2-7 晩華の書より、思い出を込めて
データぶっ飛び修復にてまどいました。
一応、情報系は得意です。友達が監視されてたのにばれずにハッキングしたことがあるんです。すごいですね。というか犯罪か?
少し暗いお話です。
「これは、ずっとずっと昔の話。
私は昔、名の無い貴族の娘だったの。父親と母親と三人で暮らしてたわ。最初は良かったの、お金はあまりなかったけど、それでも楽しかったのよ。両親と手をつないだ帰り道。雨上がりに数えた虹の色。みんなで作った夕ご飯。すべてが懐かしい思い出よ」
ミッシェルが語った話はリオの憧れた家族の姿だった。リオにはなかった平凡な家族の話だった。
「でもね、そんな私の生活は長くは続かなかったわ。私の両親が事故で死んだの。魔物に襲われたのよ、この世界ではよくある話でしょ。これが4歳までの私よ」
幸せだった話から一転。まるで前の話を対比させるようだった。
この世界は理不尽で不平等であっけない。そんなことは知っているはずなのに。
話を聞いていたリオすら悲しい気分になった。
「まぁ、大丈夫よ。そんな暗い雰囲気はやめてよね。別に大したことはないんだから。それに昔話だよ。これは風のように聞き流しちゃえばいいのよ」
「すみません」
そう、一番辛いのはミッシェルさんなのだ。俺は何となくできいてしまったことを後悔した。しかし、こんな暗い話の中でもミッシェルさんは相変わらずのんびりとしたような顔だった。それは悲しみを隠しているのか、そうではないのか。それこそリオは知りえない話だ。
「まぁ、聞いて。その後、私はお金もたいしてなかったし、ひきとられることもなかったから修道院に入ったの。そしてそこでナンシー達と出会ったのよ」
隣に居たナンシーを引き寄せてそう言った。その時、ミッシェルは最高に嬉しそうな笑顔だった。優しくて、暖かくて美しい笑顔だった。
そう、それは そこにいた全ての人がわかるほどキラキラしていたのだ。
「修道院はね、聖母さんも、修道女のみんなも優しかったのよ。そう、ここからよ。修道院にはね、私とナンシー以外にもう一人、アルバっていう少年がいたの。同い年でやんちゃで毒舌で表裏が激しくて、ドSでとにかく最悪なやつなの。なんていうか腐れ縁で付き合いが長いけど、本当に出会った頃からうざかったわ」
ミッシェルさんはアルバという人を最悪だとかと言いつつも、その姿はとても楽しそうで嬉しそうだ。
「私達三人は常にいろんなことで競ってたの。勉強は博学だった聖母さんや修道女の人たちから教えてもらい。武術や剣術は騎士団の練習を覗いて覚えて、みんなでチャンバラしたわ。時には飛び、時には転がり、時には泥まみれになり。まぁそんなこんなだったわ。歴史や文学、剣術はいつもアルバが勝って、計算や小金稼ぎ、体術は私の勝ち。礼儀作法とか、掃除とか、あと雑用、料理、庭の手入れとかはナンシーがずば抜けてたわね。「それ褒めてるの!?」ええ?因みに魔法はみんな同じぐらいよ」
「なぜ疑問形!?」
暗いはずの話が何故かだんだん明るく聞こえてくる。これはミッシェルさんやナンシーさんのおかげだろう。日本ならいいお笑いのコンビができると思う。
「そして私たちが12の春。修道院はとじることになったの。だから私達はそれぞれ引き取られたわ。私は商人の家に、アルバとナンシーそれぞれ貴族と平民の家に引き取られたわ。アルバの引き取り先の家と私の引き取り先の家は友好的な関係だったからその後もよく一緒に遊んだりしてたけど、ナンシーには会えなかったの」
「じゃあ何で今、一緒にいるんですか?」
あどけない笑顔でフウは聞いた。
そこはアウトだ。言っちゃいけない。リオはそう思う。
「まぁ、今から話すわ。引き取られた後、私は丁度学びたかった商業について深く勉強し、剣術や体術、魔法も覚え2年後14歳から新しい父親と一緒に商人として働いたわ。まぁ、あちこち飛び回るという仕事の関係もあり、私は同じぐらいの頃冒険者にもなったの。アルバも丁度その年、貴族が性に合わないようで、家出して配達員、通称『鳩』なったわ。そしてナンシーは奴隷落ち。酷い話ね。まぁ偶然か必然か、私に買われたのよ。一応、ナンシーを買った時にはすでに金貨180枚ぐらいあったわ。でもこいつのせいで殆どなくなったけどね」
さらっと言っているが金貨180枚はかなり多い。いや異常なのだ。
それと、思ったがミッシェルさんってIQが半端なく高いんじゃね。ていうかこれで魔法に体術プラスされるとかチートじゃん。
まぁそんな話は置いといて、本題である晩華の書はどうしたのだろう。
「今、リオくん。昔話はいいから、本題話せ、とか思わなかった?」
(ギクッ)
「まぁ確かに、話してる私も思ったんだけどね。でも、これ一応関係してるからね。ていうかこんなことを7歳ぐらいの子に話す話じゃないんだけどね」
「まぁ領主なんで、あと俺、6歳ですよ」
「私もー!」
「いや、ツッコムとこそこじゃないからね。リオくん世間知らずにも程があるよ。ていうか、何でそれが普通みたいに話になってるの?私が可笑しいの!?」
何か世間知らずって言われたけど、世間知らずなのって俺よりフウの方じゃない?リオは一人そう思う。
「ええ、ナンシーは可笑しいわ。「可笑しくないから、違うからね」まぁ余談はさておき本題に入ろうか。さっきから名前が出てるけど私の腐れ縁で幼馴染のアルバ。最悪な野郎ね。私はあいつに借りがあるの。あいつは腕の良い『鳩』だったわ。昔から身につけた技能と天性の才能で約1年足らずで世界に名が広まったわ。どんなとこにだって手紙を届ける。たとえそれが世界のはてであろうと……なーんてんね。買いかぶりすぎよ。噂って怖いわね。
まぁ、そんなあいつの話。ある日のこと、あいつはいつも通り手紙を届けるの。そこまではどうだって良い。問題は帰り道。どこが狂ったのか知らないけど、あいつは何と龍の洞窟の前を通ったの。バカだよね。
当然、龍にばれたわ。それから龍と戦って不幸中の幸いか助かったのよ。ただし呪いをかけられたの。永遠に体が思う通りに動けなくなる呪いをね。どうせならカエルにでもなれば良かったのにね。当然あいつ『鳩』を辞めたわ、動けないもの。今なんて魔導具に頼りっきり。だからしょうがなく私が治す術を旅のついでに探してあげてるわけ、借りもあるしね。晩華の書にはね、あらゆる呪いの解除方が載ってるのよ」
「……」
ミッシェルの話に暫く沈黙が続いた。
何とも言えない辛い話だ。いつも元気なフウもしゃべらない。
きっとミッシェルさんにとってアルバという人はとても大切だったのだろう。
「何かごめんね、せっかく美味しいお菓子を食べていたのにね。ねっ、魔導具あげる約束だったよね。今持ってくるから」
少し苦笑いをして出ていった。
辛いのはミッシェルさんなのに俺らが暗い顔をしてどうする。
地雷は絶対に避けなくては、少し暗い雰囲気が晴れるように俺は話題を作る。
「ナンシーさん、魔導具ってどんなのがあるんですか」
「知らないのっ!ってえーとね、いろいろあるわよ例えば……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺が話を作るとすぐにナンシーさんも乗っかり、ミッシェルさんが帰ってくる頃にはすっかり暗い空気はなくなっていた。
「じゃあ、魔導具のお披露目と選択と行こうか~」
「いえーい」
「好きなの3つ、一番高いやつ3つだと金貨300枚相当。全てのセンスはリオくんとフウちゃんに任せるね~えいっ」
ミッシェルさんは色とりどりの魔導具を取り出した。
よくわからない象の顔がついたヘルメット、いかにも貴族が使ってそうな宝剣、いまいちよくわからない四角い箱、綺麗な髪飾りに赤色の宝石の埋め込まれたネックレス、ほかにも魔術書?や胡散臭そうなドラゴン像などいろいろ。
ミッシェルさんはどうやって持ってきたのだろうか謎だが取り敢えず選ぶとしよう。
登場人物増えましたね。アルバさん。彼の名前、何かとかけているんけど、わかりますか?この物語に出てきてますよ。
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ちなみ質問あったんですけど、ミッシェル、ナンシー、アルバの三人は皆今年で18ですよ。




