2-6 チェスと従者と魔導書と
今回は長いです。5000字ぐらいですかね?
ではどうぞ
「はじめまして、私はミッシェル商会会長、ミッシェル・アンシェリークと申します。以後お見知り置きを」
「こちらこそ」
俺は微笑んで軽く礼をした。
ミッシェルという少女はどこか儚で広がった淡く桜色のかかった亜麻色の髪も鴇色の瞳もその性格を表しているようだ。ひらひらと舞うマントはまるで羽かのように見えてくる。掴みどころのなさそうな姿だが、商会をも築きあげたのだ、何を考えているかわからない。
そしてミッシェルの後ろにもう一人。ふさふさの猫耳のついた白藤色の長い髪と透き通った金色の瞳をもつ獣人の美少女。異世界初のもふもふなのだ!だが、俺は犬より猫より両生類派なのだ!
おっほん、まぁ話を戻そう。服は鈴がじゃらじゃらついていている。さらに首輪がついているから多分奴隷かなにかなのかもしれない。まぁそうでない場合は本人の趣味ということになるが、そうでないでいてほしい。異世界とはいえ喜んで首輪はつけないだろう。この二人以外にもたくさんの人がいるが、この二人はこの商談の重要人物だろう。あきらかにオーラがちがうのだ。
暫く村長と彼女らが話し合って結果、家で俺と商談をすることになった。ちなみにくるのはミッシェルさんと猫耳の少女だけだ。ほか人は村人と交渉を先にやっているらしい。ちなみ俺の持ち金はすべて村人に託している。一応、俺と話し合って決めたものを買ったらあとは自由にするように言っている。そんなことしてお前どうするんだ?とか思うだろう。確かに今の俺は無一文だ。交渉決裂とかされたらそりゃ、やばいだろう。まぁ、その時は狼の毛皮とか、手作りの砂糖なんかを売ればどうにかしのげそうだ。
だが、それでは何もかわりやしない。だから必ず成功を収めようと思った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そして俺はミッシェルさん達と商談をすべく俺の家に。一やって来た。一応、客室(仮)に案内したがこれでいいのだろうか?外ではフウに警備をしてもらっているから心置きなく商談ができるだろう。俺は礼儀作法についてはある程度知っているものの、こういうことには体験がない。粗相はしていないかがとても心配だ。表面上は大丈夫のようだが正直言って内心怯えまくっている。気を抜けば手がプルプルと震えてしまいそうだ。
ミッシェルさん達も席につき、いよいよ商談の始まりだ。
「じゃあ、改めて自己紹介をするわ。ミッシェル・アンシェリークよ。
ミッシェル商会の会長をさせていただいてるわ。まだまだ経験は薄いけどよろしくね。こっちは奴隷のナンシーよ」
明るい声でミッシェルさんは自己紹介をした。
「ペットじゃないわっ!」
「えっ、奴隷でしょ」
「奴隷だけど一応従者だよ!?てか、ペットってな!?人権どうしたの!?」
「貴方は人権何てありません~」
「ありません~じゃないわ!」
ミッシェルさんが自己紹介しながらボケて、猫耳美少女こと、ナンシーさんがつっこむ。いいコンビなのだろう。
「うちの子がごめんね~」
「こっちのセリフだよ!あっ!本当、ごめんね。こいつ、いつもこんな感じだから、 私はナンシー。見ての通り猫の獣人。「エセよ」エセじゃないから」
俺の前に透明な画面が現れた。ナンシーさんが《情報》で見せてくれたのだろう。
名前:ナンシー
称号:ミッシェルの奴隷、すごい猫、超越した猫、A級冒険者、ミッシェル商会副会長、
種族:獣人(猫)
魔力:5000/32000
魔法:闇魔法上級、雷魔法上級、風魔法上級、治療魔法上級、光魔法中級、火魔法中級、水魔法中級、土魔法中級
技能:希少スキル 【---】
通常スキル【体術】,【鑑定】,【剣術】,【槍術】, 【---】, 【---】, 【---】略
確かに獣人であるようだ。所々の表示が見えない所があるがこれは何なのだろう。昔、本に記載されていた気がするものの今一度思い出せない。それを察したようで、ナンシーが画面を閉じて説明をはじめた。
「所々にみえないとこがあるでしょ。それは私が非公開にしているところなの。だから普通の人には見えないの。まぁ特定のスキルを持っている人は別ね。他にも特定のスキルで偽る、「はーい、私」…なんてこともできるんだよ」
「へー」
ナンシーさんが丁寧に説明してくれたおかげで、何となく理解することが出来た。
にしても、偽るスキルは使えそうだ。
「さっき、リオール君のも覗かせてもらったけど、ショクなほどに魔力高いね。あと希少スキルも面白そうね~」
「そうですか?って、えっ?勝ってに見ていんですか?」
「そりゃ、見てはいけない…何てルールはないし、見てる人が殆どだよ。戦うときの作戦をたてるのにも使われるしね」
「そーそー、ナンシーの言う通り。礼儀とか気にしてられないよ~」
ミッシェルの言ってることは確かなことだ。今までは他人のを見たこともないし、そもそも知らなかったのだが、確かに戦いで気にしていたら負ける、いや、殺されるだろう。此処はそんなに甘くない。一歩間違えれば命取りになる。此処は日本じゃないし俺の常識は通じないのだ。
「教えていただき、ありがとうございます。僕も改めてになりますが、リオール・アルリアと言います。気軽にリオと呼んでいただいて構いません。まだまだわからない所が多いですが、どうぞよろしくお願いします」
「うんうん、じゃあリオ君!よろしくね。あと、そんなに畏まらなくていいよ。じゃあ、雑談も程々にして、本題に移ろっか~ リオ君、商談があるんでしょ?」
少し目を細めてミッシェルさんが言った。
どうやら商人モードだ。
「そうですね。僕から持ちかける商談は一つだけ。皆さんはこの世界に楽しみがかけていると思いませんか?」
「そうね~、農民は働き、貴族は食べるか、寝るか、あとは悪趣味なことしたり…他に学者なら、ひたすら勉強かな。私にとっての楽しみは戦うことと商談をすることだけど確か~につまらないね」
ミッシェルさんはのんびりとした口調でこの国の現状を語り、ナンシーさんも『うんうん』と言うように首を縦にふる。
「まぁ、ある人にはあると思いますが、僕はこの国に楽しみがかけると思います。だから僕から一つゲームを提供させていただきます」
「へぇー、面白そうだね~ ナンシーもそう思うでしょ?」
笑うように微笑んで話す姿はとても楽しそうだ。本当にこの人は商談が好きなのだろう。リオはそう思った。
「そうね、ずっと思ってたけどとても6歳児がいうことではないけど、面白そうね」
「それはそれは興味を示していただきありがとうございます。ですが「ただ」とはいきません。それ相当の価値はあると思います」
俺は土魔法で作ったチェスを目の前に置き言った。
「そうよね、そうよね。そんなうまい話はないわよね。じゃあその話、買わせていただくわ。「えっ、もう決めるの!?」ええ、今 買わなきゃ損をするわ。私の勘が言っている~ じゃっ、それで幾らなの?」
「話が速くて助かります。じゃあ、そうですね金貨300枚と売ってでた利益の1パーセントでどうですか?」
「えっそれは!」
「いいよー!ただし、そのゲームが面白かったらだからね。あとそれは情報の所有権の金額だよね。わかるよね」
「はい、わかりますよ。では説明を始めます。このゲームは《チェス》といいまして………
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
チェスの説明を大まかにし終えたがどうだろうか。
一応覚えている限りのことを説明したのだがこれに金貨300枚以上もの利益をもたらすことができるのか。そんなこと俺にはわからない。多分ぎろぎりだろう。
「そっか、チェスね。面白いわ!その商談のったわ!あと、久々に楽しかったから特別に教えてあげる。金貨300枚は少ないわ。相当価値はざっと金貨600枚よ。あとそのチェスセットをいれてね。商品化をするのに必須だわ。それから私は今一気に500枚金貨をあげるのが限界だわ。だからその分いいものをあげる。それでいいかしら?」
「ええ、もとは300枚なのです。500枚まで増やしてくださった上にものがもらえるなど頭が上がりません」
「そう、じゃあ交渉成功ね。今から私のスキル「契約」を使うわ。これはさっきの約束を守ってもらうためのものよ。いい?」
「はい、どうぞ」
「我、ミッシェル・アンシェリークの名の下に契約を結ぶ。
1.チェスの情報の所有権をミッシェル・アンシェリークのものとする。
2.そしてその代価として、金貨500枚、利益の1パーセント、そして
金貨100枚 以上の価値を持つ品を引き渡す。
3.以上の約束は絶対重視とする。
誓約 」
ミッシェルが言い終えると同時に、ミッシェルとリオの体が少し光った。これで契約は成立したのだ。
「はぁー、つかれた~ お腹空いた~!糖分~」
「こら、はしたないから辞めなさい!ミッシェル」
どうやら【契約】は魔力を非常に要するようで、終わると同時に一気に力が抜けた。ミッシェルは疲れたぐらいだが、俺はというと魔力が半分以上なくなった。簡単にいうと長距離走のあとぐらいだるい。
「無理よ~、だってこれ最上級のやつだもん「なら使うなよ!」だって金貨500枚と魔導具はかなりの出費なんだもん!」
子供が駄々をこねるように愚痴をこぼす。これが素なのだろうか。
というか疲れた。お腹空いた。お菓子でもだそう。ついでにフウも呼ぶことにした。
俺は謎空間からべっこう飴やサンドイッチ、菓子パンなどを出しながらフウを呼ぶ。
「フウー、お菓子とパンあるから紅茶持ってきて。少しなら食べていいから」
ドドドドドドドドン……バンッ
いきなり足音がしたかと思いきや、扉があいた。ああ、あいつだ。
「リオ様、おかしはくだ「客の前だぞ」」
フウが言い終わる前に思いっきりスライディングキックをスネにかました。フウは地面にうずくまっていたが手あったティーポットとカップの入ったお盆があったが大丈夫だろう。うちの従者は有能だからな。ただしバカではあるが。
どこにフウを蹴る気力があったのかは謎だが、見事に期待を裏切ることなく、紅茶は大丈夫だった。
「痛いじゃないですかー」
「こいつはフウで一応従者です?「何で『?』つけたの!?」これは俺の作ったパンとお菓子です。良かったらどうぞ」
俺はフウを無視しつつ、紅茶を入れたりして客をもてなしていく。ナンシーさんにつっこまれたが、?は自分でもよくわからないからである。
一応フウに情報をかけてみる。
名前:フウ・メイデス
称号:リオールの従者、しゃべると残念、残念な美人、戦闘狂、殺戮兵器、
種族:---
魔力:5000/12000
魔法:治療魔法中級、火魔法中級、水魔法中級
技能:希少スキル 【戦姫】
通常スキル【体術】,【刀術】,【剣術】,【槍術】, 【尾行】
称号はほんと普通だが、フウに苗字があったことは知らなかった。
あと、魔力は若干低いが、それは最近習い始めたばかりだからしょうがないだろう。まぁそれでも、もう治療と火と水は中級だがな。
そして一つ気になるとすれば種族だろうか?フウは情報を知らない。なのになぜ?
多分フウは無自覚に制限をかけたのだろう。見せたくないのならそれでいいのだがな。
俺がそんなことを考えている間にミッシェルさんが再び喋りだす。
「あっ、ありがと~ リオ君は素だと俺なんだね。「あっ」いんだよ~
それとこれはお菓子?きらきらだね~あっ割れるんだ!意外」
「思うところそこなの!?従者の子とか思うところ他にないの ッむぐ「ほらこれ美味しいでしょ?」うん、まぁ……」
いろいろいうナンシーにの口に割れたべっこう飴をつっこみ、自分は新しい飴をとる。仲が良いのか悪いのか。謎の関係だな リオは思いつつ、自分もサンドイッチを食べ始める。
さっきまで地面にうずくまっていたフウもいつの間にかリオの隣で食べ始めているのだった。
「にしても、リオ様、商談成功ですか?多分そうでしょうけど...」
「まぁな。てか、勝手に食べるなよ!お恥ずかしいところを見せてしまってすみません」
俺は勝手に食べ始めるフウにガンをとばしていると、ミッシェルさんは「まぁまぁ、じゃあ質問ある?」ときかれたので「じゃあ、ミッシェルさんは何で商人になったんですか?」と何となく話題をつくる。でもこれは確かに疑問だった。ミッシェルさんなら冒険者だけでも十分だろう。なのになぜ商人をするのだろうか。
「そうね、まぁーさっきも言ったように商談が好きってのもあるし、昔、貧乏だったのが最初に目指そうと思った理由だけど、決心したのは少しあとかな?ねぇリオ君は『晩華の書」って知ってる?」
「いえ」
「まぁ魔導書なんだけどね、なかなか無いんだよ。だから探すために商人やってるようなもんなんだ!」
「そうなんですか。でも何でその魔導書がいるんですか?」
それをきいた途端ミッシェルさんの顔は険しくなったが、すぐに戻った。
なんとなく口に出してしまったがきいてはいけない話題だったのかもしれないと俺は後悔した。
しかし、ミッシェルさんは怒るような気配もなく、まるで愛おしいものを見るような、遠い過去を思い出すような優しさに満ちた顔で話し始めた。
「そこか~まぁそうだよね〜気になるよね。じゃあ賢いリオくんには、特別に昔話をしてあげよう!」
リオは知らない。これがどれほど壮絶な話か。
リオは知らない。あの優しい顔の意味を。
これから話されるのは遠い昔の優しく悲しい話。
ブックマーク、感想、評価、誤字脱字報告など
何でもどうぞ。




