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夏休み明け、そして勇者の転入

「まだ暑いなぁ...」

「ん、まだ夏は続いてる」


この世界―マジックフロンティアは9月になってもまだ暑い。

日本より夏が長いうえに暑いのだ。


「あっ!ハルトくーん!」


ちょうど屋敷の門を通り過ぎた時に声をかけてきたのは召喚組の治療師、"工藤 香織"だ。

「おはよ、ハルト君」

「おはよう工藤さん。今日から転入だったか?」

「うん、そうだよ。それよりも香織って呼んで!」

「わかった香織」

「...へ?」


なんか今更な感じがしたのだ。

本人がここまで言え言え言ってるんだから言ってもいんじゃないかってね。

それに今更さん付けってなんかむずかゆいし。


「も、もう一回!」

「香織」

「もういっかい!」

「香織」

「..えへへ」


何がしたいんだ...。

まぁいいか。


「乗ってくか?」

「じゃあお言葉に甘えて!ほら、リディアも早く早く」

「香織はせっかち。急がなくても大丈夫」


えっ君たちもうそんなに仲良くなってたの?

俺の知らないところでいつの間に...。


「出発するぞ」


安定のブロロロロロッという音と共に走り出す魔道4輪駆動車。

いつ聞いても心地いいエンジン音は、思わず眠くなってきそうだ。


リディアたちと談笑していると、あっという間に学園についてしまった。


「それじゃ、私は学園長室に行かなきゃならないから!またね!」

「おう、じゃあな」


◇◇◇◇◇


「うーっす」

「久しぶりじゃねぇかハルト!それにリディアも」

「ん、おはよ」

「んなことより聞いたかよ!勇者が今日転入してくるらしいぜ!」

「知ってるぞ。俺の知り合いが勇者だからな」

「はっ?!まじかよ!うらやましい!」

「そうでもないぞ...勇者は嫉妬深いからな...」

「そ、そうなのか...」


アレンはいつもと同じだな。

逆に安心する。


「席付けよー」


気だるげなラーラ先生もいつも通りだ。


「ありゃ?ハルトとリディア、お前学校来たのか」

「まぁ暇ですし。知り合いが今日転入してくるみたいなので」

「ほほう...まぁいい。今日はみんな知っての通り召喚された勇者一行が転入してくる。早速挨拶してもらうぞ」


教室のドアが開きぞろぞろと入ってくる勇者一行。


「初めまして。俺が勇者のカズキだ」

「初めまして。私は治療師のカオリだよ!」

「初めまして。剣士のユキノと言うわ」

「初めましてだな!俺は格闘家のジンタだ!」

「初めまして!結界術士のチヒロだよ!」


主力組の挨拶はこんなもんか。

クラスの奴らは香織と雪乃というこの世界のトップレベル並みの美少女を目の当たりにして喜んでる。

チヒロもかなりの美少女だ。

女子は甚太と和希を見て何やら話してるようだ。


「勇者と言っても彼らも人間だ。仲良くしていってほしいと思う。君たちは好きな席に座りなさい」


一斉に歩き出す勇者一行。

香織は迷わず俺の隣に、その隣に雪乃。

そしてリディアの隣にカズキだ。熱心にリディアに何か話しかけているようだが全部無視されてる。

甚太と千優が一番後ろの席だな。

てかそろそろ和希鬱陶しいぞ。


「肝心な授業内容だが、模擬戦にしようと思う。教官は...リディアとハルトと私だな」


えっ教官?

ああ、そっか。一応俺たちって卒業扱いなのか?


「すいませんラーラ先生、質問よろしいでしょうか?」

「どうした?」

「なぜハルトが教官なのです?俺たち勇者組の誰かがやったほうがいいと思いますが。それに、ステータスだって今は俺のほうが勝っていると思いますし」


「今は、か...。悪いが、勇者一行から教官を出すことはできない。今回は生徒との模擬戦だからな」

「な、なら彼らも模擬戦をしたほうが...」

「ハルトたちは既に卒業資格を持っている。来なくても構わないといったんだが暇つぶしで来たようだな」

「なっ....でもステータスに差があるはずじゃ...」

「ふむ。なら測ってみるか。鑑定石は持ってるか?」

「はい。まぁ」

「俺はないのですが...」

「ハルト、新しい派生スキルで鉱物生成があるだろ?それで鑑定石と念じながら発動してみろ」

「なんで知ってんですか?!」

「まぁいいから。早くしろ」

「はぁ....【鉱物生成】」


手のひらに現れる青い石。

本物の鑑定石だ。魔力もかなり食うけどその分便利だな。


「ほれ」

「あ、あぁ...」

「それじゃ、鑑定結果を私が映していくからな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

名前 ハルト 16歳 ヒューマン

クラス 召喚士 錬成師 魔術師

Lv.129

筋力 1209

魔力 480350

防御 1000

速力 3109

----------

★スキル

体術 Lv.7

魔力直接操作 Lv.MAX(10)

魔力回復(特大) Lv.MAX(10)

魔法付与

スキル付与

錬成[+融合][+分離][+モデリング][+鉱物鑑定][+魔法付与][+鉱物生成]

薬品調合

威圧 Lv.8

気配遮断 Lv.7

魔力遮断 Lv.MAX(10)

縮地 Lv.5

言語理解

----------

★習得済み魔法

召喚魔法 Lv.MAX(10)

錬成魔法 Lv.MAX(10)

火魔法 Lv.3

風魔法 Lv.4

空間魔法 Lv.8(Lv.10で派生魔法発生[次元魔法])

回復魔法 Lv.7

----------

★従魔

フェルニ(フェンリル) Lv.330

ヴェル(不死鳥) Lv.290

ドーラ(アイトワラス) Lv.790

----------

★習得済み魔術

火魔術 Lv.MAX(10)

水魔術 Lv.MAX(10)

風魔術 Lv.MAX(10)

土魔術 Lv.MAX(10)

光魔術 Lv.MAX(10)

雷魔術 Lv.60(限界突破[上限Lv.100])

----------

★加護

神獣の加護×3

吸血鬼王の加護

リディアの愛情

----------

★称号

【雷帝】【転移者】【神獣を従えし者】【人神】

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ほほう....まさかハルトも転移者だったとはな...」

クラスにどよめきが起こる。

そういえば言ってなかったなぁ...。

「あいつ、転移者ってことは勇者なのか?」「それはねぇだろ。だって目つきが魔王だぜ?」「確かにそうだな...」


こいつらは後で〆るか...。


「従魔って神獣だよな...」「あぁ...レベルもおかしいな...」


それに関しては俺も思ってた。だって明らかにヤバいレベルなんだぜ?

俺でも相手になるかどうか...ドーラ曰く「レベルが高くてもご主人様には勝てません」って言ってたけどな。

今度模擬戦でもしてみるか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

名前 カズキ 16歳 ヒューマン

クラス 勇者

Lv.73

筋力 978 → 1080

魔力 670 → 1000

防御 990 → 1030

速力 1080 → 1380

----------

★スキル

体術 Lv.5

剣術 Lv.8

魔力直接操作 Lv.3

魔力回復(小) Lv.9

英雄覇気[攻撃力+300]

神威 Lv.3[発動と同時に攻撃力+500。クールタイムは3時間ほどで連射できない。詠唱をする必要もある]

----------

★習得済み魔法

土魔法 Lv.3

光魔法 Lv.7

神聖魔法 Lv.8

----------

★従魔

無し

----------

★習得済み魔術

無し

----------

★加護


----------

★称号

【勇者】【転移者】【救いし者】

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


へぇ、魔法のレベルも上がってるのか。

それにスキル:神威って...不便だけど強そうだな。

土魔法も覚えたってことは強化ができるようになったってことか。

なるほど。


「確かにこの世界の住人ならあり得ない数値だがまだハルトのほうが上だな。これで納得できたか?」

「...はい」

「よし、全員グラウンドに移動しろ」


◇◇◇◇◇


「模擬戦は1対1の一騎打ちだ。相手を降参させるか、私たちの止が入ったら終了だ」

「「「「「はい!」」」」」

「いい返事だ。よし、はじめ!」


最初のところは甚太とアレンか。

これは最初からなかなかの名勝負じゃないか?


「ゼアァ!!」


アレンが鋭い踏み込みと共に剣を上から振り下ろす。


「セェイ!!」


それを籠手でガードした甚太は相手の剣を弾くと同時に鋭い正拳突きを放つ。

が、それをアレンは剣を盾にする形でガードする。


「お前!強いな!」

「お前こそやるじゃねぇか!」


そこからはほぼ殴り合いだった。

剣を使おうにも甚太が間合いを詰めてきて振る隙を与えてくれないので剣を捨て、肉弾戦に変えたようだ。


バゴォ!ドゴォ!という普通じゃ鳴らない音が暫く続く。


「ぜぇぜぇ...やるじゃねぇか...」

「はぁはぁ...そっちもな...」

「これで...」

「最後にするか...」

「「ゼアァァァァ!!!!」」


アレンの拳は僅かにずれ、甚太の頬を掠る程度だった。

対して甚太はアレンの顔をばっちりとらえており、どっちが勝ったかなど明白だった。


「勝者、ジンタ!」


一泊遅れて大地を揺らすような歓声が巻き上がる。

Sクラスって脳筋が多かったのか?

若干不安になる。


2戦目は香織とスイレンと呼ばれる女生徒だ。

「はじめ!」


初めの合図とともに香織が中級攻撃魔法の【ファイヤー・ランス】を発動する。

へぇ、攻撃魔法覚えたんだ。


その魔法は女生徒が張った障壁によって防がれ、女生徒が水魔法を発動する。

「アクアボール!」


水魔法の初級魔法だが、魔力を込めるほど大きくなり、威力も強くなる。

その大きさは1mほどで、かなりの魔力を使っていることがわかる。


香織は神聖魔法の【神結界】を発動し、アクアボールを防いだ。

この結界魔法、結構高位な技なんじゃないか?


「ライトニング・ジャベリン!」


香織の頭上にいくつもの槍が出現する。

これって上級ぐらいの威力ありそうなんだけど...。

それをみた女生徒はさすがに勝てないと思ったのか、降参を宣言した。


3戦目は雪乃だ。

だがこの試合も圧倒的だった。

なんと始めといった瞬間に相手の背後に雪乃が現れ、一瞬で首元に刀を突き付けたのだ。

おそらく【縮地】だろうと思う。

いやぁ、大人げないなぁ雪乃さん。


4戦目は勇者なんだが、なぜか相手が俺だった。

まぁ構わないけどさ。


「ハルト、俺が勝ったらリディアさんとの婚約を取り消しにできるか?」

「あぁ?なんでだよ」

「これは男の勝負だ。リディアさんとの婚約をかけた勝負なんだ」

「何言ってんだこいつ。異世界にトリップして頭までトリップしたのか?寝言は寝て言えよ」

「別におかしなことは言ってないだろ?弱い奴にリディアさんを任せれないだけだ」

「...はぁ」


だめだなこりゃ。

完全に頭逝ってるわ。

叩けば治るかな?


「始め」


ドパァン!!


和希の二の腕に風穴を開ける。

一泊遅れてやってきた痛みに、和希は顔を歪める。


「お、お前!その武器は!」

「なんだよ。文句でもあんのか?」

「俺は剣なんだぞ!それに対して銃とか...卑怯じゃないか...」


勝負に卑怯もクソもあるかっての。

こいつの自信を真正面からへし折るために俺は刀を取り出す。


「これしかないが構わないよな?」

「ああ、行くぞ!」


勇者が踏み込み、上段から剣を振り下ろす。

そのまま鍔迫り合いに―と思ったが、実際はならなかった。

和希の剣が刀にぶつかった瞬間、スパンッ!といういい音を響かせて切れてしまったのだ。


俺はそのまま和希ののど元に剣を押し付ける。

「...負けだ。でも、なんで俺の剣が?」

「俺が作った武器だからだ。一ノ瀬さんの刀でもできると思うぞ」


一斉に雪乃に視線が集まる。

だが本人は全力で首を横に振っていた。


「まぁ俺の勝ちだ。これに懲りたら2度とふざけたこと言うんじゃねぇぞ。三下」

「...くそ」


ちなみに結界術士の千優は別の班に回って結界を張っているため戦闘はしないらしい。

確かに結界術士は戦闘よりサポートだもんなぁ。


「これで授業は終了だ。今日は登校初日だから、各自家に帰って体を休めるように。解散!」


ふぅ。明日は何をしようか....まぁ学校は行かないかな。

勇者とか言うめんどいのがいるし。


はぁ。早く帰ってルリィに癒されるか...。

その後、宿まで香織を送って家に帰ったハルトだった。

なぜ香織だけなのかというと、ほかの召喚組が先に帰ってしまっていたからである。

香織、置いてかれてかわいそうと思ったのは内緒だ。

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