表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/102

伝説の序章➅




雨では園庭も使えない。だから正徳SCも屋内での練習となる。まずはいつも通り、視聴覚室で座学から始まる。1番最初からずっと変わらない。その後は教室を借りるか、廊下を使うか、はたまた階段か。

「よし、じゃあプリントをしまって。このまま今日の練習に入ります。もう少し前に来ていいぞ。遠すぎると見えないからな。今日は観る練習です。さ、1試合目だ。」

さっさと再生ボタンを押した野口コーチ。え、あれ、もう?子供達が戸惑うくらい前置きは短く、時間を惜しむようにビデオが流された。何のビデオかといえばサッカーに違いないのだが、その辺に関する説明もなかった、敢えてね。子供達の素直な反応を楽しみたいといういたずら心。野口コーチは年に数回このビデオを見返しているが、子供達はまず見ていまい、たとえ家に同様のテープがあったとしても。さて、子供達にとっては全くの予想外であったこと―そもそも3年前のことは覚えていないか、この頃の子供達は―だからキャッ、キャと反応が現れるまでやや間が空いた。あれれ、もしかして・・・・・・その空白が野口コーチにとって極上のひとときだったことは言うまでもない。

 「なぁ、これってさ・・・」

「俺達、だよな?」

「いつの試合だろう?」

「1年の時じゃないかな~」

「みんな()っこいや。」

最初こそざわついたが、サッカーだし、自分達だし、ビデオは止まらないしで、徐々に集中力と恥ずかしさが増していった。そして恥ずかしさが集中力を乱していった。

「下手っぴ・・・」

「うん、まぁ1年生ということで。」

数年間サッカーに携わってきた子供達だから、それなりに目も肥えてきた。

「ただボールを追い駆けるだけ。」

「逆サイドでひとりくらい張っていればいいのにな。」

「相手チームも一緒だからぐちゃぐちゃだ。」

「パスもドリブルもないね。」

「これ、俺達か?」

「残念ながら僕達です。」

「あ、またやられた。」

1試合目は0ー3の完敗だった。試合終了の笛と同時に野口コーチがテープを交換した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ