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[SubProcess:灯火の探求者]

[Process3/5:結成]Flow2/4で売り上げが伸び悩んでいた頃の、本編とは関連がないショートエピソードです。

 ※全年齢対象レベルだと判断していますが、少しだけ大人なネタが含まれます。

 皆さん、こんにちは。エニア・コレクトです。

 有名な女性錬金術師、ヒューレ師匠のお店の一角で、武器を作って売る仕事をしています。


 最初の内は全然売れませんでしたが、冒険者のリガルさんに武器を臨床評価してもらって、ギルドのお墨付きを得てから売るようにしてから少しずつ売れてきました。   

 それからヒスイさん、クレイドさん、プリシラさんも仲間になってくれて、私の錬金武器屋は本格的に動き始めました!


 だけど、今は少し売り上げが伸び悩んでいます。商品の種類は増やしたので、それなりに幅広いお客さんが買っていってくれるのですが……性能を期待されていない気がします。


 実際に使ってみれば納得してくれると思うのですが、多分、サブ武器として緊急用に買っているだけであり、本格的に使ってくれた人は少ないのでしょう。


では、他の武器屋では売っていないような、つい一度試してみたくなる武器を売り出せば評判が広まるのではないでしょうか? 


 私はそう思い、何か斬新な製品のアイデアがないか、工房の中にある師匠の資料室を漁ってみましたが、これと言ったものは得られません。


 しかし……師匠の資料の中には、私がまだ読ませてもらっていない本があります。師匠が言うには、


「あと1年たったら見せてやるよ~。うひひひひ」


 とのことだったのですが、そんなに待っていられません。私は師匠が寝静まった真夜中に資料室に忍び込み、その本を盗み見ることにしました。


   ×   ×   ×


 夜、いつものように師匠はお酒をたくさん飲んで泥酔しています。これでは朝まで起きてこないでしょう。


 私は目立たないように小さい明かりをつけ、資料室に忍び込みます。そのまま、背の高い本棚だらけの部屋の一番奥へ。あたりの薄暗さと古い紙のにおいに、私の緊張感は張り詰めさせられました。


 目的の本はすぐ見つかりました。なんだか薄くて、ピンク色が多い本です。表紙に書いてある人もすごく露出が多くて……なんだか、こう、せくしーな格好をしています。


 そして目を引くのは、何かの警告を示すような赤い三角のマークと、何かの表記です。ちょっと暗いですし、汚れていてうまく読めませんが「なんとかかんとか閲覧禁止」とか書いてあります。いったいなせ、なにを禁止しているのでしょうか。なんだか背徳的な感じで、ドキドキしてきます。ごくり。


 ……。


 …………。


 ………………。


 いや! 違いますよ! 実はこの表記の意味を調べて知っているとか、小耳に挟んでなんとなく勘付いているとか、そういうことはないです!


 それは、その、最初に表紙を見た時から、


(なんだか……えっちな雰囲気の本だなあ……)


 と思っていたことは事実ですが、皆さんが思っているようなえっち的興味で盗み見ようとしているのではないです! 断じて違います! いったい何を考えているのですか! その思考がすでにせくはらです!


 と、とにかく! これは高名な錬金術師である師匠の秘蔵の本。その中には錬金術の秘伝が書かれているに違いありません。そうに決まっています。とても興味深いです。


 ……だからえっち的興味ではないって言っているじゃないですか。

 これは!


 『錬・金・術』の!

 『崇・高』な!


 ――興味を満たすための探求です。

 つまりはそういうことです。


 で、では早速その中身を……、ぺらり。



 ………………咥えています。



 大事なことなのでもう一度言います。



 咥  え  て  い  ま  す  。



「!!!!!?????」


 な、な、な、何が行われているのでしょうか!? 女の人が、男の人の、その……だなんて!! えっちです!! せくはらです!! 何をしているんですか!?


 し、しかし、人の体の、その、先っぽの部分を咥えているというのは、錬金術の奥義を表しているという『ウロボロス』の図に通じるところがあります。


 そうです。やはりこの本は錬金術の秘伝が書かれているのです。さすが師匠秘蔵の本。興奮してきました。えっち的興奮ではないです。違います。


 ともかく、師匠が隠していた書は想像以上に刺激的なものでした。このまま読み進めてしまってよいものかちょっと迷います。


 つまり、これから私のとる選択肢は、次の3つです。


  1.このまま本を読み進める

  2.読まずに本を戻し、立ち去る

  3.『サイクロンあじゃぱー』


 わ、私は一体どの道を進むべきなのでしょうか……。


 え、何ですか?

 ……『サイクロンあじゃぱー』とは何か、ですか?


 むむむ、それは非常に難しい質問です。『サイクロンあじゃぱー』は我がコレクト家に伝わる禁断の技。おいそれと人に見せて良いものではないのです……。


 とか考えていたときです。


「さっきから何してんだ? エニア」

「サイクロンあじゃぱあああああああ!!!!!」

「うお! どうした?」

「リ、リリリ、リガルさん!! なんでいるんですか!?」


 そう、我がヒューレ錬金術工房の武器臨床評価担当、リガルさんが部屋に入ってきたのです!


「ああ、孤児院の手伝いで帰りが遅くなって、そんで店の前通りかかったら、こそこそしてる気配があったからさ。泥棒とかだったら困るなーと思って一応見に来た」


 なんで今日に限って活動的なんですか!? タイミングが悪いにもほどがあります!


 しかし、リガルさんにはこのまま何も知らせずに帰ってもらわなければいけません。私は冷静に対応しました。


「そ、そそそうなんですか。ごらんのとおり、どろぼうではないです。なにも、あやしいところはないです」


「なにも怪しいところは無いって……お前部屋の明かりもつけずに何読んでんだ?」


 そういってリガルさんは私の手元を見ようとしてきます。私は必死で本を隠します。

 えっち的な本を読んでいたからではないです。リガルさんに錬金術の秘伝は早すぎると考えたからです。他意はありません。


「何で隠す?」

「隠してないです」

「隠してんじゃねえか」

「隠してないです」


 私とリガルさんを沈黙が包みます。その時、リガルさんが明後日の方向を向いて、


「あ、店長」

「え!?」


 私はまんまと引っ掛かって、よそ見をしてしまいました。そして、


「隙あり」


 リガルさんに私の読んでいた本をかっさらわれてしまいました!


「いやああああああああ!! 待ってください!! 見ないでください!!」

「何をそんな……」


 私が追いすがるのも空しく、リガルさんは錬金術の秘伝に触れてしまいました。


「あっ。……あ~~~~~…………なるほど……」

「ち、ちがちが違うんです!! それはえっち的な本ではなくてですね、あの、その、れ、錬金術の秘伝が書かれた……」

「……まあ、俺はこういうのには理解がある方だから……ほどほどに、な」


 リガルさんはなんだか温かい目で私を見てきます。何ですかその目は。


「だ、だから違うって……」

「じゃあ、俺は帰るわ。……あんま夜更かしすんなよ?」


 そういってリガルさんは本を置いて、逃げるように出て行ってしまいました。


「違うんですーーーーーーー!!」


 私の叫びはむなしく夜の空に溶けていきました。


   ×   ×   ×


 翌日。

 プリシラさんとヒスイさんは興味津々に、クレイドさんは壊れ物を扱うように接してきました。


「ねえねえエニちゃん! 昨日の夜えっちな本読んでたって本当?」

「えにあ、えっちな本好きなの?」

「まあまあ二人とも、あまり人の趣味をとやかく言うのは……ねえ?」

「………………」


 リガルさん、あとでぶっ飛ばします。慈悲など無いです。


(完)


第2章の執筆に取りかかってはいるのですが、

プロットの出来に納得できず、いまだ完成ならず。

4月初旬には投稿開始したいです。


その代わりに、せめて第1章の間に起こったエピソードを投稿することにしました。

楽しんでいただけるといいなー。


もしよかったら、「☆☆☆☆☆」→「★★★★★」の評価と、

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