ブラック村の宴
「お邪魔しま~す。」
「邪魔するよ。」
「今晩は。」
『キュキュ~』
コインらが声を掛けながら扉を開けて、ブラック村の集会場へと入って行くと、
奥の方に横向きに置かれた長テーブルの席に、
ディック村長が1人で腰を下ろしているのが目に入った。
その長テーブルに対して直角方向にズラリと何個も並べられた
長テーブルの席には、村の住人らしき者達が腰を下ろしている、
コインが見た感じでは、ざっと2~300人ぐらいは居ると思われた。
「おう!来たか来たか、
今夜は、お前たちの歓迎会と、ファーの壮行会を兼ねてるから、
主賓となる、お前らは俺と一緒にコッチの席に着いてくれや」
「はい、分かりました。村長さん
じゃあ、失礼して上座の席に着かせて貰います。」
「上座ってガラじゃ無いんだけど、
折角だから着かせて貰うかね」
「うむ、私に相応しい席次」
『キュキュ~!』
コイン達は、村長の指示に従って、
村人らに、世話になるとの声を掛けながら上座の席へと向かうと、
村長と並んで腰を下ろした。
「よ~し、お客が来た事だし、
そろそろ、宴の方を始めるとするか、
俺ゃ、堅苦しい事は嫌いだが、一応は進行役が必要だよなぁ・・・よし!
今日の宴の進行役はハトリン、お前だ!」
「えっ!?僕ですか?」
村長に進行役を指名された20代後半ぐらいに見える、
真面目そうな感じの青年が、ビックリした表情で村長に確認の言葉を返す。
「おう!お前は、普段は真面目で大人しくて、
村の若手の中じゃ目立たねぇタイプだが、
俺ゃ、前から、お前は喋りが上手いんじゃねぇかと思ってたんだよ、
良い機会だから、ちょっと、やってみろや」
「はあ、村長が、そう仰るなら務めさせて頂きます。」
「おう!別に堅苦しい席って訳じゃ無ぇんだから、
お前の好きに、やってみろや」
「はい、分かりました。
では、本日、この集会所へとお集まりの皆様、
改めまして今晩は、私は本日の宴の進行役を務めさせて頂く事と相成りました
バード家の3男でありますハトリンです。
何分にも不慣れな事上、お聞き苦しい点など多々ある事と思われますが、
お目出度い宴の席での事と、寛大なるお心をお持ちになって、
ご容赦の程を宜しくお願い申し上げます。」
「「「「「上手過ぎだろ!?」」」」」
「お褒めの御言葉を頂きまして、ありがとう御座います。
まず最初に、本日の宴を主催されましたディック村長より
御挨拶の御言葉を御頂戴頂きたいと思います。」
「おう!さっきも言ったが、
今夜は客人のコイン、パサラ、ポラリの3人を歓迎するのと、
こいつらと一緒に、この村を出る事になったファーの壮行会だからよ、
皆、料理や酒は俺の奢りだから、楽しく食べて飲んで騒いでくれや!」
「「「「「ワ~!パチパチパチパチ・・・」」」」」
「良いぞ!村長!」
「よっ!名村長!」
「今夜は、吐くまで飲むぞ!」
「何か、全体的に村民のノリが良い村ですね」
「ああ、ハヤイ達の毛皮のお蔭で村長が色々と援助してる分、
村民の生活に、ゆとりがあるからだろ」
「笑顔は心のユトリから」
『キュキュ~!』




