第十一話
「じゃあソウイチ、そんなにサラちゃんが嫌がるなら、その男の言う通りお前だけ会いにいけばいいん じゃないのか?」
「ああ、それが最善の方法だと思う。どっちみち手掛かりはその男以外にないからな」
「そのまま男には会わず、東に行って噂を確かめてくるってのはどうだ?」
レンジは適当なことをいう。
「どれだけ距離があると思っているんだ。それこそ最終手段だろ。それに、そこまで付きあってられな い」
「サラちゃんのためだと思えば、お前もそれくらいできるんじゃないのか?愛のちからってやつだな」
「ばかをいうな。サラとはそんな関係じゃないよ」
口ではレンジにそういいながらも、頭の中でサラとの関係について考えていた。
これだけ一緒にいれば他人とはもう思えなかった。しかし、レンジのいうような恋人関係というわけでもない。
まあ、ほっとけない存在みたいなところが落ち着くだろうか。
それにサラは俺に隠していることがある。前に信頼していると口では言ったが、それが何かわからない以上、なにかあったときにサラのことを本当に信じきることができるのかも疑問だった。
翌日、俺はひとりで男に会いに行くことにした。
サラはそのことにいい顔はしなかったが、それしか方法はないと理解していたのだろう、とくに反対をすることもなかった。
とりあえずサラをひとりにさせるのも心配だということで、レンジの店に置いていくことにした。
過保護すぎるかという疑問は置いておいて、とくに邪魔になることもないだろう。
「……いないじゃないか」
昨日と同じ時刻に甘味処に来てみたが、男の姿はなかった。
まあ、いつもここにいるとは言っていたが用事があることもあるだろうし、文句をいうのも筋ちがいか。
無駄足だったなと思いながらも、そのままレンジの店に戻ることにする。




