一宿一飯の恩
「何だと!?
ホントに、シロミミん処の娘の呪いが解けるってぇのか?コイン」
「そりゃ、ホントですかい!?お客人!」
村長とシロミミは、半信半疑の表情でコインの方を見ながら、
そう尋ねる
「ええ、もしかしたら何ですけど、
僕のスキルと、ファーの魔法を組み合わせれば解けるかも知れないですね」
「村長さんらに、お前のスキルの事を話すのかい?コイン」
「迂闊」
「ええ、確かに、この村に来てから幾らも経ってはいないですけど、
村長さんや、シロミミさんと話してみた感じ、
この村の人達になら、知られても大丈夫だろうと、
僕なりに判断して見たんですけど、如何ですかね?」
「まあ、この村みたいに生活が潤っている村なら、
そうそうは、密告なんてするヤツは居ないだろうと私も思うけど、
最終的には、コインが判断すれば良いんじゃ無いのかい?」
「自己責任」
「分かりました。ポラリさん、パサラさん、
僕の意見を認めて頂きまして、ありがとう御座います。
では、村長さん、シロミミさん、
これから、お話しするのは僕のユニークスキルに関する事なんで、
娘さんの呪いが解けても、若しくは残念ながら解けなかった場合も、
今後、秘密にして頂きたい事柄なんですが、
僕のユニークは、ある触媒を使う事に依って、
自らや、他の人が使う魔法効果を、かなり強化する事が出来るんですよ」
「人の魔法を、かなり強化出来るだと?
高価な魔導具なんかで、ある程度の底上げを出来る物が、
あるとは聞いた事があるが、
そりゃ確かに、とんでもないスキルだな・・・」
「ああ、ユニークにゃ、ブッ飛んだ能力を持つ物があるって、
俺も聞いた事があるが、
お客人のは、また、かなりのブッ飛び具合ですな」
「お二人とも、何で僕が今後、
秘密にして欲しいと、お願いをしたかを理解して頂けましたか?」
「ああ、確かに、
コインの、そのスキルの事を知ったら、
仲間に取り込もうとする輩がワンサカと集まって来るだろうからな」
「貴族の連中とかに知られたら厄介そうですね」
「ええ、そういう事ですね、
そんな訳なんで、僕のスキルの事は秘密って事で、お願いをします。
では、シロミミさん、娘さんを呼んで来て頂けますか?
ファーの『浄化』の魔法を、僕のスキルで強化すれば、
多分、呪いも解けると思いますから・・・」
「おおっ!なる程、それなら確かに解けるかも知れねぇな!
おい!シロミミ、とっとと娘を連れて来いよ」
「は、はい!今すぐ連れてめぇりやすんで、
少々、お待ち下せぇ!」
「分かりました。
そんじゃ、僕は、お昼寝中のファーを起こして、
お待ちしています。」
コインは、そう返事を返すと、
コインに、受け皿に取り分けて貰った料理を平らげてから、
ピッタリと、コインに寄り添って丸くなって昼寝中の、
ファーを起こしに掛かった。




