第30話:Process6[再評価]Flow1
ファシエを探しに遺跡に来たら、ファシエと共に【病樹剣】があり、直後にエニア達が突っ込んできた。そしてファシエは俺が【病樹剣】を手に入れようとしていたとか言い出した。
なんだこの展開は!?
「ちょっと待てファシエ! 何言ってんだ!」
という俺の言葉も聞かず、クードは魔双剣を抜き、斬りかかってきた。
「ファシエさんから離れろ!!」
「うおッ!?」
俺はすんでのところでそれを避けるが、クードの攻撃は止まらない。
「ちょ、待てクード! 何のつもりだ!?」
俺は困惑したままそれをしのぎ、何とか説明を求めるが、
「それはこっちの台詞だリガル! ファシエさんに何をさせていた!」
俺に剣を突きつけて、逆に問い詰めてくるクード。
ファシエに何かをさせていた? 俺が? どういうことだ。どういう状況なのか全く分からない。
「俺は何もさせていない! ファシエが何をしていたかなんて知らない! って言うかそれを調べるために、俺はここに来たんだ!」
「でたらめを言うな!」
クードは激昂しており、まともに耳を貸してくれない。そして、
「リガルさん! リガルさんが【病樹剣】を盗み、復活させようとしていたのは本当なんですか!?」
エニアも予想外の事を言ってきた。さっきから意味が分からん!
「いや待て! 何の話だ!?」
「ファシエさんとウィリオンさんに聞きました! リガルさんが捕らえた魔物の魔力を使って【病樹剣】を復活させようとしてるって! そして今日、ファシエさんがさらわれたって聞いて駆けつけてみれば、本当にファシエさんは【病樹剣】に魔力を注がされていました! どういうことなんですか! 説明してください!」
「説明も何も……!」
全て誤解だ。そう言おうとしたとき、
「みんな! ウィリさんから通信魔術きたよ!」
プリシラが声を上げる。その杖から魔法陣が現れ、そこからウィリオンの声が聞こえる。
「エニア君達、聞こえるか? ……この拠点でリガル君が【病樹剣】を復活させようとした証拠が見つかった。また、魔物を違法な魔道具で無理矢理使役させ、暴走させていたデータも見つかった」
「は!? ウィリオン、お前何言って……!?」
「残念だが……リガル君が【病樹剣】盗難および、魔物暴走事件の犯人だ。拘束してくれたまえ。私もすぐに向かう」
「ウィリオン! ちょっと待て! お前、なんのつもりで……!」
俺をここに送り出した当のウィリオンがそんなことを言う理由が全く分からない。
今、何が起こっているのか判断したいが――
「リガルさん、おとなしくしてください! これ以上罪を重ねないでください!」
「エニア、お前まで何言ってるんだ! 俺がそんなことするはずないだろ!」
「リガルさんは、過去に折れた武器の代わりに、絶対折れない強い武器を求めていたのでしょう!? それで【病樹剣】を復元させようとしていたんじゃないんですか!?」
「違う、そんなこと考えていない!」
混乱しながらもエニア達に話を聞いてもらおうとする俺を、クードが追求する。
「それでも、【病樹剣】がここにあり、君の目の前でファシエさんが魔力を剣に込めていた! 証拠は十分じゃないか!」
「それは、俺がファシエを追ってきたら、たまたまそうなっていたってだけで……」
俺はなんとか説明を試みるも、
「言い訳なんてするなー! 悪いことしたら捕まらなきゃダメー!」
プリシラがそう言うと、俺の周囲に結界魔術が出現、同時に足下から魔術の鎖が伸び、俺の足を絡め取ってしまう。
そして、状況を加速させるようにファシエが叫ぶ。
「皆さん、騙されないでください! 彼は、皆さんが思っているような人間ではありません!」
そしてファシエは悲しげな目でクードを見つめ、懇願する。
「クード、お願い……リガルを止めて……」
「もちろんだファシエさん! リガル……本気でいくぞ!!」
満足に動きがとれない俺に向かって突っ込んでくるクード。両手の魔法剣を苛烈に振るい、容赦なく俺に斬りかかる。
足を押さえられた俺はその場から逃げ出すことができず、クードの攻撃にさらされる。
それならば、とプリシラが発生させた鎖を斬ろうとしたが、これが硬い!
「それはアタシの魔力を凝縮して作った鎖! リーくんでも簡単には斬れないよ!」
逃げることができず、かといって傷つけないで無力化できるほどクードは弱くない。
どうする!? このままじゃ何もできないで捕まるだけだ!
「リガル、見損なったぞ! 【狂乱】に武器を折られたからって、こんな方法で【病樹剣】を手に入れようだなんて!」
「そうだよリーくん! なんだかよく分からないけど、悪いことをするのは悪いことなんだぞー!」
「だからそんなことしてねえって!」
俺はプリシラの魔術に動きを封じられながら、クードの攻撃を防ぎ、捌き、躱し続ける。
しかし、属性をめまぐるしく切り替えるクードの魔法剣をノーダメージで防御し続ける事は困難だ。なんとかしなければいけない。
まだ何が起こっているのか分からないが、このままでは俺が本当に魔物暴走事件の犯人にされてしまう。
何かないか。
何かないか。
俺は防ぎきれないクードの魔法剣に徐々に傷つきながら考える。
何とか俺の潔白を証明する方法は……そうだ!
「待ってくれ! 俺の霊性ランクを見てくれ! 俺が本当に魔物暴走事件の犯人だとするなら、とっくに霊性ランクがF級になっているはずだろう!?」
俺は2年間、戦うことを恐れるようになっただけで、凶悪な犯罪を起こしているわけではない。【神剣】としての莫大な功績もあったおかげで、まだ霊性ランクはF級どころかB級だ。それならば、大勢の人を傷つけた事件の犯人にはなり得ないだろう。
だが、俺の提案はエニアによって却下される。
「ダメです。使役した魔物が人を傷つけたりした場合は、霊性ランクに反映されないケースがあるってウィリオンさんが言ってました。また、武器評価で魔物を討伐してきた昇華点があるはずなので、霊性F級でないことは犯人でない証拠にはならないそうです」
「ちょっと待てよ! 俺よりウィリオンの言うことを信じるってのか!?」
「ウィリオンさんは騎士団にも認められて、長年の治安維持活動にも貢献している信頼できる人です。自分の行いから目を背けて、2年間逃げ続けていたリガルさんとは違います」
「な……」
冷たく言い放つエニアの言葉に、一瞬目の前が暗くなる。
しかも、エニアだけではない。プリシラとクードもだ。
「エニちゃんから聞いたよ! リーくん、前に大失敗して、それを自分のせいだって認めなかったらしいじゃん! 最悪だよ! ウィリさんとは全然違うよ!」
「そうだ! どうせ君は、2年前の事件のことを武器のせいにしていたんだろう!? しかも魔物に傷つけられたファシエさんにまでこんなことをさせて! 君のことなんか恨んでいたままでいるべきだった!」
「……………………」
声が出なかった。
俺は一緒に過ごしてきた仲間にまで信じられていなかったのか。
なんでこんな事になったのだろう。
俺はどうすれば良かったのだろう。
俺に味方はいないのか。
このまま事件の罪をかぶせられてしまうのか。
こいつらと出会ってから、俺の得たものは何だったのか。
もう、自分のやってきた全てのことは無駄だったのかもしれないとすら思えてきたとき、突然エニアの方からピーピーとやかましい音が鳴った。
ああ、もう! 今度は何だ!?
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