。
この地を拠点とする三好家は、今や畿内の実質的な支配者であり、その軍勢は「三好三人衆」に代表される精強な家臣団に支えられ、圧倒的な機動力と兵站力を誇っている。この軍事パワーや三好一族の団結力がこの三好の強さとも言えるのだろう。
上座には、静かなる覇者・**三好長慶**が座していた。この男が今や機内の王とも言われている男の三好長慶本人である。
その細面には、畿内の群雄をねじ伏せてきた深い思慮が刻まれている。色々な思いや葛藤もありながらも機内統一の為国の安定の為に闘ってきた心があるのだ。彼は無言のまま、膝前に置かれた書状をじっと
眺めていた。近江からの「不穏な報せ」を記したものだ。
その周囲には、三好家を支える重臣たちが並ぶ。
智謀と冷徹さで知られる軍事・調略の重鎮、**松永久秀**。近年では梟雄と言われていたが実は三好家随一の忠臣だったのでは?と新説で言われている。
長慶の実弟であり、行政・民政において絶大な信頼を置かれる**三好義賢**。兄上からの指示や家臣への気配りも素晴らしく領民や家臣団にも人気である方だ。
同じく弟で、水軍の統率や広範な人脈による情報収集を担う**安宅冬康**。兄弟で裏表があるなら代表が長慶表の顔が裏の顔が冬廉と言えるだろう。
この強固な陣容が、今日ばかりは重苦しい沈黙を共有していた。お互い顔見合いながらも誰一人声出そうとはしないのである。皆様子見しながらどうするかと考えて込んでいる。
「……近江の狼が、ようやく牙を剥き始めましたな。ここ二年何かと行動起こしており、やっと手を潜めたと思ったらすぐに何かとなりませんが……動き始めましたな。」
沈黙を破ったのは久秀だった。その瞳には、獲物を探す獣のような獰猛な光が宿っている。その眼の中に長慶や三好への忠誠見え隠れしている。長慶を近畿統一へそして日ノ本一の家や人にする為に…
「狼、か。……近江の義仲。あの小童がこんな時間掛けずに朝廷からの官位、幕府との役目、そして近江国内の統治改革。あまりに手が早い前々から考えていたとしても納得しますな。」
長慶が低く呟く。義賢が静かに頷いた。
「兵を動かした形跡はありませぬ。だが、兵糧の備蓄、鍛冶座の統合、そして領内の防諜網の整備――。あやつ、自らを『いつでも戦える形』に作り替えておりますこの準備が我々に対してか他の北畠・浅井なのか見極めが重要ですぞ。」
安宅冬康が、眉間に皺を寄せて報告を重ねる。
「兄上、それ以上に懸念すべきことがあります。今、市井では『三好が先に近江へ刃を抜く』という噂が、水面下で猛烈な勢いで広がっているのですそれもかなり前からですな」
その言葉に、長慶の視線が鋭く変化した。
「誰が流した六角かそれとも違うもの達か?答えよ!」
「特定は困難ですが……。我々のお抱えの忍びにも調べてくれておりますが伊賀筋でも同様の話が囁かれております。義仲が撒いた種か、それとも火のないところに煙を立てる輩の仕業か」
久秀が鼻で冷笑する。
「実に上手い。こちらが否定すればするほど、民や他国衆は『図星だから弁解している』と受け取る。義仲は、我らがこの噂に対し『どう反応するか』を試しているのです。我らが焦って動けば、それこそが宣戦の口実となる」
「つまり……我らは、あやつが引いた土俵の上で相撲を取らされているのかどっちが土俵際から落ちて戦に敗れるのかと思って居るのか…」
義賢の言葉に、長慶の内心に微かな苛立ちが走った。長慶にとって義仲は、せいぜい近江で遊ぶ若造に過ぎないはずだった。だが、この策謀の深さは、並の領主には描けない。あの義賢の弟と思い侮っていたがもしかしたらあの定頼よりも優秀かもしれん…そう思うようになってきた
(……若造、か。いや、違う…近江の大狼と云う訳か)
長慶の背筋に、冷たいものが走る。久秀が一歩前に出た。
「殿、このまま傍観は危険です。義仲が飼い慣らした甲賀、伊賀の影が、畿内の勢力図を塗り替えようとしている。我らが放置すれば、伊賀の連中も義仲の方へ傾きかねない」
「では、久秀。どう動くのが上策だ」
「まずは――義仲が『何を恐れているか』を探り出します」
「恐れ、か」
「人は恐れるものに備える。あれほど急いで国を武装させる理由が、必ずあるはずです」
しばしの沈黙の後、長慶は低く命を下した。
「安宅。伊賀へ使いを出せ。ただし、条件は出すな。探るのみだ。義仲が撒いた噂を、こちらも事実かどうかを測る」
(義仲……。お前は戦を避けているのか。それとも、自分から戦を選べる立場に立とうとしているのか)
長慶は遠く、北近江の方角を見やった。
彼らの視線の先では、既に見えぬ糸が絡み合い、互いの呼吸を殺す「静かなる戦」が始まっている。三好という巨大な軍事国家が、近江の狼の仕掛けた「噂」という毒に、少しずつ侵食され始めていた。
ついに6月9日からなろうのAI規制が試験的に始まりました。本格始動は9月からなので残り3ヶ月ありますが早速“間接使用”にして付けておりますm(*_ _)mこれから様子を見ながら義仲の物語作って行きます( * ॑꒳ ॑*)
これから三好家との戦いなのか?それとも北畠家浅井家との戦か?今後の展開も楽しみにして下さい!。




