貰った
バレンタインに貰った物
バレンタインデーも終わり、今度はホワイトデーに向けてお店が準備を始めた頃。
天使渉は、いつものように三田頼之の家に来て、家事を終わらせたところだった。
「テンシ」
「はい」
頼之に呼ばれて顔を向けると、頼之は少し考えているようだった。
「どうかしたんですか?」
カウンターキッチンから、テーブルのイスに座る頼之のもとに行くと、なにやらチラシを見て悩んでいる。
そのチラシは、目立つように【女性が喜ぶお返しベスト10】と主題が書いてあり、その下には商品と値段が印刷されていた。
「あ、ホワイトデーですか」
「あぁ──。女性社員から貰ったから、お返しをと思ってな」
「あー……、俺も買わないとな」
ふと言った渉の言葉に、頼之が顔を上げた。
「貰ったのか?」
「ん、はい。貰いました」
「へぇ──」
と頼之は渉を見つめる。
渉も頼之を見て首を傾げた。
「……どうかしました?」
「いや、べつに──」
「そう、ですか……そういえばサンタさん、チョコいくつ貰いました?」
「ん? あぁ、片手以上」
と頼之は思い出すように言う。
「やっぱり、新巻さんが前に言ってたのと同じだ。サンタさんモテるって」
本当だったんだ、と渉は笑う。
新巻 慎は頼之の友人だ。その慎が前に「頼之はモテるから」と言っていたので、渉は訊いたのだった。
「……。嫌じゃないのか?」
「なにがですか? モテて嬉しくない男っていないと思いますけど……。それに、会社内のそういう行事って、義理とかですよね? お世話になってますー、とか」
「そういうんじゃなくて、好意を持った人からの物だった場合だ──」
わかってないな、と言うように溜め息を吐いて、頼之は続ける。
「俺が本命を貰ってたら、テンシは嫌じゃないのか? 俺は、渉が本命を貰ってたら嫌だ。嫌というか、複雑だな」
と頼之は一人頷く。
「いや……、複雑というより、相手に嫉妬するな。きっと──渉は、俺と付き合ってるんだから」
「嫉妬って……それなら俺だって、多分……すると、思います……」
と渉は口ごもる。
頼之はそんな渉を見て、笑うと言った。
「それなら嬉しいな」
「そう、ですか……」
渉は照れているのがバレないように、そっと俯いた。
「そうだ。テンシ、ホワイトデーのお返し。お前も何か買うんだろ?」
「え? あ、はい。買います」
「じゃあ、一緒に行かないか?」
「あ、はい。行きます。決めるの遅いかもしれませんけど……」
と渉は苦笑いする。
「気にすることはない。決めるのが遅いということは、相手のことをちゃんと考えている証拠だ。その時間は大切にした方がいい」
と頼之は微笑む。
それからまた口を開いて、言った。
「それで、その後は買い物をしよう」
「いいですね」
「だろう? 楽しみだ──」
と頼之は無邪気に笑う。
渉もそんな頼之を見て、小さく笑った。
*
「……寝てるのか」
お昼を食べた後、頼之が仕事部屋で今日の分を終わらせてリビングに戻ると、渉はテーブルに伏せて寝ていた。
「また風邪引くぞ──」
と頼之は呟き、タオルケットをソファーから持ってきて掛けた。
すると渉は、んん、と少し声を発してから、また寝息を立て始める。
「体痛くしないのか……?」
渉の心配をしながらそっと頭を撫でると、
「……へへへ──」
と渉の顔がにやけたので、一体どんな夢を見てるのだろうか……、と少しだけ気になる頼之だった──
起きた渉に何の夢を見ていたのか訊いた。
渉「なんか、お菓子の家を丸ごと食べる夢を……」
頼之「……そうか」
お久しぶりです。更新再開します。
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