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僕は夜中にまた公園に向かった。
なんだか前より不気味さが軽減した気がした。
僕がブランコに座った瞬間、ブランコは小さく悲鳴を上げた。
体重が少し重くなったのかもしれない。
ブランコに重くなってごめんと心の中で謝っておいた。
僕は夜風に当たりながら相沢の動機を考えた。
心臓に四つの刺し跡、これって全く苦しめようと思っていない殺し方だよな。
涙、抱きしめた跡…。
ああ、ダメだ。理由が全く分からない。
あるとしたら里親が自分を殺してくれって言った事ぐらいだが、それだけで人殺しをしようなんて思わないだろ。
…相沢なら思うかもしれないな。
けど、それでも自分の人生棒に振るか?
それに里親よりも実親の方を恨んだりはしないのか?
ああ、僕の役に立たない脳みそでは何も分からない。
「やっぱり、ここにいた。」
彫深ローマ人の声がした。
ゆっくり僕の方へ近づいて、また横のブランコに腰を下ろした。
もしかして僕を心配してくれたのか。
ブランコの悲鳴だけが公園に響く。
言葉を全く交わさなくても苦ではない。
彫深ローマ人は案外僕と波長が合うのかもしれない。
「先生は驚きましたか。」
「正直、それほど驚かなかった。」
「そうですか。」
僕はポケットから相沢から送られてきたブレスレットを取り出した。
それを月光にかざして眺めた。
これに何か意味が込められているのだろうか。
「Love is more afraid of change than destruction.」
僕がそう呟くと彫深ローマ人は僕がかざしたブレスレットを見ながら言った。
「ニーチェの言葉だな。」
ニーチェ?
この言葉はニーチェの言葉なのか?
「フリードリヒ・ニーチェですか?」
「ああ、結構有名な言葉だ。」
僕は知りませんでした。
ニーチェに関連するもの…本?
確か学校の全く充実していない図書室にニーチェの本が今月の本で置かれていた。
今月の本なのに誰一人借りていなかった。というより、図書室に通う人自体がいないに等しい。
あれに何か隠されているのか?
けど、あんな公共の場に自分の秘密を置いたりするか?
…相沢ならするだろう。あいつならやりかねない。
「先生、今から僕ちょっと学校言って来ます。」
教員を前にして夜中の学校に忍び込むって宣言する僕は馬鹿だと思う。
けどそれに対し、おおって返事する教員もどうかと思う。
僕は公園を飛び出し、全力疾走した。
生まれて初めてこんなにも全力で走っている。
いくら夜とはいえ夏だから汗が大量に出てくる。
足が何度かもつれたがそれでも止まる事なく僕は学校まで全力で走り続けた。




