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ラスボス級は意外と身近にいるかもしれない  作者: ホウ連想


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三話

「第一回! コミュ障を直すにはどうしたらいいのか会議! 開催です!」


「周りが見てるからコップおろそうね」


 学校が始まって初の休日。


 アーデルさんと連絡先を交換した俺は週末早々にファミレスに呼び出されて意味のわからない会議に参加させられていた。


「さあ、いぶきさん考えてください」


「俺のターンくるの早くない?」


 絶対になにも考えず勢いだけで呼び出されたな。


「俺ゲームやってたんだけど」


「大丈夫です。ゲームはいつでもできます」


 理不尽な状況に反抗するように軽く詰めてみるが軽く正論を返される。

 どうやら今日のアーデルさんは無敵モードらしい。


 逃げれないことを悟り諦めてため息をつく。

 とりあえず考えてみようと思考を巡らせるがふと疑問が沸く。


「アーデルさん自分でコミュ障とかいうの珍しいね。ちょっと避けてる節あったのに」


「連絡先交換した時にいぶきさんが私のことコミュ障で友達がいなくて根暗な奴って言ってたのを昨夜思い出しまして、悲しみに打ちひしがれていたんですけど、逆に考えればいぶきさんにばれているなら緊張する必要もないなと思い立って、今です」


「ちゃっかり俺の悪口誇張するな。少し根に持ってるじゃん」


 どうやら知らぬ間に性格改変を行っていたらしい。


 俺的にはちょっとした冗談のつもりだったのだけどアーデルさんにはこうかばつぐんだったのか。少し日が経った深夜に思い出すのはどうかと思うが。


 しかし確かに言葉の始まりがどもってもいないし、俺を前にしてもきょろきょろと挙動不審な様子もない。


 なんとアーデルさんはよりおもしれー女に近づいてしまったようだ。


「今の感じで話しかければいいんじゃない? 普通に喋れてるし」


 面白いからすぐ友達出来ると思うけどな。


 しかしアーデルさんはあきれた目で俺を見る。


「私がいぶきさん以外とこんな風にお喋りできるとお思いですか?」


「知らねえよ」


 ごめん撤回します。うざくて面白い女です。


「それに私皆さんに嫌われてるかもしれないんです」


「え? なんで?」


 元気だったアーデルさんが肩を落として落ち込むが俺は疑問で仕方がない。


 だってアーデルさん見た目可愛いし、所作も百人中百人が綺麗と答えるレベルに美しい。

 本人に聞いた感じ運動神経もよく、頭もいい完璧超人だ。


 欠点は俺とよく話していることだけ。


 こんなの嫌われようがないだろとドリンクバーのメロンソーダをすすっているとアーデルさんは話を続ける。


「男女別の体育の授業あったじゃないですか。その時勇気だして同じクラスの鳥人族の方に話しかけてみたんです。そしたら……」


「そしたら?」


「焦ったように周りをみてやばい、黒服といいながら逃げるように去っていかれたんです……」


「……」


「同じ魔族の方に話しかけてみた時もありました。でもその方も不敬罪といいながら同じように逃げてしまい……」


「……」


「やっぱりこれって嫌われてますよね……?」


「あー、んー」


 悲しそうなアーデルさんにそれは嫌われていないよと声をかけようとするが喉元で言葉が詰まりうまく言葉が出てこない。


 だってびびる人の気持ちがわかってしまうんだもの。


 多分鳥人族の子はアーデルさんが帰るときの黒服集団を見てしまい、魔族の子は当たり前だがアーデルさんが魔王の娘だと知っていて逃げ出したんだろう。


 なんと不憫な……


「……なんでそんな優しい目で見てるんですか」


「俺はいつも優しい目をしているよ」


 アーデルさんが気に食わなさそうに見てくるが自然となってしまったものなので許してほしい。


「それに相まって私の性格がこんなのなので友達ができないんです。だからどうしたらいいのかいぶきさんに考えて欲しいんです」


 真剣な表情でアーデルさんがお願いしてくるがあまりにも議題が重すぎやしないだろうか。


 俺みたいな一般人になんとかできる話かな。


 とはいえこのままでは流石にアーデルさんが可哀想すぎるのでどうにかできるかは置いといて改めて考えてみる。


「クラスの打ち上げとかだったらみんなが参加しててアーデルさんも入りやすいだろうからその時を狙ってみたら?」


「小さいころに試してみましたが、少し時間が経ったら周りの人達が別の席に移動して友達と話してて最終的には隅っこで一人でご飯だけ食べてました」


「部活入ってみるとか」


「人気の部活に入ってみたはいいものの二人組のペア決めるときに余ってしまい一人で練習風景眺めてました。しかも偶数の人数で余りました」


「生徒会とか入ったら他の人と話す機会が無理矢理にでも来るんじゃない?」


「立候補したらなにもせずとも当選して生徒会のメンバーが全員やめその日のうちに生徒会長になりました」


 具体的すぎる出来事がすらすらと出てくるアーデルさんに涙が止まらない。


 いつの間にかアーデルさんが真顔になっているしもうやめませんか、こんな悲しいこと。誰も幸せにならないよ。


 俺は闇落ち寸前のアーデルさんに微笑む。


「諦めましょう」


「ひどい!」


 アーデルさんが力強く机を叩いて抗議する。


 だってもう無理じゃん。案も出し尽くしたよ。

 出しても負の感情が乗ってる長文で倍返しされるしどうすればいいんだよ。


「俺じゃ君を救えない」


「なに格好つけて逃げようとしてるんですか! 私だって友達と出かけて一緒にお買い物したり、美味しいもの食べに行ったりしたいんですよ!」


「伊勢海老食え」


「もう食べ飽きました!」


 伊勢海老食べ飽きることなんてあるのかよ。


 わーわー騒ぐアーデルさんを見て埒が明かないと思った俺はため息をつき仕方なく妥協案を出す。


「もしよければだけど明日俺と遊ぶ?」


「ほ、ほんとですか!」


 聞いた瞬間アーデルさんが嬉しそうに身を乗り出してくる。


 顔が近いなあ。ちょっと距離考えて。


「俺でよければだけどね。でも俺休日は家で過ごしたい派だからしかたな……」


「あ、明日楽しみにしてます! 私今から遊ぶプラン考えてくるので今日は帰ります! 集合場所とかはまた送ります!」


 アーデルさんは俺の話も聞かずお金だけを置いて光の速さで店から出ていく。


 最初からこの提案してたら話は早かったんじゃないか。

 俺わざわざ外出て知恵も絞ったのになんだったんだこの時間は。


 ……まあいいか、人と出かけるのがそんなに嬉しいのかどもりも戻ってプランまで練ってくれるらしいし、楽しみにしておこう。


 嵐のような時間を思い出しながら飲んでいたメロンソーダをちょうど飲み終わり俺も帰ろうと席を立つ。


「まあ大体魔王と黒服が悪いな」


 ガタッ!!!


 俺が何気なく呟いた独り言に周りの客数名が焦ったように音を鳴らす。


「……おい」


 そういうとこだぞ。

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