試し撃ち
「え~と、これで『1円引出し』で良いのかな・・・おおっ!ホントに1円が出たぞ!」
コインは、自らの手の中に現れた1円硬貨を、
右手の親指と人差し指で摘まみながら眺めてみる
「へ~、それが1エン硬貨ってヤツなのか、
コイン君は地方に流通してるって言ってたけど、
それにしちゃ、やけに見事な鋳造技術に見えるね」
「ちょっと見せて」
「え、ええ、僕の暮らして居た村の辺りには、
その鋳造技術の高さで知られる『ゾウヘイキョク一族』が住んでたんで、
硬貨の製造は彼らに委託されてたんですよ、
それから、パサラさん、はいどうぞ」
コインは、ポラリに適当な説明をすると、
右手で摘まんでいた1円硬貨をパサラへと手渡した。
「近くで、こうして見ると益々作りの細かさが分かるよね、
これ程の技術を持ちながら一地方に甘んじているとは、
全く持って謎の技術集団だね、その『ゾウヘイキョク一族』ってのは・・・」
コインから受け取った1円硬貨を掌に乗せているパサラの手元を覘き込んだ
ポラリが思案深げに、そう語る
「材質も謎、銀貨かと思ったら異様に軽い『鑑定』」
「あっ!?パサラさん、それの鑑定は・・・」
「あるみにうむ?という金属で作られた硬貨と出た。」
「あるみにうむ?聞いた事が無い金属だね、コインは知ってるかい?」
「は、はい、僕が住んでた辺りでしか産出しない金属だって聞いた事があるんで、
多分、一般には出回って無いんだと思いますね、
さ、さあ、1円硬貨の話は、これぐらいにして、
もう一つのユニークスキルの検証に入るとしましょう。」
「それもそうだね、どちらかと言えば、そっちの検証の方がメインだからね」
「どの程度、魔法を強化出来るのか楽しみ、
はい、1エン硬貨を返す。」
上手い具合に、コインの話の誘導に乗った2人が興味を切り替える
「じゃあ、やってみますね、
え~と、1円硬貨は掌に握ってれば良いのかな?
そんで持って・・・『コイン・ブースト!』『ファイアボール!』っと・・・えっ!?」
コインが呪文を唱えると、頭上に直径1メートル程の火の玉が現われ、
ギュオオオッッッっという風切り音を残しながら火の尾を引いて飛んで行き、
遠くに見えていた岩山に衝突すると共に爆発し、その岩肌に大きな穴を開ける、
唖然と見送った3人の耳には、少し遅れてドゴ~ンという爆発音が届き、
それに伴って、僅かばかりの衝撃波を顔に感じた。
「コイン君、最初は軽めにしろって言ったろ・・・」
「環境破壊は良く無い・・・」
「はあ、そう思って一番少額の硬貨を使ったんですけどね・・・あれ?
そう言えば、手に握ってた1円が消えてるな」
「あの赤々と流れて見える溶岩みたいのは、溶けた岩かな?」
「あのままだと、麓の森林に燃え移りそう」
「やっぱ、下に流れ落ちる前に冷やした方が良いですよね?」
「ああ、水魔法で冷やせば止まるだろうね、
完璧に止められる様に、さっきの火魔法よりは強めに撃つんだよ」
「流れの先端付近を狙ってウォーターショットを撃てば良い」
「了解しました。
そんじゃ、今回は少し強めにって事なんで・・・『マイ・バンク!』『50円引出し!』
良し、ちゃんと50円が出たぞ」
「こりゃまた・・・先程の1エン硬貨に増して見事な造りだね」
「ちょっと鑑てぃ「ややっ!早く水魔法を撃たねば山火事が発生していまうぞ!
『コイン・ブースト!』『ウォーターショット!』どうだ!?」
50円硬貨も鑑定しようとする仕草を見せたパサラに先駆けて、
コインは水魔法を発射した。




