よくある特例
「お~、ポラリさんが言ってた様に、
ホントに、もう受付が空いてますね」
コインらが、冒険者ギルド『ガンセキの街』支部を訪れると、
入り口を入って正面にある、受付カウンターには既に人気が無く、
横に長いカウンターに座る受付嬢も1名のみであり、
その代わりに、併設された飲食コーナーの方が賑わいをみせていた。
「ああ、大概の冒険者は、その日の稼ぎを持って、
飲み食いに行くか、家に帰るかだからな・・・」
「一部、打つか買いに走る」
「確かに、『闇ネコ』の先輩達も、
そうだったね・・・」
「なる程、何とも冒険者らしいっちゃ、らしいですね」
「いらっしゃいませ!
冒険者ギルド『ガンセキの街』支部へと、ようこそお出で下さいませ!
本日は、どの様な御用向きでしょうか?」
コインらが、受付カウンターへと近づいて行くと、
人族と見える受付嬢が、そう声を掛けて来る
「あの~、僕の冒険者登録と、この子の従魔登録の方を、
まず、お願いしたいんですけど・・・」
『キュ!』
コインの言葉に合わせて、
それまでコインの首に巻き付いていたファーも、
クイッと首を上げて鳴いた。
「あら!?男性にしては随分と高級そうな襟巻をしてると思ったら、
可愛らしい従魔ちゃんだったんですね・・・」
「ええ、僕の頼りになる相棒ですね」
「そうなんですか、可愛くて頼りになるなんて最高ですね、
では、まず人間の貴方の方から受け付けますので、
こちらの、登録用紙の方へと御記入をお願いしますね、
代筆が御必要でしたら、私が務めさせて頂きますけど、
大丈夫でしょうか?」
「はい、自分で書けるんで大丈夫です。」
「あ~、ちょっと良いかな?
私らは、彼の付添で、この後ついでにパーティー登録も、
済まちまう心算なんだが、
彼の冒険者ランクをD級からにして欲しいんだが・・・」
「申し訳御座いません、
ギルドの規定で、初心者はE級からと決まってるんですよ」
「勿論、その規定の事は知ってるけど、
私らの推薦があれば、確かオッケーだったよな?」
「ん。」
ポラリの言葉と共に、ポラリとパサラが冒険者カードを提示する
「えっ!?お二人ともA級なんですか!?」
「ああ、2人ともA級で間違い無いよ」
「そう。」
「し、失礼しました!
た、確かに、A級冒険者お二人以上からの御推薦があれば、
D級からの御登録が可能となります。」
「へ~、そんな特例があるんですね、
それで、ポラリさん達も一緒に付いて来てくれるって、
言ったんですね?」
「まあ、そうだな、
実際、コインの実力はD級以上だし、
余りランクが低いと、首都に着いた時にダンジョンに、
コインだけ入らせて貰えない恐れがあるからな、
なるべく早く、上げといた方が良いと思うんだよ」
「ダンジョン・アタックには下僕が必要。」
「オレも、先輩方からの推薦でDから始めたんだぜ」
「分かりました。
早くランクが上がる様に、僕も頑張ります!」
『キュキュ~!』




