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11 冒険者の拠点《ヴァルカ》

【エリアボス再戦】


静寂に包まれた夜道の先、探偵は再び立っていた。

目の前には、先ほど敗北を喫したエリアボス——《ガルム・ウォーデン》。

黄金の瞳が暗闇の中で鋭く光り、低く唸る声が空気を震わせる。


探偵は無言のまま新しい短剣を抜いた。

《ブラッドウルフ・ダガー》の刃が赤黒い燐光を纏い、夜の空気を焦がすように揺らめく。


「……マジでやるのか?」


エコーが、呆れと警戒が入り混じった声を漏らす。


「当然だろう。」


探偵は短く答え、軽く柄を握り直す。

獣の防御を貫くために強化したこの武器が、どこまで通用するのか——

それを確かめるために、彼は再びこの場所へ戻ってきた。


「お前、さっきと何が違うか、ちゃんと分かってんだろうな?」


「火力が足りなかった。」


「……まぁ、それもそうだが、もう一つ。"火"ってのは"獣"に相性がいい。」


「……なるほどな。」


探偵はエコーの言葉に軽く頷いた。

しかし、彼が言い終える前に——


——獣が吠えた。


突如、ボスの巨体が動き出す。

風を切る音とともに、地を蹴った獣の姿が弾丸のように突進してきた。


——速い。


探偵は即座に《シャドウステップ》を発動。

一瞬で視界が流れ、ボスの爪が空を裂く。


そのまま背後へ回り込み、探偵は短剣を振るった。


——刃が毛皮に触れた瞬間、炎が弾けた。


分厚い防御に阻まれていた攻撃が、火の力を纏うことでわずかに切り裂かれる。

鋼のように硬かった狼の毛皮が、焦げるように削がれていく感触があった。


「——おお!? ちゃんと効いてるじゃねぇか!」


エコーが驚きの声を上げる。


"炎"は、獣系モンスターの防御を削ぐ。

この世界の法則に従うなら、それはボスに対しても適用される。


「悪くないな。」


探偵は、ボスが咆哮を上げる直前にもう一度動いた。

《ヴェールストライク》を発動し、一瞬で低姿勢になりながら獣の喉元へ跳ぶ。


「おいおい、今の"狙い"、クリティカル前提だろ!?」


エコーのツッコミが聞こえるが、探偵はすでに刃を振るっていた。

炎を纏った短剣が獣の急所へ滑り込み、追加ダメージが爆ぜるように広がる。


——ボスが、苦しげに身を震わせた。


その動きがわずかに鈍った瞬間を見逃さず、探偵は最後の一撃を叩き込んだ。



---


【決着】


「あと少しだ……!」


探偵は攻撃の手を止めず、間合いを詰める。

ボスが最後の反撃を繰り出そうとした瞬間——


——炎の刃が、その喉元を貫いた。


ボスの身体が大きく仰け反り、重力に引かれるように倒れ込む。

その巨体が大地を揺らし、夜道に静寂が戻った。


エコーがしばらく空中で固まり——慎重に周囲を見回す。


「……やった、のか?」


探偵は、短剣の刃から消えていく炎を見つめながら、一つ息をついた。


——《エリアボス討伐完了》


戦いは終わった。



---


【レアドロップ獲得】


ボスの消えた場所に、光るアイテムが残されていた。


《ガルムの魔狼爪》を獲得!


ATK +15(武器強化素材)


クリティカル率 +10%


属性付与:風属性(斬撃時に追加衝撃ダメージ)



探偵は、その素材を拾い上げるとじっと眺めた。

風の属性を帯びた獣の爪——これは、新たな武器強化の可能性を秘めている。


そんな探偵を見て、エコーが感心したように言う。


「……お前、意外とちゃんと考えてんだな?」


探偵は、無言で戦利品を眺めた後、ふっと笑う。


「たまたまだ。」


「嘘つけぇぇぇぇぇ!!!!!!」


エコーの絶叫が夜の街道に響く中、探偵は静かに戦利品をしまい、再び歩き出した。

次の目的地へと向かうために——。


【冒険者の拠点ヴァルカ


——夜通しの戦闘を終えた朝、探偵はようやく目的地へとたどり着いた。


その名は《ヴァルカ》——このエリアの中心となる拠点都市。

巨大な石造りの門がそびえ立ち、衛兵のNPCが行き交う人々を監視している。

石畳の道には商人たちの屋台が並び、冒険者たちの声が飛び交う。


広場の中央には、巨大な冒険者ギルドの建物がそびえ立っていた。

その前では、クエストを受けるプレイヤーたちや、装備を整える者たちがひしめき合っている。


また、"旅人バザー"と呼ばれる交易市場が開かれ、プレイヤー同士が自由にアイテムの売買を行っていた。

ここを拠点にする者も多く、情報交換や取引が盛んに行われる、まさに"ゲーム内の主要な交流の場"の一つだった。


エコーは、そんな賑やかな街を見渡しながら、探偵に話しかける。


「……おおお!? ここはまた、活気のある街に来たな!」


「そうだな。」


「ヴァルカは、このエリアで一番でかい都市だからな。冒険者ギルドにバザー、鍛冶屋、魔道具屋、宿屋や食堂まで、何でも揃ってる。」


「つまり、準備するにはちょうどいいってことか。」


「……ん? え、今の流れで、"高レベルエリアの準備"をする気なのか?」


探偵はエコーの問いに答えず、そのまま鍛冶屋へと足を向けた。



---


【鍛冶屋での武器強化】


鍛冶屋に足を踏み入れると、中ではNPCの職人たちが忙しそうに作業をしていた。

炉の中で燃え盛る炎が赤々と揺れ、金属を叩く音が店内に響いている。


探偵は迷うことなくカウンターへ向かい、手にしていた《ガルムの魔狼爪》を差し出した。

NPCの鍛冶職人は素材を受け取り、じっくりと品定めするように眺めた後、黙って作業に取り掛かる。


火花が散り、金属の焼ける匂いが立ち込める。

職人は短剣の刃に魔狼爪の素材を組み込み、研ぎ澄ませるように打ち付けていった。


エコーは、その様子を見ながら探偵をじとっと見つめる。


「……強化か?」


「そうだ。」


「やっぱり、"たまたま"じゃなくて、ちゃんと考えてたんじゃねぇかよ!」


探偵は微かに笑いながら、返事をしない。


しばらくして、職人が仕上げた短剣を持ってカウンターへ戻ってきた。

探偵はそれを静かに受け取る。



---


【新しい武器】


《ブラッドファング・ダガー》(レア度:★★★★☆)


ATK +25(強化済み)


クリティカル率 +30%


追加効果:獣種へのダメージ +20%


属性付与:火 + 風属性(炎熱+斬撃衝撃効果)



探偵は短剣を手に取り、軽く振るう。

以前よりも刃の切れ味が鋭くなり、風を切る感触がより鮮明に伝わってくる。

刃の先端にはわずかに炎が灯り、揺らめく熱が刀身に沿って滲んでいた。


「……悪くないな。」


「……うん、これはどう考えても"たまたま"じゃねぇな。」


エコーがじとっとした目で探偵を見る。


「狙ってるだろ、お前。」


「さあな。」


「もう"たまたま"って言うのやめろ!!!」


エコーがツッコミを入れるが、探偵はそのまま装備を整えに向かう。



---


【装備と消耗品の購入】


ヴァルカには、装備や道具を揃えられる商店が数多くある。

探偵は必要なものを手際よく選び、購入していく。


購入アイテム


《ハイスピード・ブーツ改》(★3)


移動速度 +15%


ダッシュ時のスタミナ消費軽減


回避時の硬直時間を減少



回復ポーション × 5(HP回復アイテム)


状態異常解除薬 × 3(毒や麻痺解除)


属性強化符 × 2(短時間、属性攻撃を強化するアイテム)



エコーが、探偵が装備を確認する様子を見ながら呆れたように呟く。


「お前、やたらブーツ強化するよな……」


「速い方がいいだろ。」


「それは前にも聞いた!!」


探偵は購入したアイテムをインベントリに収納し、静かに歩き出す。


「……取り敢えず、これで。」


「おいおいおい……まさかとは思うが……」


「行くぞ。」


「……やっぱり、高レベルエリア行く気か!!!」


「当然だろう。」


「お前、もう普通にレベル上げてから挑戦しようとか思わないのか!!?」


「強くなったなら、試すだけだ。」


「……もう、そればっかだな、お前。」


エコーはため息をつきながら、それでも探偵の隣を漂い続ける。


「……ま、止めても無駄だろうしな。」


探偵は無言で微かに笑いながら、高レベルエリアへの道へと歩き出すのだった。



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