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第18話:Process3[結成]Flow3

 クードとプリシラが加入した日の晩、ささやかな懇親会が開かれた。


 武器評価に十分なメンバーがそろったことを祝おうとエニアが張り切って料理を作ってくれた。

 普段よりさらに手間暇がかかっていると思われる品々が並んでいる。クードとプリシラはそれらの出来映えに目を輝かせ、ヒスイなどはフォークとナイフを手に臨戦態勢を取っている。


 そして、エニアが音頭をとる。


「え~、我がヒューレ錬金術工房にはこのたび、クードさんとプリシラさんに加入していただき、錬金武器を評価して売るために理想的なメンバーがそろいました! これから、ガンガン新製品を評価して、ラインナップを増やして、たくさん武器を買ってもらいましょう! それではこれからの皆さんのますますのご活躍を願って、かんぱーい!」


 なんとも前時代的な始まり方である。ちなみに、未成年のエニアとヒスイはジュースだ。


 プリシラは幼稚な精神年齢に反して21歳だった。クードと同い年、俺のひとつ上だ(到底信じられんが)。


 皆料理を食べたり、酒を飲んだりして楽しそうだ。

 しかし、俺は食欲がなかった。

 先ほどのクードとの話で、過去の悪夢を思い出してしまったのだ。


 俺は、最初は"あの事件"の原因全てを壊れた武器に押しつけていた。今はエニアに教えられ、武器との付き合い方を見つめ直し、その上で武器を使っている。

そうして、今のところは何事もなく魔物を討伐できている。

このまま経験を積んでいけば、武器のことを信頼できる相棒と呼べる日が来るのだろうか。


 そんなことを考えながら、いまひとつエニア達の盛り上がりについて行けないまま、その日は過ぎていった。


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 翌日以降、俺たちは活動を加速させる。戦闘メンバーがそろったことで積極的に新製品の評価に乗り出し、剣・槍・斧・弓など、様々な種類の商品を増やしていった。


 しかし、人数が増えた分トラブルも起こる。

 同じディフェンダーのクードが来たからと言って戦闘をサボろうとするヒスイ。

 年上の美人に弱く、商品をタダで譲ってしまいエニアに怒られるクード。

 計算が苦手なことを見抜かれて悪質な客に騙されかけ、"アホ毛様"にフォローされるプリシラ(明らかに本体より"アホ毛様"の方が知能が高い)。


 俺の周囲は一気に騒がしくなった。

 引きこもって鬱々とするよりマシなんだろうが、ちょっとうるさくなりすぎだ。

 俺は久しぶりにお家への思いを募らせることになった。


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 今日は5人で草原に赴き、レイピアの貫通力評価とメイスの衝撃力評価をする予定だった。そこそこ時間がかかる見込みだったので朝早く移動をしていると、噴水広場でファシエとウィリオンに会った。


 一足早くファシエを見つけたクードは表情を明るくさせて駆け寄る。


「ファシエさん! おはよう!」

「クード! おはようございます」


 クードに気づいたファシエも笑顔で挨拶を返す。そしてウィリオンも。


「おや、もしかして君が、昔ファシエ君と同じパーティにいたというクード君かな? 」

「ええ、そうです。初めまして、冒険者のクードと言います。ええと、あなたは……」


 そうクードが問いかけたタイミングで、俺たちも話に混ざる。

 まず、初対面のメンバー同士で挨拶を交わす。


「アタシ、プリシラ! よろしくー!」

「ん……わたし、ヒスイ。よろしく……」

「ふふっ、私はファシエ・リスティータです。よろしくお願いします」

「私はウィリオン・サーヴと言う。ファシエ君とは仕事を通じて親しくさせてもらっている。よろしく頼む」

「ぼ、僕はクード・ロットノウ。ファシエさんとは、元々同じパーティだったので、僕も相当ファシエさんとは仲がいいんですよ! そこのところ、よろしくお願いします!」


 ……ファシエとウィリオンの距離の近さを感じたのか、クードの紹介だけなんか変な感じになったが……、まあしょうがない。クードが前言っていた、『心に決めた女性』ってファシエだからな。ウィリオンのことは気になるだろう。


 それぞれの自己紹介が終わったところで、俺とエニアも会話に混ざる。


「ところで、ファシエとウィリオンは何してたんだ? こんな朝早くに」


 見ると、ファシエはそこそこのサイズの鞄を持っている。どこかに出かけるつもりなのか?


「はい。実は今日、街の北にある研究所で会議があるんですよ」

「うわー、会議かー。面倒くさそうだなー……」

「ふふっ、そんなことないですよ。人と魔物が共存するための、大切な一歩になるかもしれないんですから」


 ファシエの、研究に対する真摯な思いが分かる言葉に、俺は複雑な気持ちになった。

 次に、エニアが口を開いた。


「ウィリオンさんもその会議に出席なさるんですか?」

「いや、私はこの街で別の仕事があってね。今ファシエ君と会ったのは、ただの偶然だ」


 その言葉を抜け目なく捉えたらしいクード。今日、ウィリオンはファシエと一緒にいないことをチャンスと思ったのか、こんなことを言い出す。


「ね、ねえエニアちゃん。今日は評価じゃなくてさ、ファシエさん達の活動の見学をするというのはどうかな? 魔物のことを知るのも、きっと評価の役に……」

「ダメです」

「……はい……」


 笑顔のエニアにバッサリいかれるクード。弱っ。


 そんな話をしていたら、白いローブの奴らがファシエの所に集まってきた。アークハウスの穏健派のメンバーだろう。


「それでは、私は研究所に向かいます。失礼しますね。またお話しましょう」

「おっと、私も向かわなければ。では失礼する」


 ファシエとウィリオンはそれぞれの仕事に向かう。


「私たちもお仕事です! 今日も頑張りましょう!」

「ああ、ファシエさん……」


 そして俺たちは未練がましい様子のクードを引っぱるように、草原へ向かった。

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