アフター デート、そして待ち合わせ 2
「あ、ハルトさん!あそこ入りましょう!」
そう言ってティアが指さしたのはオシャレ感あふれる喫茶店だった。
だがここでハルトは渋る。
「いや、俺ああいう店はちょっと...」
「...ハルト、子供みたいなこと言ってないで早く行く」
「えっ、でも雰囲気が苦手で...」
「ハルト君!そんなこと言ってたらいつまでも入れないよ!」
「俺は別に入らなくても...」
「あなた?人は時に無理することも必要なんですよ?」
「俺は怠けたい人間だから...」
「ご主人様、そのようなわがままは通用しないかと...」
「いやあの...」
「これもうめんどくさいから無理やり連れてっていいんじゃないの?」
「シルフィ?!君はいつの間にそんなことをいう子になっていたのか...」
「なら私が運んじゃいますね」
「おいウリエル。どうして俺の襟首をつかむんだ!やめろ!やめてくれ!うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ずるずると引きずられていくハルトを生暖かい眼で見る通行人たち。
ハルトを助けてくれる人などいなかったのだ....。
「やっぱり雰囲気苦手だわ...」
「...ハルトに合ってると思うけど」
「そうですよ!いつまでもくよくよしてないでシャキッとしなさいな!」
「いやティア、そんな母親みたいなことを言われてもだな...」
そんなやり取りをハルト一行が繰り広げていると、多数の視線が突き刺さる。
だがそんな視線はもう慣れたものなのでハルトたちはガン無視だ。
カランカラン
そんなベルの音と共に入店してくる黒スーツのいかにも"ヤ"なお方たち....。
「ガキのくせに昼間からいい御身分じゃねぇか。ったく。てめぇの親の顔を見てみてぇぜ」
「あ?誰だあんたら」
「おいおい、忘れたとは言わせねぇよ?お前1人にぼこぼこにされた組の頭だよ」
「あ?あー...うん。あれだな。あれだよな」
「覚えてねぇなら素直に言えよ...」
「...なんか悪いな」
「いや...構わん」
沈黙するハルトと頭。
辺りの客はいつ警察沙汰になるかわからなくてハラハラしている。
「んで、何の用だ?見ての通りこっちはデート中でな。もし邪魔するなら消し炭にするぞ」
「平然と怖いこと言うなよ...。ただ見かけたから挨拶をしに来ただけだ。これからも友好な関係を結べるように、な」
「そうかよ。だが悪いがこういう店で来るのはやめてくれないか?こっちが迷惑なんだが」
「おお、悪いな」
そう言って軽く頭を下げる頭。
「にしてもよ、ヤクザに堂々と意見を言えるガキがどうやったらできんだよ...。一体どんな経験を...いや、なんでもねぇ」
この頭もハルトが集団失踪事件の被害者だということはわかっている。
思わず探りを入れたがハルトが放った殺気を敏感に察知してまたも頭を下げる。
「言いたいことはこれだけだ。あとは楽しみな」
そう言って出ていく頭と黒スーツの男たち。
ハルトたちもそろそろ出るか、ということで会計を頼んだのだが、必要以上に怯えられたのは割愛しよう。
◇◇◇◇◇
時刻は4時過ぎ。
喫茶店のあとは様々な店、ゲームセンターに寄って満喫してきた。
「ハルトさん、そろそろ帰ります?」
「そうだなぁ。もう夕方だし帰るか」
「...ん。今日は楽しかった」
「それは良かった」
わいわいと会話を交わすハルト。
「そこの姉ちゃんたちあべしっ」
....何やら声がかけられた気がするのは気のせいだろう。
よし、さっさと帰ろう。
帰宅後、母父に「異世界へ連れてってくれぇ!」と土下座をされるというシュールな光景になったが、ハルトはそんな両親に「気が向いたらな」という辛辣な返事を返していた。
両親は二人とも血涙を流しながら「頼むよぉ!はるとぉぉぉ!」と叫んでいたのだった....。
今回も短めです...。
最近なかなかネタが思い浮かばなくてつらいんですよぉぉ(血涙)




