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僕の好きな人は殺人犯  作者: 大木戸 いずみ
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保健室には初めて入る。

田舎といえども都会とは中身はほとんど一緒だな。

保健の先生が、どうしたの?と言いながら僕らの元へ向かってくる。

清潔感のある優しそうな先生だ。

「えっと、しんどくなっちゃったみたいで。」

「あらあら、じゃあ、こっちのベッドで横になって。」

言われた通りに高澤さんはベッドの上で横になった。

高澤さんは蚊の鳴くような声で、有難うと言った。

僕は出来るだけ早くこの気まずいムードから抜け出したかった。

「じゃあ、僕はこれで。」

「あ、待って。」

高澤さんの元を離れようとした時、高澤さんに呼び止められた。

「あの、私、もう少しだけ、本条君とお話…したいです。」

高澤さんは体を起こし、まるで苺のように真っ赤になりながらそう言った。

横になっていなくて大丈夫なのか。

僕は高澤さんと話することなんか特にないんだけどな。

そして何故敬語。同級生だろ。

僕は基本的に人には興味がない。

何か話をして誰かと友達になりたいと思う事もない。

喋りかけられたら喋るだけ。

そんな中、唯一興味を持ったのは相沢愛優。

相沢だけが例外だ。

「本条君は彼女いた事がありますか。」

まさかの話がしたいって恋愛トーク。

というか、僕に恋愛トークできるスキルはない。

正直面倒くさいが、高澤さんが目を輝かせながら聞いてくるのに拒めない。

また泣かれたら困る。

「いない。」

その答えに高澤さんは少し驚いていた。

「初恋は?」

「ない。」

「好きな女の子のタイプは?」

「普通の女子。」

「普通の女子って?」

ここは占いの館か。

女子はこんな話をいつもしているのか。

「普通は普通。」

それ以外答えようがない。

「女の子に求める条件は?」

「特にない。」

「女子のこんなとこが嫌って言うのは?」

君みたいに質問攻めにしてくるのは凄く嫌かな。

「特にない。」

「女子の好きな仕草は?」

「特にない。」

高澤さんの顔が失望と驚きと焦りが入り組んだなんとも表現しにくいような顔で僕を見つめる。

さっきまで泣いていたのが嘘みたいだ。

「好きな女の子の服装は!?」

「特にない。」

高澤さんが肩の力をがっくりと落とした。

「じゃあ、今までに気になる子がいた事は?」

「気になる子?」

「え。いたの!?どんな子?」

無意識に僕の口から言葉が出た。

「殺人犯になりたい子。」

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