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僕の好きな人は殺人犯  作者: 大木戸 いずみ
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僕は早退して家に帰った。

部屋の電気もつけずにソファに腰を下ろし大きく息を吸ってからテレビをつけた。

暗闇の中にテレビの画面が存在を主張するようについた。

僕はちゃんと相沢と向き合わなければならない。

アヒルが出ているグルメ番組からチャンネルをニュース番組に変える。

僕は目を瞑ってアナウンサーが話している内容を耳で聞き取る。

殺したのは、十五歳の高校一年生。

相沢はまだ未成年だから名前を公表されていない。

殺した相手は…里親。

実親ではなかったのか。

動機は警察が調べている途中。

心臓に四つ刃物で刺された跡があった。

案外シンプルな殺人だな。

相沢なら復讐する相手にだったらもっと苦しめるはずだ。

被害者の着衣には弱いアルカリ性の液体が大量にしみ込んでいた。

なんだ?弱いアルカリ性?

一体なんの成分なんだ。

毒殺…いや、死因は刃物だ。

遺体には思い切りしがみつかれたと思われる痕跡があった。

固定して心臓を刺した?

どうやって殺したのか僕には全く分からない。

最後にアナウンサーが言った。

警察は女子高校生が虐待されていたの可能性も調べていると。



僕はまた夜に寝れず朝を迎えた。

目の下のクマがだんだん酷くなっているような気がした。

ゾンビみたいだ。まだまだハロウィンまで遠いのに。

それでも僕は着替えて学校へ向かった。

何故か来るはずのない相沢に会いたいと思って学校に行ってしまう。

学校では相沢の話ばかりだった。

順平と高澤さんと吉野さんだけは何も言わなかった。

僕に気を遣ってくれているのだろう。

ただ黙って僕の周りに立ってくれていた。

何故か心強かった。

少しだけ友達も悪くないなと思えた。

「昨日、相沢のニュースを見た。」

僕がそう言うと三人とも一瞬固まったが、順平が少し表情を崩し、そうか、と呟いた。

「弱いアルカリ性の大量の液体…。」

僕の言葉に吉野さんが真っ先に反応した。

「それ、多分涙だと思う。」

涙?

僕は目を丸くして吉野さんの顔を見た。

「理科の先生に聞いたら、涙の可能性が高いって。」

「相沢は泣きながら人を殺したって事か?」

「それは分からないけど、もしかしたらそうなのかもしれない。」

吉野さんは少し寂しそうな顔をしながらそう言った。

順平も高澤さんも俯いている。

相沢が泣いていたのならますます意味が分からなくなってくる。

けど、もし泣いていたのなら、全て意味が変わる。

「「思い切りしがみつかれた跡。」」

僕と順平の声がハモった。

きっと考えていた事が同じだったのだろう。

思い切りしがみつかれたのではなく、思い切り抱きしめたのだろう。

相沢は殺した事を後悔したのか?

けど、あいつは自分がやった事に後悔するような奴じゃない。

…僕は相沢の殺人動機を見つけなければならない。

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