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伝説の序章④



 給食後の休み時間、順也が要の机にやってきた。まだ梅雨明けは宣言されておらず、今日も校庭は使用不可。外遊びはできない。

「なぁ、要。パターンAなんだけどさぁ・・・」

正徳SCでツートップを組んでいる要と順也。フォワード、つまり点を取ることが仕事の攻撃的ポジションで、その左FWが要、右FWが順也だ。ただ同じフォワードといっても2人の特徴は異なる。要は持ち前のスピードと得意のドリブルでサイド、隙あらば中央を切り裂いていく。長距離走も走り慣れているようには、フィールドを縦横無尽に駆け回るだけの体力も備わっていた。一方で相棒の順也はその大きな体を活かしたヘディングやポストプレー、そして年齢に見合わぬ力強いシュートが魅力だった。要のシュートはぽ~んと飛んでいくのに対して(要に限ったことではなく、まだ筋肉の発達していない小学生のシュートはまだまだ緩い)、順也のボールはコォーと音を立てて突き進んでいく、4号球でも5号球でも。その威力は相手ディフェンダー並びにゴールキーパーへ恐怖心を植え付ける。そんなシュートを生み出す順也の太ももは、要の倍くらいあるんじゃなかろうかというくらいにしっかりしていた。

 順也がポストプレーで相手を引き付けている間に、要がディフェンスの裏へ抜ける作戦がパターンA。

「俺がハーフにボールを落としている時にさ、要の走り込む位置を番号で決めないか。左サイドが1、センターが2で右が3。その方がパスも出し易いし、要だって迷わず走れるじゃん。」

要がノートにフォーメーションを描きながら、いいねと頷いた。

 夏休みに入ってすぐの日曜日に予選ラウンドの大会がある。あと1ヶ月。スキルアップサッカークラブは4年生までのクラブチーム。泣いても笑っても今年度でおしまい。これまで要達の代は1年ごとにも目標が大きくなってきた。1点取ること、1勝すること、予選ラウンド突破。そして今年は決勝ラウンド優勝。大きい小さいは置いておいて、3年生まで目標は全て達成してきた。残すはひとつ。これで最後だ。目標が成長過程から終着点に変わった。

 夢はデカけりゃでかいほどいい。でも、そこに辿り着くための目標があまりに高すぎて、傍から見ても現実味を帯びていないのであれば、やはり見直しが必要だ。逆算した一歩一歩の手順が作れないから、階段をひとつひとつ踏むことができない。身も心も不安定になる。

 1年生の時、要たちの代は弱小チームだった。先に挙がった目標が語るように、大会中の数試合で1点取れれば御の字。その間、どれだけ失点を重ねたかを数えると悲しくなるのだが。そんなチームは2年生の冬の大会でようやく1勝。念願の初勝利を挙げたチームは3年生で化けた。大化けした。自分の目を疑うことがこんなに嬉しいとは思わなかった。それまで負け続けてきた選手たちが別人のようにボールを操るようになった。普段の練習の動きが試合で現れるようになった。3年生では夏の大会、冬の大会共に決勝ラウンドに進出しており夏はベスト4、冬は準優勝を果たした。ちなみに、要はどちらの大会も得点王だった。

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