2-11 紅の迷宮(下)
「さぁ、つきましたよ。紅の迷宮です」
目の前には燃えるよな赤い石でできた大きな入り口があった。
そこに近づくと此処は北端だというのにまるで南国かのように蒸し暑かった。それは火山の麓にあるが故なのかもしれない。
ここでおさらいするがマーメルは大森林、火山、海に囲まれているため出入りがかなり大変なのだ。
「リオ様、迷宮は入った途端から魔物がうじゃうじゃでるんですからね」
フウは手で真似をしながらそう言った。俺は「わかってるよ」と返事をした。迷宮はフウの言うように入った瞬間から魔物の巣窟。それに攻略するか転移水晶とよばれるものを使わないと出られないのだ。ちなみに俺らは村長からもらっている。このように迷宮は危険ではあるがその反面、強い武器やアイテムなどをてにいれられるチャンスもあるのだ。
「じゃあ、村長の孫さん助けてきますか」
最後の確認をして俺らは迷宮の中に足を踏み入れると次の瞬間はもう洞窟の中だった。そこはまるでサウナかのような暑さで靴を履いていてもわかるほど地面も熱く熱されていた。
立ち止まっていても仕方ない。速くモアを探さなくてはと、走り出すと、暫くして迷宮から何匹かの炎を纏った骸骨と、赤色の変形した人形の何かが襲いかかってきた。
得意の氷魔法で槍を作り出し赤色の魔物たちを攻撃する。その間にフウは刀で次々と骸骨を切っていった。
まだ入り口付近だからか魔物は弱くて効果はあるものの、この先強くなると氷魔法はほとんど効かなくなるだろう。正直これは予想外だ。魔人に出会った場合は本当に駄目かもしれない。そんな弱気な自分をふりきって進んでいく。
それからは予測通り氷魔法は効かなくなっていった。しかし他の魔法とフウの奮闘により思ったよりも速く進んでいく中「イャァアァアー」と甲悲鳴が響きわたる。駆けつけるとそこには大きな炎を纏ったキメラに鷲掴みにされたモアがいた。血がどばどばと出ていて目も虚ろだ。
早く助けなきゃどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
俺がパニックをおこして動けないでいた中モアを掴んでいたキメラの手がおちる。
「ピグゥゥウァアアアア」
キメラは大きく悲鳴をあげた。それに驚き顔をあげるとフウがキメラにどんどん攻撃をしていた。
「何しているんですか!!?早くモアさんに聖魔法をかけてください。リオ様らしくないですよ!」
フウの声でやっと我にかえって駆け出しモアに聖魔法をかける。さっきまで怯えていた自分がなんだかとても情けなく思えてきた。
「光輝け、傷を癒せ!天使之光」
「リオ様はそのまま魔法に集中していてください。私、勝ってみせます。信じてくださいね!」
振り替えって笑顔でフウがそう伝えるとまた戦いに戻って行った。
フウキメラをきりつけるがかわされてしまう。キメラはそのまま大きな火の玉をだしてくる。フウは刀で軌道をずらし、大きく跳びキメラの後ろにまわり刀を大きく振る。キメラはそれをかわすものの刀から放たれた衝撃波をうけ吐血する。フウに体力的消耗はあるものの目立った外傷はまったくない。小さな傷も魔法で回復させている。それに比べキメラは傷だらけでどんどん弱々しくなっていく。
「じゃあ、もうお仕舞いにさせていただきますね!」
そう言ってフウは微笑み刀に風を纏わせる。キメラもピグゥウアーと叫び最後の力で魔力を集めるも間に合わずフウが大きく一振り、刀からでた風の刃によって大きな傷を負わされそのまま絶命した。フウは刀についた血を拭き取るとしまってとびっきりの笑顔でいった。
「リオ様、私勝ちましたよ!約束果たしました」
「そうだな。お疲れ様俺の自慢の従者さんよ」
「えへへー照れちゃいます。リオ様が褒めてくれるなんて珍しいですね」
照れてはにかんでいるフウに「まぁな」と答える。今回は本当に皆フウのお陰だ。的確な判断をしキメラを倒したのだ。それに比べて俺はなんなんだろう?いざとなるとびっくりして何もできなかったではないか。内心自分を責めつつそんなやりとりをしている間にモアの傷も癒えた。フウの返り血を拭き取るりキメラを謎空間にいれた。そして転移水晶を出し帰ろうと言おうとしたその瞬間、フウの足元に大きな魔法陣があらわれそれによりフウが消えた。いや飛ばされたのだ。
あれは転移水晶によるものじゃない、外部から干渉されたのだ。
「どういう意味だ」




